伏せの姿勢のママンの背後からわきの下に手をいれて少し持ち上げてみる。軽い…、チミの3分の2くらいの重さ。体をこわばらせることもしないママン。僕はいつもチミにやる要領で膝の上にママンを乗せてみた。キョトンとした表情のママン、僕の顔を見上げて不思議そうに首をかしげる。「え!?」っと我に返ったように四肢に力をいれて僕から飛び退いたけれど、それは確かな重さと温かさを感じる数秒間だった。その日以来ことあるごとに僕はママンを抱き上げて膝の上に乗せている。新しい目標は爪切りをすること。


ママンは行動範囲をどんどん広げている。これまではずっとケージで寝ていたのに、真夜中に目が覚めて覗くとケージのなかにママンがいないのだ。僕は眠い目をこすりながら2階へ、するとチミが寝床のひとつにしている“ミーの巣” と名付けられたフェルトのなかに潜むママンを発見。「ちょっと、ママンそこチミちゃんの場所だからダメじゃん?」と近づくとシャー!と威嚇してくるママン、甘えと真逆の形相を見て可笑しくなって笑ってしまう。チミは“ミーの巣” を譲り、自分は“ミーの洞窟” ですやすや眠っていた。
ママンが行動範囲を広げるにつれて、チミちゃんの心的負担が増えないかを注視している。チミはベランダにも出られるし、リードをつけて庭で日向ぼっこをすることができるからストレスはそこで吐き出すのだろうか。ママンは今、全然屋外に興味を持っていないように感じる。チミとママンが顔を突き合わせているシーンをこの頃よく見かけるけれど、なんらかの交渉が行われているのかもしれない。最近チミは「えらいね、大人だね」とよく褒められる。ママンは状況に順応してどんどん変化していくし、チミもいろいろ頑張っている。本当に猫って素晴らしい生き物。

