千葉でライブをするのは...と思い返すと、船橋のららぽーと20周年記念イベントというのが2001年にあって、その次は幕張でのサマソニの小さなステージで歌った2006年、それ以来ということになる。プライベートではIKEAに行ったりはするけれども、やはり遠くて近い関東というイメージ。そんな千葉で満員御礼で歌えるというのはこのうえない幸せ。
お昼過ぎに吉祥寺を出て、1時間15分で千葉に到着。前回春に来たときに気になっていた「ヨーロピアン」という純喫茶に立ち寄り、アイスコーヒーで暑さを癒やし、レコード屋さんで宝探ししてから会場入り。こういうちょっとした寄り道が楽しい「八月のベルカント」の4回目。JAMというお店はライブハウスANGAの系列店、美味しいごはんを食べながら演奏を楽しめるレストランで、邪夢という表記があったり、なんとなく昭和感がある。実際長い歴史のあるお店だそうです。店内にはドラムセットもあり、バンド演奏もできる。僕はリハーサルでずっとアップライトピアノの前で練習。家では電子ピアノで弾くのだけど、やっぱり本物のピアノは違う。この日もめちゃくちゃに暑いなか、ご来場いただいた皆さんに本当に感謝。
まだまだ暑いですが「夏休みは終わったのさ」とオープニングは「way back home」、「20世紀の夏の終わり」と続く、文字通り夏の終わりを意識したセットリスト。「桃色の雲」を歌っている頃はまだ日が残って窓の外にはセピアの空が見えていたでしょうか。千葉ならではの選曲をと考えたときに浮かんだのはカジヒデキさん。僕がコロナ禍の緊急事態宣言中にお忍びで出かけたのは千葉の富津港でしたが、カジさんは富津出身ですね。「A SALL GOOD THINGS」というレイモンド・カーヴァー由来の曲をカバー、僕の「small good thigs」と続けました。ささやかだけど、役に立つ、大切なこと。
今月毎週歌っているR.E.M.のカバー、この日は「Daysleeper」、大好きな歌を熱唱して聴いてもらうというご褒美みたいな時間。「月あかりのナイトスイミング」もこの季節に似合う曲だな。「音楽は魔法?」、その日限りのライブを毎週続けているとやっぱり音楽って魔法みたいだって感じるし、ステージにいる間は魔法使いにもなれるかもしれないと思う。そもそも千葉でライブをすることになったのはHEATWAVE山口洋さんのANGAでのライブを観にきたことがきっかけでした。店長さんを紹介してもらって3ヶ月を経てこのライブが決まった。だから感謝を込めてHEATWAVE「明日のために靴を磨こう」をカバー。目が覚めて靴をピカピカにして「新しい朝のワルツ」と続けました。この日は間に休憩を取る2部制。みんなたくさん食べて飲んで楽しそうでした。
ピアノの前に座って後半スタート。キーがCの曲しか弾けない僕の定番のひとつ「LET IT BE」を一節(下北沢では「Imagine」を歌った)。レナード・コーエンの「Hallelujah」は数々の名カバーを生んだ名曲。僕もこの曲を2010年代に練習して歌っていた。それを思い出して練習してこの日披露。3番の歌詞を日本語訳詞にしてみました。「言葉の海に声を沈めて」 は2000年頃にピアノで書いた曲、初めての試みだったと思う。評判がよくてよかった。チミママの話をして「シャーとニャーのはざまで」、「あいとわをん」と今年書いた新曲。「hanalee」はこの日家族で観にきてくれた友人イラストレーター山田タクヒロさんからのリクエスト。本編最後は「小さな巣をつくるように暮らすこと」。JAMは縦長なお店で最後部席がステージから遠く感じたので、ディナーショースタイルでそこまで出向いて生音演奏しました。
アンコール写真撮影タイムにはスピッツ「夏が終わる」をギタレレで。そして個人的ハイライト、再びピアノに向かって新曲「八月のベルカント」。少しずつ歌詞を書き換えたりして曲が成熟していくのと、僕のピアノの腕もちょっとずつ熟れていくのを感じる。「baby driver」で手拍子をいただいて、最後は「セラヴィーとレリビー」で中盤の「LET IT BE」弾き語りがここに帰結。東京から少し離れたところでライブをすると普段なかなか足を運べないような方や初めての人、久しぶりの人が来てくれる感覚がある。この日もそんな感じ。ご当地ならではの落花生や猫たちへの贈り物をたくさんいただいた。ありがとうございました。
帰り道、遠くの空の遠雷の光が幻想的でした。