2025年06月12日

素敵じゃないか

中学と高校の英語教師の教職免許を持っている。というよりも、取得したことがある、と言うべきか。生涯一度も教師になったことがないし、免許の更新が必要ならば早々に資格はなくなっているはずだ。教職課程を履行し大学4年生のときに佐賀にある母校の高校で教育実習を経験した。2週間ほどだったが、実はそんなに年齢の変わらない生徒たちの前に立って英語の授業するのは得難く忘れがたい経験ではあった。テキストのなかで「否定疑問文」というのが出てきてた。「Don't you think so?=そう思いませんか?」みたいな否定疑問文。丁寧な言い方として出てきた「Wouldn't it be 〜 to 〜=〜するのは〜じゃないですか?」というセンテンスを説明するために、僕は職員室でラジカセを借りてビーチボーイズの「素敵じゃないか」を生徒たちに聴かせた。振り返ってみれば、むせるような青く気恥ずかしい思い出だ。

「Wouldn't it be nice if we were older?」大人になるって素敵なことじゃない?
「And wouldn't it be nice to live together」そして一緒に暮らすなんて素敵じゃないか

歌詞をプリントアウトして配ったか黒板に書いたか忘れてしまったけれど、本当は英語の構文のことを教えたかったわけじゃなくて、世の中にはこんなに素晴らしい名曲があるんだよと聴かせたかっただけだ。言葉が通じなくてもそれはティーンエイジ・シンフォニー。『Pet Sounds』を再生するといつもこの歌から始まるから、僕は九州の片田舎で教壇に立っている気分に立ち返る。これからもきっとずっとそう。

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Posted by monolog at 23:18│Comments(0)