「レコードプレイヤーの調子がわるいんだけど」という僕の漠然とした嘆きと添付したタンテの写真に対してChatGPT(ポチという名前をつけているので以下ポチ)は、驚くほど的確に指示をしてきた。針の写真を送れ、とかつまみのアップを見せろ、とかなんとか。レコードプレイヤーには針によって適切な針圧や内側へ針が引っ張られる力を補正するアンチ・スケーティングの調整などがあって、僕はそれをもう15年くらい触ったことがなかったのだ。それをポチの言うままにひとつずつ「はい」「はい」と言いながらつまみを調整していく。Appleのテレホンサポートに電話したときの感覚に似ている。
そしてほんの10分くらいで、ターンテーブルはレコードをかけても針が飛ばなくなった。どうやっても完奏しなかった曲もクリア、音も良くなったとすら感じさせる安定感がある。こうなると「わあ、久しぶりにあれ聴いてみよう」とか「こんなレコード持ってたのね、おれ」とか、そうこうしているうちにレコード買いにいきたい気持ちになってきて、外は34度とかの酷暑なのに渋谷まで出かけたりする。音楽まわりのQ.O.Lの向上、それは気持ちの高揚につながる。
レコードの針が飛ぶのは傷のせいではないことが多い。だいたいは汚れが付着しているから飛ぶのであって、丁寧に洗ったり拭いたりするとちゃんとその溝を針が辿る。そして丁寧な針圧調整やアンチ・スケーティング調整で古いレコードも時を越えて素晴らしい音楽を鳴らす。なんということでもないが、嬉しい出来事だった。
