でも、捨てるのである。邪魔だから。いろんなところが傷んだいたりもするし、容赦もないし同情もしない。しかし、これが大きすぎるのだ、ひとりで片付けるには。マットレスを壁に立てかけて、木枠を解体するのまでは簡単だったけど、マットレスがめちゃくちゃ重い。雪で足元もおぼつかないし、思っていたより作業がはかどらなくて、寝室にそのままバラして立てかけて春を待つことにした。こんな大変だとは思わなかった。業者に頼めばいいんだけど、なんとなく友だちに手伝ってもらうくらいの手間で自分でクリーンセンターに捨てにいきたい、と意固地になってしまうのは何故だろうか。
相談していたとおりに介護ベッドは運ばれてきて、手際良く組み立てられた。寝室にはそのでかいベッドが片付け途中なので、これまで母が寝てたのとは違う部屋に設置してもらうことにした。寝ながらテレビが見られる、と母親は嬉しそうだけど、日がなベッドの上で生活するんじゃないかと心配になる。大学生だって散らかしまくった部屋のなか、ベッドの上だけで怠惰に暮らしたりするわけだから、若いも老いも関係ない。なるべく早く介護ベッドをちゃんと寝室に移動させたい。50年モノのベッドを捨てるときどんな感慨があるだろうか。そんなものないだろうか。燃えさかる火の中にそれが投げ込まれるのを見るまでわからない。
春になったらベッドを捨てる。
