2013年に3枚目のソロアルバム『新しい青の時代』を発表しました。前々作『pilgrim』(2009)と前作『homesweet home』(2010)は流通システムに頼らずライブ会場手売りとオフィシャルウェブストアでの通販のみで販売したのですが(基本的にはアマゾンでも町のレコード屋さんでも売ってなかったのです)、『新しい青の時代』は全国流通したいと思い立って現在もお世話になっているBRIDGE INC.という流通会社を通して全国発売しました。その発売日が7月7日だったので2023年7月7日が公式には『新しい青の時代』リリースから10周年という記念日になります。
この作品は僕を全国いろんなところへ駆け回らせてくれたレコードです。だからなのか体感的には10年という年月がとても長く感じます。あっという間という感じがしません。『新しい青の時代』には4つのエディションがあります。まずライブ会場での先行発売と通販で売り切れてしまった記念すべき“初版”、どのくらいの方がこれを持っているでしょうか、品番などで確かめることは難しくて、ジャケットの色味が深く少し暗いのが特徴。これはこれで重厚な感じがして好きなのですが、第2刷を作るときにアートワーク全体の色味を明るくしました。もっとも多く流通してるのがこの“第2刷”なんじゃないかな。
リリースから5年経ったときに作ったアナログ盤はボーナストラックとして収録されていた「あさってくらいの未来」をカットして10曲になり、福田利之さんの描いた絵から意図的に隠されていた一角獣の姿が現れた、新たなアートワークをまといました。オープニングトラック「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」の歌詞が一部修正されていたものが元のフレーズに戻されました。言うなれば本来あるべき姿でLPになった、ということになります。このアナログ盤はクラウドファンディングで制作され、限定700枚くらいがこの世の中に存在します。いい経験でした。
このLP制作で改められたマスター音源の形で2019年5月にApple MusicやSpotifyでのサブスクリプション配信がスタート、いつでも携帯端末やPCで『新しい青の時代』が聴けるようになります。そして第2刷もアナログ盤も在庫がなくなった2021年。自分にとっての代名詞であるこの作品はいつでもだれにでも、もし山田稔明の歌に初めて触れるならば『新しい青の時代』から聴いてもらいたいと思うから、3度目のCDリイシューを試みました。LPにした装丁と収録内容に加えて全楽曲の山田稔明デモが曲順通りに収録されたボーナストラックがついた2CD仕様。これがこの作品の最終形で、これから先はステージでの生演奏が最新版。10年経とうが30年過ぎようが色褪せない青、自分にとっての代表作であることにはこれからも変わりがないと思います。宝物のような1枚を、たくさんの方とシェアできたら嬉しいです。これまでもこれからもありがとう。
ぜひ2023年7月にも『新しい青の時代』を再生して空気を震わせてください。
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