佐賀の実家から山口県防府へ出発。博多駅から新幹線で新山口へ。そこから電車を乗り換えて防府へ。道のりとしては2時間ちょっとの予定が朝降った豪雨のせいでダイヤが乱れていてゆっくり進む鈍行の旅。緑が濃くて目に染みる。タイミングよくみおさんと合流できて木彫展開催中のアスピラートへ。チミトンや猫町の仲間の木彫り猫たちと再会。ここも素晴らしい展示。僕らはみおさんの彫刻作品を身近に見慣れていて、ついついその姿を当たり前のことのように感じて、触ったり、なでたり、「ちょっとどいてね」とか言ってラビットホールでは部屋の隅に追いやったりしちゃうんだけど、こうやって陳列され光を当てられた作品たちを前にすると改めてそのすごみのようなものを実感する。忘れているわけではないけど思い出す。
ライブを行うコンサート会場ではサウンドチェックが行われていた。天井が高くてとても響きの良い素晴らしいホール。600人も入るそうで、背筋が伸びる。本来なら1階ロビーでの演奏だったはずがコロナ禍のため会場が変更、災い転じて福だと思いたい。何人のお客さんが来てくれるのか…。ずっと準備を一緒にしてくれていた学芸員さんがコロナ罹患のため立ち会えないというピンチを館長さんはじめスタッフの皆さんが見事に補いあってストレスのない現場になりました。
近藤さん、むぎちゃん、むぎちゃんマネージャーげんちゃんも到着し、閉館後の展示を改めてみんなで堪能。月くんのスケッチに挑戦したのも楽しかった。夏休みの宿題制作みたいな。美術館から歩いて5分のところに素敵な老舗の純喫茶「エトワル」というのがあって、そこで翌日の本番に向けて打ち合わせ。パフェとかコーヒーゼリーとか小倉コーヒーとか、メニューすべてが写真映えする。この日は防府天満宮で3年ぶりの花火大会だということで、街には浴衣姿ふくむたくさんの人たちで賑わっていて、僕らも夜が近づくにつれてそわそわし始める。行くのか?やめとくのか?
アスピラートの学芸員さんのご自宅が花火大会会場からほど近いお寺で、その境内(貸し切り状態)で花火を見ることができるという提案をいただいたので、僕らいい大人は「しゃ、行っとくか!」「せっかくここまで来たんだから!」ということになった。人混みを避けて縫うように歩くこと20分、どんどん日が暮れてきて、次第に道は真っ暗に。スマホのライトで道を照らしながらお寺に辿り着くころに花火が始まった。レーザーと音楽を併用したものすごいやつ。フェスみたいな花火大会。たくさん動画を撮ったけれどちょっとアゲアゲでパーティー感ありすぎて、SNS投稿するのを躊躇。大トリを飾ったのはトップガンだった。「トップガン」アンセムからの「デンジャー・ゾーン」、そしてレディ・ガガ。最後はゲラゲラ笑いながら見上げていた。
それからまた30分くらいかけて山を降りて、明日ライブなのに大丈夫なのこれっていうくらい全身汗まみれ。でもすごく楽しかった。僕は山口県に来るのは多分小学生のころにバス旅行で秋芳洞という鍾乳洞に来て以来のはずで、今回のコンサートがなければきっと防府の町に降り立つこともなかった。そこで偶然にも花火を観ることができて、嗚呼、これって多分今年一番の夏休みの思い出だな、と思ったのでした。