デビューしてからしばらく僕は自分の歌の技量について強烈なコンプレックスがあった。歌がすごい人と対バンしたりするとひどく落ち込んだし、嫉妬したりすらしたはずだ、あの頃の自分なら。広沢さんのステージを脇目に見た20年前の僕は舌打ちだってしたかもしれないな、と苦笑いで思い返す。人間の細胞というのは3年から7年のサイクルで全部入れ替わるというから、僕は新しい僕になって広沢さんと再会したのだろう。
グレープフルーツムーンで再会してちょっと気恥ずかしい感じで「お久しぶりですー」と挨拶し、僕が先にリハーサルをして、セッション曲の練習をほんの10分ほど。すっと伸びる声にハーモニーを重ねたり重ねられたりするのが爽快。広沢さんのリハを楽屋から聴いていたら、今日は自分もすごく良い歌が歌えるような気がして、実際そうなった。今年一番気持ちよく歌が歌えたと思う。

アンコールのセッションではまず広沢さんの「Music has 9 lives」を。タイトルを見ただけで「猫に九生」という諺にちなんでいることを察したが、コロナ禍中に書いた歌だそう。僕もこの日は「生まれ変わる」ことを歌う曲をいくつも歌ったから言葉がシンクロした。最後は僕の「太陽と満月」、声を合わせて大きな声で歌う。この日20年ぶりに出会いなおせて、共演できて、本当に光栄でした。きっかけをくれたブッキング河辺さんにも感謝。
ご来場いただいた皆さんありがとうございました。グレープフルーツムーンの配信はとてもきれいでハイセンス、ライブ配信アーカイブを5月23日までご覧いただけます。
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