鎌倉、下北沢、埼玉、千葉と、8月一ヶ月をかけて毎週歌い奏でてきたそのゴールを地元吉祥寺で。昨年末以来のバンド編成、フルート上野くんも加わっての演奏はもっと久しぶり。練習の段階からずっと合奏する喜びを感じていました。9月1日だけど感覚的には8月32日、夏休みの最後の日曜日。台風でどうなるかとザワザワしていたけれどなんとかここまで辿り着けた。
8月32日、といいつつも9月の始まりの日、やっぱり最初は「harvest moon」、完璧なスタート。秋の風景を歌った「光と水の新しい関係」で季節を先取りします。この日は吉祥寺スターパインズカフェ27周年アニバーサリー月間の催し、「吉祥寺ラプソディ」でお祝い。この歌のなかで歌われる“誰かの声が聴きたい/いつもの場所で会えないかな?”のいつもの場所はスターパインズカフェのこと。「三日月のフープ」と「音楽は魔法?」では近藤さんのギターが映えて、アコースティック寄りだったソロでもこれだけロックサウンドが鳴らせるようになったのが嬉しい。「lucky star」もみんなの手拍子でさらに盛り上がりました。思えば最初のソロ・アルバム『pilgrim』をリリースした2009年から15年のアニバーサリー。あっという間か長い時間か、もはやよくわからない。
メンバー紹介を経て、さらにフルート上野くんも加わって「シャーとニャーのはざまで」。8月に“うちの猫”になったチミママのために書いた歌、自由に美しく外で暮らす様子を綴った歌詞はそのままにしておきたいと思う。初めてバンド編成で演奏したこの歌、とても楽しくかわいい歌になりました。まさかこんな大きな歌になるとは。「予感」をしっとりと、しかし熱く。「glenville」もソロの始まりの頃からずっと15年以上演奏していることになる。何度演奏しても飽きないし、ずっと終わりたくない歌。8月のライブで毎回R.E.M.のカバーを歌ってきたので、この日は真里さんにピアノを、上野くんにクラリネットのフレーズをなぞってもらって「Nightswimming」を歌うわがままを。僕のお葬式でかけてもらうことにしている曲です。続けて「月あかりのナイトスイミング」はこの日いくつかあったハイライトのひとつだったかなと思う。ミラーボールも回っていました。「光の葡萄」も熱のこもった演奏。
今年1月に夢のなかで書いた新曲「あいとわをん」をバンドで初めて合奏。真里さんのピアノ、イトケンさんのしなやかなドラムと五十嵐くんのベースの力強さ。なんだか感無量。「hanalee」でも近藤さんと安宅くんと僕の3声コーラスがエモい。上野くんの鍵盤ハーモニカもいいね。2007年から演奏している曲でもどんどん新しくなるのが音楽。「太陽と満月」でみんなソロまわしして本編終了。楽曲盛りだくさんと思っていてもあっという間に時間が過ぎる。
アンコール1曲目は僕がピアノに座って新曲「八月のベルカント」。普段アンコールはもう緊張感から解放されててただただ楽しい限りなんだけど、ここに来て精神修養の必要な曲があるのがとても新鮮。グランドピアノは鍵盤のタッチも聞こえてくる音も全然電子ピアノの違ってて、もっと何回も演奏したくなりました。「小さな巣をつくるように暮らすこと」ではコーラス録音、これにてみんなの声採集も終了。「セラヴィとレリビー」ももう何度このバンドで演奏していることか。早く録音したい。
写真撮影のときに近藤さんが弾き始めたブルースにあわせてバンドが即興で演奏をして、僕もそれにつられてスターパインズカフェ27周年をお祝いする歌になったのも面白かったな。「ハミングバード」で2時間半のステージは大団円に。いくつの山も川も越えて歌が届きますように。バンド編成「夜の科学」を次は12月に。たくさんの人に観に来てもらえたらと思います。終演後たくさんのサインとおしゃべりと贈り物をありがとうございました。
8月、この日のライブを含めて85曲も演奏しました。暑い暑い夏、もう来年は8月にライブをするのはやめようということになっているので(暑くて危険だから)2024年の夏は遠い思い出になるのかもしれません。ああ、あの夏は暑かったけど楽しかったな、と。8月全部のライブに来てくれた人が何人もいました。本当に感謝。一度でも来てくれた方もありがとう。また新しい季節に会いましょう。