2026年08月29日

上を向いて歩く

下北沢レテのライブ映像を編集しながら自分の猫背を客観的に眺める。正面から引きのカメラと横からの寄りのカメラの2素材を組み合わせてプログラムを作るのだけど、この横から見たギターを弾いて歌うときの猫背具合がひどい。今に始まったことではなくて、背中が丸まってしまうのは多分もっともっと若い頃からで、ちょっと前までは「猫背はアティチュード(=精神的姿勢)だ」と開き直っていたところもあったのが、最近は背中が痛むときもあるし、ちょっとこれまずいな、おじいさんになって腰が直角に近く曲がってる自分の姿が浮かぶ…と思っていたところで、またあらためて猫背の自分の姿と向き合うことになった。猫背には「猫」という漢字が入っていて可愛げが潜んでいるような気もするが(そんなことはない)、猫はもっとずっとしなやかでぐにゃんぐにゃんに柔らかく、背筋だってスッと伸びるときだってちゃんとある。本気で猫背を直したい、と思った。

ウォーキングするときに意識して背中を伸ばしてみる。お腹から歩くイメージを持ってみる。腕を後ろで組んで早歩きする。慣れると気持ちがいい。いろんなことを試すといかに自分のデフォルトの背中が丸まっているかがわかる。そして気づいたのだ。上を向いて歩くと背中が真っ直ぐに伸びることに。僕は身長が177センチあるが、普段はきっと猫背のせいで170センチくらいに見えるのではないか。それが上を向いて歩くと177センチの自分の目の高さで物を見ていることに気づく。「下ばかり向いて歩いているとこ」というフレーズは「セラヴィとレリビー」のなかで歌った言葉だが、上ばかり向いて歩くと背中が伸びる。

それだけじゃない。昨日は鬱屈とした曇り空に一筋の朝の太陽の光の具合で奇跡みたいな濃い虹に気づいたが、それは意識的に上を向いて歩いていたからにほかならない。空模様の美しさは猫背の目線の上にあるものだ。ほんの5分くらい色濃く立ち昇った虹はとても美しかった。僕は背筋を伸ばしてそれを眺めて、とても気持ちのいい朝になった。満月の月は雲に隠れてしまっていたけれど、美しい月だって上を向かないと見上げられない。

昔むかし、今から25年前、豊島区にあった「南長崎第一ことぶきの家」という高齢者介護施設に僕と堀越メンバーとけっちゃんで敬老の演奏をしにいったことがある。歌を楽しんでくれる方ももちろんいらっしゃったけれど、お年を召したおじいちゃんおばあちゃんは虚空を見つめて、その方たちの耳には僕らの歌はなんにも響かないように思った。1曲みんなが知っているような曲を、とリクエストされていたので僕らは「上を向いて歩こう」を「皆さん一緒に歌いましょう」と始めたのだけど、その瞬間にそこにいた先輩がた全員のスイッチがオンになったのがわかった。みんなが手拍子をして、みんなが歌いはじめた。僕は歌詞を調べてカンペを用意していたのが、結局はみんながよく知っている一番の歌詞を繰り返し歌った。途中から涙が出てきて感極まってライブを終えたことを憶えている。

ひとりぼっちの夜ではなく、ひとりぼっちの早朝の朝を見上げながら、四半世紀前の記憶が鮮やかに蘇る。上を向いて歩いて、胸を張って、背筋を伸ばして歩く。僕の猫背は、週末のレテ配信の姿がきっと最後になる。

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Posted by monolog at 07:32│Comments(3)
この記事へのコメント
ずっと勤勉でおられるので
読書、様々な取組みに前かがみになられることが多いと思いますので
ストレートネック改善の簡単な動作が無理なく、習慣の中で徐々に痛みを和らげつつ姿勢が整ってゆく気がします。
InstagramやYouTubeで簡単な動作が沢山。身体の勉強をされた専門家が発表されていて有難いですね。
身長180cmになってしまうかも〜
Posted by スチレートネック改善で at 2026年08月29日 10:14
2020年ころでした
誰にも会えず
やるべきことを終え帰路に空を見上げた時に
この歌が、、、

それまでピンと来なかったこの歌
止めどもなく涙が溢れ出しました
Posted by 上をむいて歩こう at 2026年08月29日 15:57
少し猫背な山田さん嫌いじゃありません。けれど、健康面で考えたら背筋伸びている方が断然よいです。猫背を克服した立ち姿楽しみにしています。
Posted by ニケ at 2026年08月30日 18:11