とても面白くてアッという間に読んだ。子どもの頃の曖昧模糊とした記憶がデータとともに再構成されたり、中学時代に夢中になったテレビ、漫画、ゾッとした事件、思い悩んだ思春期のことまでを高画像化して思い出させる本だった。大学生になってバンドを組んだ頃に巷ではJリーグが始まったり、90年代に浮かれたり、初めてPHSを手にしたり、就職活動に難儀してやっと入った会社でポケベルを持たされたり。自分たちが後に就職氷河期とかロストジェネレーション、団塊ジュニア世代と揶揄されたりするなんて当然当時は思ってなかったけれど、我々は50代に突入して2026年になって今ここにいる。
ひとつ、興味深かったのは1973年生まれの人が二十歳になって選挙権を得て行われた1993年の第40回衆議院議員総選挙のこと。この選挙で初当選したのが、安倍晋三、志位和夫、岸田文雄、野田佳彦、枝野幸男、茂木敏充、小池百合子、田中真紀子、高市早苗という面々だそうだ。この選挙の結果を受けて非自民党政権が誕生し、細川護熙首相が誕生した。この選挙に自分が投票しにいったかどうか、僕は12月生まれだからまだ19歳で投票できなかったのかもしれない。憶えていない。33年前のこと。
オイルショックの年に生まれたて「あなたが生まれたときトイレットペーパーなくて大変やったんよ」と言われて続けて育った。中学の英語の教科書と愛読したFM雑誌と流行っていたレコードジャケットが鈴木英人のイラストだった。大学で上京して古道具屋で中古のワープロを買って課題を提出した。阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件のときに大学3年生でぼんやりテレビばかり見てた。アメリカ同時多発テロのときにはもうバンドでデビューしていて、東日本大震災が起きたのはひとりで音楽活動を始めてからだった。この本を読んで50年くらいが走馬灯みたいにぐるぐる回って、とても不思議な気持ちになった。同い年の友だちに薦めたいし、全然違う世代の読者が読んでも「へええ」って思うのかもね。
50余年をたっぷり振り返った。今度はこれから先の未来のことをもっと考えたい。
