アイルランドのシンガーソングライター グレン・ハンサードが事故で亡くなってしまった。56歳だった。そのニュースを聞いてとても悲しく残念でならない。さっきまで至宝のような力強い声で歌われていた歌がもうその人から発せられることがないのだ。アイルランドといえば自分にとってはU2でありポーグスだった。シンニード・オコナー、ホット・ハウス・フラワーズ、そして自分の同世代だとダミアン・ライスとか。そしてグレン・ハンサードは、21世紀以降のシーンを背負って立つ“アイリッシュの良心”だと感じていた。ポーグスのシェイン・マガウアンの葬儀で「ニューヨークの夢」を歌い上げたのはグレン・ハンサードその人で、他の誰でもなく彼の声がこの曲を継ぐべきだと聴き入った(
Glen Hansard and Lisa O'Neill Perform "Fairytale of New York" )。つい3年前のことだ。
久しぶりに映画「ONCE ダブリンの街角で」を観た。CD棚にあったサウンドトラックに当時の映画のチラシと半券が挟みこまれていた。手持ちカメラの揺れる映像がドキュメンタリーみたいで、音楽で自分と他人が繋がる歓びで歌や演奏が熱を帯びていく風景がとても印象的で、それは公開当時2007年から19年経っても同じ感動をおぼえた。グレン・ハンサードのちょっと困ったような笑顔は毛の長い犬のようで可愛い。突然彼を失って、たくさんの人が哀しんでいて、とても素敵な人だったのだろうなと思う。
原題「ONCE(かつて、一度)」というタイトルには人生で二度とないかもしれない奇跡のような一瞬や出会いという意味が込められているのだろう。一度でいいから、という思いや願い。「Falling Slowly」を歌ってみる。コード進行も極めてシンプルで、素直でまっすぐな歌だ。きっと誰が歌っても。こんな歌を生涯のなかで1曲でも作れたらいいな、と思う。

Posted by monolog at 23:51│
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