ええ、なんで僕だってわかったんですか?と問うと店員さんは「カメラの録画を見て、あ!このとき置き忘れた!っていうのが映ってたんです」とニコニコしている。僕は朝から「すごい」と感動してしまって、その単4電池4本をありがたく受け取った。防犯カメラの精度っていうのも今なら想像以上に高性能なのだろうな、悪いことはできないなとピリッとする。きっとこの朝番の店員さんは指名手配犯のように僕の顔を記憶してこの数日ずっと気を張っていたのかもしれない。
僕が20数年前にコンビニで深夜シフトのバイトをしていたとき、いつも買い物に来るお客さんたちひとりひとりに密かにニックネームをつけていた。「なめらかプリン」とか「ちぎりパン」とか「おでんくん」とか、そんなのだ。きっと僕はこの数日間、「電池」というあだ名だったに違いない。もはやコンビニは生活に必要不可欠な、街の給水所のような場所だけれど、その底力みたいなものを見た気がした、単4電池4本にまつわる出来事だった。明日またその店員さんがいたら「あ、電池の人だ」って思われるんだろうから、こちらからニコッと笑って「おはようございます」と挨拶しようと思う。
