時計の針が18時半をさして、「夜の科学 vol.64ー再起動の合図」のはじまり。

リリースから10周年となった『新しい青の時代』オープニング「どこへ向かうかをしらないならどの道を行っても同じこと」からスタート。僕の弾き語りから安宅くんのコーラス、リズム、そしてバンドが重なってくる高揚感。「光と水の新しい関係」を歌いながら、「うん、ばっちり今日も良い声でる!」と確信。近藤さんのギターソロがかっこよかったな。「home sweet home」はソロ活動黎明期からずっと歌っている歌、初心に戻る感覚、またひとつ年を取って思うのは変わることと変わらないことがある、ということ。「予感」「glenville」と今年ずっと弾き語りで歌っていたのをバンドで演奏する喜びよ。
続く「blue moon skyline」と「三日月のフープ」はここ最近バンドで演奏するのが新鮮で楽しくなった曲。熱く盛り上がった「blue moon skyline」のあとで近藤さんギタートラブルあって音が出なくなったんだけど、そこからギターをケーブル直のアンプの音がブワッと重なってきた瞬間の「三日月のフープ」超アガった。安宅くんとの網膜剥離エピソードトーク、そして真里さんのピアノにいざなわれて「月あかりのナイトスイミング」、終盤のイトケンさんのドラムフィルインにいつも背中を押されて遠くまで歌が飛んでいく。

今年は夏からいろいろ予期せぬことがあって新しいソロアルバムのレコーディングが叶わなかった。来年に持ち越し。これから先の風景を垣間見るような未発表曲コーナー。「長距離ランナー」はとても古い曲でGOMES THE HITMANでも演奏したことがある歌、人生という長距離走のなかでいくつもスタートラインが存在する。ゴールも。「再起動の合図」という副題はこの曲から取りました。「吉祥寺ラプソディ」はたしかスターパインズカフェの20周年の年に書いて捧げた歌。自分の住む街にこんな素敵なライブハウスがあることを誇りに思います。「月あかりのラストワルツ」は2020年12月で閉店した恵比寿天窓switchに捧げた歌。「日向の猫」はみんなのラララの声がとてもきれいでミラーボールが光を撒き散らしたのもこの曲だったかな。感動しました。「走馬灯」を初めてバンドで。歌のなかにだけ確かに残る風景、場面というのが確実にあります。
客席からの手拍子に盛り立てられて「lucky star」、バンドの熱量が頂点に達したのは「光の葡萄」だったかもしれない。「hanalee」を演奏したウクレレはそのまま今年の感謝の景品に。「セラヴィとレリビー」では近藤さんが「LET IT BE」のギターソロをオマージュしたフレーズを弾いててハッとしました。いつもよりたくさんの曲目を演奏したこの日。合奏する楽しさに酔いしれた。


アンコールは今年リリースした『Christmas Songs vol.2』から賛美歌をロッキン・パーティー・チューンにアレンジした「O Come All Ye Faithful」。間奏でキャーキャー騒ぐシーンがあって、それを実際にライブでやってみたかった。毎年の恒例になったらいいな。「sweet december」もキラキラと美しかった。まだまだ盛り上がり足りなくて「太陽と満月」、最後は「ハミングバード」で大団円。たっぷり2時間越えの 夜の科学オーケストラ でした。物販では五十嵐くんの干支張子も大人気で、終演後も長いサインの列が嬉しかったです。誕生日お祝いもたくさんありがとうございました。
来年こそは『新しい青の時代』に続く、自分の50代の名刺代わりとなるようなソロアルバムを作りたい。この日のライブが再起動の合図でした。
