しかし、気のおけない仲だとしても、気は使う。お互い2時間のソロライブをしっかりストーリー立てしてセットリストを作り歌うタイプのシンガーソングライターだから、交互に歌うスタイルでは雰囲気が小間切れになってしまってやりにくいのではないか、多分きっとふたりともそれを気にしていたんだと思うけど、どちらから提案するでもなく、この構成でやることが決まったのはライブの1週間前だった。

月曜日の夜のライブということで、普段なら僕はラジオを収録したり事務仕事やスタジオ作業をしていることが多い日にステージに立つという新鮮さ。会場も程よいリラックス感があるなあと思った。反面、僕とタカテツさんはかなり入念にリハーサルをしてうまく噛み合わないとこなんかもあってちょっとナーバス気味だったかな。ふたり別々の場所で開演まで過ごして、いざステージへ。
オープニングは僕の「幸せの風が吹くさ」。お客さんからのハンドクラップに手伝ってもらって軽快にスタートしたかった。続けて僕が「三日月のフープ」「pilgrim」と1stソロアルバムから2曲。2013年の『新しい青の時代』のときに仲良くなったからタカテツさんもこのへんの曲はあんまり聴いたことないだろうと意識した選曲。タカテツさんは「八月の流線型」「美少年」と音源になってない新曲を。「制作途中のアルバム楽曲を山田に聞かせる」という裏テーマがあったそう。対して僕も新曲「音楽は魔法?」で返答。タカテツさんはさらに「夢に生きて」。新作、お互いに楽しみ。


ふたりで「真夜中のドライブイン」、ある意味これが出会いの曲。それからお互い2曲ずつ、“エース級”の楽曲を投げ合う。「カッコ悪いところを見せたくない」という発言もあったけど、リラックスしたなかにピリッとした緊張感があって、この日はふたりともずっと背筋が伸びていた気がする。カバー対決は僕がHEATWAVE「オリオンへの道」、タカテツさんがフィッシュマンズ「気分」。好きなものを好きでい続けることがその人の根幹を形成する、ような気がする。
ここから二人のセッション。タカテツさんが「怪物」を一緒にやりたいと言うので、そんなエース級をシェアしてくれるならこっちも、ということで「光の葡萄」を。タカテツさんのハーモニーとても新鮮だった。「君と僕とカップとソーサー」も毎回少しずつノリが変わっていって面白い。いつか録音したい。「my favorite things」と「友よまた会おう」で締めくくり。2時間の予定だったのが全然そんなふうにまとまらず、2時間半の長丁場にお付き合いいただきありがとうございました。
珍しく打ち上げでビールを飲んだタカテツさん。春夏秋冬って銘打ったからもう1回くらいやろうかという話になりました。エイプリルフールだったから「これで最後」が嘘だったのかもね。次回は冬かな。初めてタカテツさんと飲みにいくことになったときに二人だと気まずいからと仲介者になってくれたfishing with john五十嵐くんたちが観に来てくれたのも嬉しかった。ご来場いただいた皆さん、気持ちを寄せてくださった方たち、そしてスターパインズカフェのスタッフのみんなに心から感謝を。

