午後、もう一本映画を観ようと渋谷まで出かけた。「シド・バレット 独りぼっちの狂気」、これも公開が待ち遠しかった音楽ドキュメンタリー。僕はピンク・フロイドが大好きなのだけど、それはもうシドのいないフロイドの音楽だった。『原子心母』『狂気』『炎〜あなたがここにいてほしい』、一番好きなのは『鬱』。邦題だけ見たらちょっとどうかしてるバンドですよね、知らない人にとっては。歴史としてのシド・バレットを教科書を紐解くように聴いて、それはそれでサイケデリックな辺境音楽として楽しんだものだ。心が壊れていく過程を当事者たちが語るこの映画は悲しい物語ではあったけれど、それぞれの心に棲むシドの姿が浮き彫りにされるようで意義のある作品だと感じた。
音楽ってそれだけで素晴らしい芸術だけど、その周辺の背景を知るともっとぐっと響いてくる。音楽ドキュメンタリーの愉しみ、次はPAVEMENTの元ドラマーの反省を描いた『LOUDER THAN YOU THINK ギャリー・ヤングとペイヴメントの物語』を待つ。
