2021年04月17日

漂流するドリーマーたち

ちょっと前になるがクロエ・ジャオ監督作品映画『ノマドランド』を観た。この映画に出演している俳優は主演のフランシス・マクドーマントと彼女に恋心を抱くデヴィッド役のデヴィッド・ストラザーンだけで、それ以外のキャストはみんな実際のノマド(=キャンピングカーなどで車上生活をしながら旅する高齢労働者たち)ということに驚かされる。ドキュメンタリーの様相もあるけれど、そこで描かれるそれぞれの人生は当然ながらひとつずつ個性的なものであり、格差社会の問題等とはまた別の次元でとても芳醇なヒューマンドラマとして受け取った。照明を極力使わずに朝と夕方のマジックアワーに撮影されたという風景が圧倒的に美しく、空のグラデーションが僕を旅に誘うようだった。

とてもいろんなことを考えさせられる映画だったので、後日その原作となったジェシカ・ブルーダー著「ノマドー漂流する高齢労働者たち」という分厚い本を買って少しずつ読んでいるところ。劇中で登場するTHE SMITHS、モリッシーの歌詞、そしてシェイクスピアのソネット。世界は今「詩=poetry」を必要としているのかもしれない。

nomadland


Posted by monolog at 23:34│Comments(0)