ディランに続いてブルース・スプリングスティーンの映画が公開された。ボスの長いキャリアや幾多のメルクマールもレガシーも端に置いて、『The River』の成功のあと『Nebraska』を世に出すまでの2年間だけが過去の回想とともに描かれる。ディラン映画がキャリアの始まりからエレキギターを手にするまでの期間に限って物語を綴ったのと同様に、その時間の経過の濃密な感じが明確になっていて、とてもよかった。スプリングスティーンの自伝を読んだことがあったので、父親との確執や心の負荷などについては知っていたけれど、あらためてひとりの歌手の孤独と苦悩、そして音楽への希求を感じる。
帰ってきてカセットテープで『ネブラスカ』を聴いている。一番好きなアルバムは『トンネル・オブ・ラブ』なんだけど、この『ネブラスカ』はもう呪物的というか、他のどのレコードとも違う響きを持っていてとても魅力的で聴き入ってしまう。
スプリングスティーンの発言で一番好きなのは「オレはプロフェッショナルな作詞作曲家だから、ソングライティングは9時から5時までしかやらない。ビギナーズ・ラックっていうものは存在しない」というもので、しかしどこで読んだかも正確な記憶かどうかもわからない。もしかしたら僕が捏造したボス語録かもしれないが、とにかく僕もそれをきっかけに夜に作曲をしなくなった。
夜に書く手紙と歌は朝になって振り返るとちょっと大げさすぎるのだ、いつも。

Posted by monolog at 23:17│
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