2021年11月28日

いつだってさよなら

大学を出て就職した映像制作会社で出会い、ずっとお世話になった吉野達哉さんのお別れ会に参加した。吉野さんは会社の先輩ではなくフリーランスの映像監督で(Junksclips)僕はAD1年目で大した仕事もできずにいつも渋谷の事務所で雑務をやっていたのだけど、あるとき吉野さんはふらっとやってきて「だれか手が空いてるコいない?」と僕を見つけミュージックビデオの撮影に連れ出してくれた。ライブのない日の川崎クラブチッタ、高橋徹也という新人の「真夜中のドライブイン」という曲のミュージックビデオの現場だった。僕の仕事はスタッフにケータリングを用意したりCDプレイヤーで何度も曲を再生するくらいのことだったけれど、収録が終わる頃にはその歌が大好きになっていた。1996年頃のこと。

それ以降、ずっと僕を気にかけてくれて、現場へ連れ出してくれたり、僕がインディーレーベルからCDを出して雑誌に初めて載るときにアー写みたいなものを撮ってくれたのも吉野さんだった。メジャーデビューすることになって、「tsubomi」のMVを撮るときの監督も吉野さんで、今はもうない東京外国語大学の北区西ヶ原キャンパスのサークル棟を使って、当時まだ珍しかったワンカット映像にトライしたり、思い出してみてもほんとに楽しいことばっかりだ(このMVはVHSしか素材がなくてデジタライズしないといけないなあとずっと思っています)。

お別れ会では吉野さんゆかりの音楽家がずっと演奏を。柴草玲さんは僕と同じように毎年12月に恵比寿天窓switchでライブを重ねてきた方で、素晴らしいブルーズを捧げられた。藤原マヒトさん、白崎映美さん、久住昌之さん、メトロファルス伊藤ヨタロウさん、その他にも素晴らしい演奏が空間を満たしていていく。とても人間くさい、変な言い方をすればクセの強い方たちの演奏を聴きながら、なんで吉野さんは僕みたいなやつを見つけて仲良くしてくれたのかなあ、と考える。吉野さんがうちに遊びにきたときにポチを異常に可愛がる姿を見てびっくりしたことがあるけれど、吉野さんはどこかに「大事なことはすべて犬と猫から教わりました」と書いていて、僕が猫好きなのを最初からわかっていたのかなとも思う。

みんないるのに吉野さんだけいない…と最初思ったけどすぐにそういうことじゃないなって感じた。愛しかない、良い時間でした。感謝。

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Posted by monolog at 23:55│Comments(0)