2025年06月09日

シャーとニャーのはざまでーチミママのこと(17)

ママンが左耳切除の手術を受けた5月3日から1ヶ月と少しが経った。エリザベスカラーが外れてからのママンはとても快適に暮らせていて、シャーして甘えて「なでろ」と要求したり、たまに猫パンチで襲ってきたり。ご飯も食べて水も飲み、トイレもよくかき混ぜる。片方の耳がなくなったけれど、それ以外はまったく以前のママンに戻った。かさぶたが剥がれて出血を繰り返して不快だった耳のことを気にして掻いたり頭を振ったりすることがなくなったからQOLも上昇したと思う。

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手術が終わったその日、左耳の根本にあった大きな腫瘍を「ほぼ取り切った」と先生は自信と確信を持って明言してくれた。ほぼ=99.9%、残りのネガティヴな可能性を払拭するために術後一ヶ月のタイミングで「電気化学療法」を提案されて説明を受けました。電気化学療法=ECT: Electrochemotherapy は2000年代に導入されるようになったヨーロッパ発の治療法で、電気パルスと少量の抗がん剤を組み合わせる新しい犬や猫へのがん治療法で、高額で施設が限定される放射線治療の代替えになるものとしてとても注目されているそう。お話を伺うまでまったく知らなかった(治療法詳細についてはいろんな動物病院のHPなどに詳しく専門的に説明されているのでここでは触れないでおきます)。

4週間ぶりの通院、ママンは車のなかではずっと車窓の景色を不思議そうにその大きな瞳で眺めている。事故渋滞があったりして1時間と少しのドライブ、病院に着くとたくさんの犬猫たちの賑わい。土曜日はがん専門外来の日なので歳を重ねて長寿なワンちゃん猫ちゃんたちが多い印象。みんな懸命に生きてる。診察室に呼ばれたママン、術後の傷跡が信じられないくらいきれいだと褒められたが、それは先生たちのおかげ。「ママンちゃん、ママンちゃん」と裏声で名前を呼ばれ、くすぐったい気分なのかシャーすることもなくおとなしいママンをキリッとした表情に戻って「お預かりします」と先生。近隣のショッピングモールをうろうろしたり、レコード屋を探してみたり、コーヒーを飲んだりぼんやりしたりして時間をつぶしてママンを迎えにいくまでの長い一日。全身麻酔での治療なのでやっぱり緊張感はずっと持続、スマホをいつも握ってることに気づく。

黄昏時になって病院に戻るとちょうど先生と鉢合わせて、「ばっちり何の問題もなくうまくいきました」と笑顔で伝えられてホッとする。麻酔から覚めたママンは少しぼーっとしているけれど名前を呼ぶとこっちを向いた。4月の終わりから1ヶ月半の大きな治療の流れはこれでひと段落か、ママンは本当によくがんばった。この後は患部の赤みや腫れなど副作用がないか、治療の効果の検証評価と続きます。海外からの研修医の方たちがたくさん見学されていたのも印象的でした。これからのがん治療における電気化学療法への期待の大きさを表しているのかもしれません。

僕から奇襲をかけられてキャリーに閉じ込められて病院につれていかれたのが気に入らなくて、この何日か押し入れで寝たりしてツレないママンですが、元気でいてくれたらそれでいいよ。

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Posted by monolog at 23:13│Comments(0)