2018年6月16日(土)@ 経堂 cafe+gallery 芝生
山田稔明 Tシャツ展 “トーク&ライブ”
1.believe in magic in summertime?(『down the river to the sea』)
2.海があればよかった(『down the river to the sea』)
3.ストロボ(『neon, strobe and flashlight』)
4.何もない人(『weekend』)
5.Tシャツレボリューション(ザ・コレクターズ カバー)
6.ペニーアーケードの年(b-flower カバー)
7.ローラースケート・パーク(小沢健二 カバー)
8.saturday song(新曲)
9.my favorite things(『the loved one』)
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10.新しい季節(『neon, strobe and flashlight』)
6月8日から始まったTシャツ展、会期中2回目のクローズドイベントが昨晩盛況のうちに終了しました。先週とまったく同じセットリストで演奏しましたが、1週間前はくらくらするほど暑くて汗だくだったのに、昨日は反対にTシャツだけだと寒くて震えるほどで、6月の気候の振り幅を思い知らされることになりました。予想以上にたくさんのお申込みがあり、ご来場のご希望が叶わなかった方が多くいらっしゃったことを申し訳なく思います。小さなギャラリー芝生の空間でPA機材を使わず生音で演奏するのはとても心地よかったです。自分の部屋で歌っているのと同じ響き、leteにも近いかなあと思った。
先週も昨日もTシャツの歴史とか妙なこだわりをつべこべしゃべって「Tシャツ展」でのトーク&ライブが始まりました。自分で書いた歌のなかで「Tシャツ」「シャツ」が出てくる歌を歌う試み。最初の「believe in magic in summertime?」には「Tシャツの上に薄手のシャツを着て夏支度の最中」という、1行のなかにシャツという言葉が2度も出てくる、今の自分なら推敲で落としてしまう反復。「海があればよかった」も同じく1997年のインディーズ時代のCDからの歌で、「Tシャツに張り付いた良い色に焼けたその赤い素肌/とりこにさせて」という今なら書かない非等身大の言葉が面白い。「ストロボ」では「知らない誰かに胸がときめくのは/目に鮮やかなブルーのシャツのせいだ」と歌いますが、襟付きシャツのつもりでいたこのフレーズももしかしたらTシャツだったのでは?と19年を経て思いなおした。
いつも「何もない人」を歌うとカラカラとグラスの氷が音を立てて何も予定のない夏休みの風景が浮かんでくる。「ベランダでひるがえるTシャツが/曇りなき青色に溶け出す晴れた日に」は自分が書いてきた言葉の中でも五指に入る好きな一節。他に「シャツ」出てくるけどセットリストの選から漏れたのは「真夏のスキャット(最初に会ったその日から僕はなんにも変わらずに/ほらね/去年と同じシャツを着て)」、「溶けて死ぬのさ(あたたかな風が僕のシャツをそっと揺らしてた)」、「手と手、影と影」に出てくるシャツはボタンをかけ違っているので襟付きですね。最近では「歓びの歌」(コーヒーカップとお気に入りのシャツ、昨日と同じカバン)。結構あるものです。
カバーで披露したのはザ・コレクターズの「Tシャツレボリューション」、個人的には今回の展示における心のアンセムでした。「この汚れた世界を/スートンズのベロTでなめまわす想像してたら/笑いが止まんないよ」とか最高のパンチラインが随所に。そして“お気に入りのシャツ”代表としてb-flowerの「ペニーアーケードの年」を歌いました。「お気に入りのシャツを着て/靴ひも結んだなら」これも襟付きシャツだろうけどね。そして大学生のころから歌っている小沢健二「ローラースケートパーク」には「長い手を不器用に伸ばし/赤いTシャツの女の子」が登場。こんなふうにパッと着こなしてほしくて今回死後くんのTシャツラインナップに赤を忍ばせたのです。
最後に歌った「新しい季節」は20年以上前に友との別れを描いた歌で、とても思い入れのある曲。紫陽花が出てきたりして季節はもう今、という感じ。「半袖のシャツの濡らす/動き出したスプリンクラー」、サビで破り捨てる“君”のポーズを付けた写真はTシャツ姿だったでしょうか。新しい季節はもうすぐに思い出を塗り替えることでしょう。厚いなか、そして雨で寒いなかのご来場に心から感謝。そして、今回の展示とライブで歌ったTシャツソングたちを何年にも渡ってお世話になり、妙なこだわりやスケジュール的なわがままを辛抱強く聞いてくださった印刷会社 東久プロセスの小嶋さんに捧げたいと思います。本当にありがとうございました。