
去年の春から毎日猫の絵をスケッチするようになって、B6サイズのマルマンのスケッチブックが19冊目になった。毎日1枚の絵をだいたい10分かけないで描く。ツアーなんかで家を離れる日以外は描く。写真を撮らずに目で見た猫を描く。自分のなかでルールを決めてそれを淡々と続けること、僕はそれが得意だ。水彩色鉛筆と透明水彩絵具をあわせて描くのだけど(水彩色鉛筆は濡らした筆に溶けて滲む)、チミの三毛の色はもうコレと決まっている色があって、黒の鉛筆はだいたいなんでもいいし、白は紙の白をそのまま使って、しかし何種類もある茶色をいろいろ試してみても「やっぱりなんか違う」っていうことになって、結局ドイツの文房具メーカーSTEADLERのKARATっていう色鉛筆の少し赤みのある茶色でしかチミにならない。そうすると1年も描き続けているとその茶色の鉛筆だけ他よりもチビてくるわけで、いよいよ描きづらくなってきた。
こないだ東急ハンズに行ったのはSTEADLERの色鉛筆が目的だったのが、お目当てのものは見つからなかった。単体ではなかなか手に入りにくいものになっているらしい。AIに聞いて、代替えに良さそうな品番を教えてもらったけれど、やっぱりそれも違う。ネットで探してやっと栃木の文房具屋さんから色鉛筆を取り寄せた。送料のほうが高かったけれど、描いてみるとちゃんとチミになった。2本買ったからもうしばらくは心配がなさそうだ。
スケッチを初めたきっかけは昨年の5月、扁平上皮がんの治療で左耳を切除手術したママンの痛々しい姿を写真ではなくイラストに描きとめようと思ったことだった。最初の拙い絵のママンがスケッチブックの1冊目にはエリザベスカラーを付けてうずくまっていて、もう懐かしい。目で見たもののスケッチしかしないというルールゆえ、ママンをしばらく描いてなかったから昨日思い立って壁に貼ってある写真を見ながらママンの絵を描いた。ママンは基本的には黒の色鉛筆だけで描けて、目は黄色、鼻まわりだけ薄い茶色を塗る。久しぶりに描いたてみてもママンの模様のことを全然忘れてなくて、安心というか、まあまだそんなに時間も経ってないけれど、いろんなことを心に留めておかないとどんどん忘れていくんだろうなと思う。
一回始めたことをやめないクセが僕にはある。いつまでこのスケッチを描き続けるのか自分でもわからないし、楽しみでもある。
