2021年08月14日

チミママの帰還2021

うちにもう7年ご飯を食べに来ている地域猫で通い猫のチミママ(ママン)が、7月28日から姿を現さなくて、僕は僕で下北沢leteのライブがあったり奈良に行ったりと忙しくしてたのがちょっと落ち着いて、来なくなって1週間、2週間と時間が経てば経つほど心配で、それでもママンはこれまで3ヶ月とか半年とか姿をくらますこともあったから、僕にできることは待つことしかない。日に何度も「ママン」と声をかけたり、わけもなく庭先に明かりを付けてみたり。ここ数日はご近所の猫コミュニティに「最近チミママを見かけましたか?」と尋ね回ったりしたんだけど情報がなくて、コロナ禍だし大雨だし、もうなんだか気分も随分沈んでしまって、心を鎮めるために絵を描いたりしていた。

そしたら夜になって、ポチ実が興奮気味に窓へ突進するように駆け出したので外を見やると、果たして、チミママがタタタタっと帰ってきた。ニャーと鳴きシャーと見得を切るお決まりの挨拶も。ママン!ママン!と大騒ぎになって、ご飯をたくさん用意して水も飲んでママンは元気、とても嬉しくて、実際僕は「ママン!うれしい!」と何度も声に出していったのではないかな。蚊アレルギーの炎症がひどくて痛々しいが、もうこれは毎年のことで秋が来るのを待つしかない。日記を遡るとママンは去年も夏の一番暑い頃に10日間姿を消したみたいで、雨が降って東京は急に気温が下がって寒いくらいだったから、ママンはもしかしたら秘密の避暑地で酷暑を過ごして、新しい季節とともに帰ってくるのかもしれない。

とにかく、ママンがいることがとても嬉しくて幸せ。この夏一番うれしい出来事。

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<猫騒動まとめ>

初秋の猫騒動(はじまり)
初秋の猫騒動(続報)
初秋の猫騒動(4日目)
初秋の猫騒動(5日目)
初秋の猫騒動(6日目)
初秋の猫騒動(7日目〜1stシーズンの終わり)

秋の猫騒動 セカンドシーズン(1)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(2)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(3)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(4)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(5)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(6)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(7)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(8)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(9)
秋の猫騒動 セカンドシーズン(10)/2ndシーズンの終わり

秋の猫騒動 サード・シーズン(1)― ポチ実登場から1ヶ月目の朝
秋の猫騒動 サード・シーズン(2)
秋の猫騒動 サード・シーズン(3)
秋の猫騒動 サード・シーズン(4)
秋の猫騒動 サード・シーズン(5)
秋の猫騒動 サード・シーズン(6)
秋の猫騒動 サード・シーズン(7)ポチ実の弟…?
秋の猫騒動 サード・シーズン(8)いりこがつなぐ縁
秋の猫騒動 サード・シーズン(9)チミオは弟ではなく妹だった…!
秋の猫騒動 サード・シーズン(10)3rdシーズンの終わり

猫騒動 4thシーズン(1)新しい季節のはじまり
猫騒動 4thシーズン(2)2014年の猫騒動
猫騒動 4thシーズン(3)ポチ実の“home sweet home”
猫騒動 4thシーズン(4)ポチ実の“home sweet home”
猫騒動 4thシーズン(5)ポチ実の“回復雑記”
猫騒動 4thシーズン(6)続・ポチ実の“回復雑記”
猫騒動 4thシーズン(7)猫返し神社 巡礼”
猫騒動 4thシーズン(8)いい猫 わるい猫 ふつうの猫”
猫騒動 4thシーズン(9)猫の町内会”
猫騒動 4thシーズン(10)生活の残り香|4thシーズンの終わり”
猫騒動 4thシーズン(extra)チミママの建もの探訪”

猫騒動 5thシーズン(1)新しい季節、春のスケッチ”
猫騒動 5thシーズン(2)出会いと別れの春”
猫騒動 5thシーズン(3)猫がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!”
猫騒動 5thシーズン(4)初めての夏が来る”
猫騒動 5thシーズン(5)ポチの一周忌”
猫騒動 5thシーズン(6)ようこそ後輩”
猫騒動 5thシーズン(7)リアル猫町オーケストラ”
猫騒動 5thシーズン(8)季節をひとまわり”
猫騒動 5thシーズン(9)ポチそっくりの猫登場から1年…”
猫騒動 5thシーズン(10)ポチ実がうちの猫になって1年/5thシーズンの終わり”

猫騒動 6thシーズン(1)猫とまた新しい生活”
猫騒動 6thシーズン(2)ダライラマ先生に報告”
猫騒動 6thシーズン(3)チミママが帰ってきて地域猫に”
猫騒動 6thシーズン(4)チミママ、その後”
猫騒動 6thシーズン(5)お隣のノアちゃんと来なくなったチミママ
猫騒動 6thシーズン(6)ポチの三回忌、ポチ実の2歳の誕生日
猫騒動 6thシーズン(7)初めての邂逅、チミモイ記念日
猫騒動 6thシーズン(8)2年目のポチ実記念日
猫騒動 6thシーズン(9)チミママが帰ってきた!
猫騒動 6thシーズン(10)チミママその後

猫騒動 7thシーズン(1)ネコミュニケーション
猫騒動 7thシーズン(2)新しい季節はなんども
猫騒動 7thシーズン(3)猫町の夏物語
猫騒動 7thシーズン(4)ポチと紫陽花の季節
猫騒動 7thシーズン(5)ポチ実3歳の誕生日
猫騒動 7thシーズン(6)夏がやってきた
猫騒動 7thシーズン(7)9月2日はポチ実記念日
猫騒動 7thシーズン(8)毎日が記念日
猫騒動 7thシーズン(9)暮れの元気なご挨拶
猫騒動 7thシーズン(10)猫町の大雪、チミママのシェルター

猫騒動 8thシーズン(1)鳴り終わらない猫町ラプソディ|エッセイ集発売から1周年
猫騒動 8thシーズン(2)ダライラマ先生の眩しい眼光
猫騒動 8thシーズン(3)降っても晴れても紫陽花の庭
猫騒動 8thシーズン(5)9月は実りの月

「なんということでもない、ポチ実の話」

猫騒動 8thシーズン(6)猫町相関図  

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2021年02月10日

ポチ実のお手柄

真夜中過ぎに2階で眠っていたポチ実がものすごい勢いで階下に降りてきて、玄関のところで小窓から外を凝視して唸り声をあげ始めた。うとうとしていた僕もすっかり目が覚めてしまって「なになに?なんなの?」とチミの背中越しに外を見やると、猫が1匹、いる。チミはいよいよ興奮してタヌキみたいな尻尾になって唸り、背中をさする僕の手にすら噛み付くほど。チミをなだめさせて玄関をあけると暗がりにいるのは茶色の猫?「あなた誰?」と声をかけるとニャアと鳴きながらうちに入ろうとするからまたチミがギャアギャア言う。

あれ?ノアちゃん?いやいや顔つきが違う。いや、しかし灯りに照らされたその猫はベンガル模様。僕はインスタの「#お隣のノアちゃん」ハッシュタグの写真とその猫を見比べながら声をかける。うちに入ろうとするのは玄関の作りがうちとお隣とは同じだからだ、と気づく。寝静まった猫町…、しかし猫の脱走は一大事であるから、僕はお隣の呼び鈴を何回か押したが全然出てこない…。ノアちゃんは不安そうに鳴き続ける。

LINEしたら繋がった。慌ててお隣さんの玄関が開くとノアちゃんは光の速さで家の中に戻っていった。「不審な男が呼び鈴を押し続けるのが見えて超こわくてー」とお隣の娘さん。「不審な男だと…!」と絶句するオレ。とにかく、猫がなんともなくてよかった。ノアちゃんはいつのまにか脱走し結局小一時間くらい外をうろうろしていたらしい。チミが気づかなかったらと思うとぞっとする。警備官チミちゃん、この最近で何度目かのお手柄。こういうことがあると猫騒動日記というカテゴリーで記録していたことをすっかり忘れていた。また新しいシーズンを書き始めようかと思う

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2019年04月23日

猫騒動 8thシーズン(7)新しい仲間|sippoに取材していただきました

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お隣にセヌちゃんというアメリカンショートヘアの女の子がやってきた。5ヶ月くらいで、まだ小さくてしなやかで可愛い。人馴れしていて物怖じしない。近藤さんも誘って今日はセヌちゃんの猫町お披露目会が我が庭で行われたのだ(お隣との庭のフェンスを開放)。仔猫セヌちゃんにみんなメロメロ。庭の境を越えてノアちゃんやリルくんも大騒ぎ。さすがの内弁慶ポチ実も階下に降りてきて庭の様子を伺う。ノアちゃんとポチ実が直接触れ合うのは2年前のゴールデンウィーク以来のこと。鼻と鼻を合わせるぎこちないキスが可愛かった。猫町は今日も平和でどんどん楽しくなる。

先月取材を受けたsippoの記事が公開されました。とても丁寧にたっぷり話を聞いてもらえた。ポチ実のことだけじゃなくてポチのことまで。こういうふうに記憶を反芻するのはしみじみと感慨深く、また新しい気持ちが湧いてくるのが面白い。現在発売中の雑誌「ねこ」の記事とあわせてお楽しみいただけたら嬉しいです。

sippo/旅立った愛猫によく似た子猫が庭に出現「世界に色が戻った」

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2019年01月21日

猫騒動 8thシーズン(6) 猫町相関図

猫は毎日かわいいし、かわいいことに慣れない。それは本当のことなのだけど、毎日を忙しく過ごしているとかわいいと思ったことを「かわいい」とおざなり言って済ませたり、言葉にさえしないで(かわいい)と心で思うだけになったりするものである。この忙しい数年を思い返してみると、愛猫についての文章を丁寧に書き記してこなかったなあと反省する。インスタグラムでは毎日猫の写真を投稿しているのだけど、新しく僕と猫を知った方たちに「チミママちゃんはポチ実ちゃんの本当のお母さんなのですか?」等と問われることも多くて、そのたびにハッとする。当たり前だと思っていることが誰かにとっては新鮮なのだ。久しぶりにとある出版社から猫についての原稿依頼があってあたふたしていることもあって、今年はなるべく普段から猫についての記事を書こうと誓ったのです。

ポチ実は2014年、先代猫ポチを失った2ヶ月半後の秋に突如うちの小さな庭に迷い込んだ野良猫。ポチと同じ縞三毛模様、生まれ変わりだ!と信じて疑わない僕が1週間ご飯をあげて手なずけて、えいや!っと捕まえてうちの猫にしたのです。それはそれはかわいい顔をしていて、そのかわいさは4歳になった今も変わりがありません。ただ、僕らがベタベタとくっつき合って暮らしているかというと実はそんなことはなくて、あくまでもポチ実にとって僕はあの日以来「あたしを捕まえて自由を奪った飼い主」という認識らしく、かなりドライな、たとえば思春期の女の子とそのお父さんくらいの緊張感を持って生活を共にしているのです。だから4歳になっても落ち着かずにいたずらするし、僕が思わず「ちょっとチミちゃん…やめてー」とあたふたしてしまうようなことを、する。毎日する。

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僕らが住む街をいつからか仮名で猫町と呼ぶようになった(近藤研二さん宅も2ブロック先の同じ猫町)。この猫町には猫がたくさんいる。飼い猫も、地域猫も、野良猫も。ポチ実がうちの猫になってからすぐ、とてもきれいでクールな眼差しの猫が庭先に現れたのだけど、それがチミママだ。その容姿からポチ実のお母さんかなあと想像していたらご近所の情報で裏が取れた。チミママはこの町界隈でどんどん猫を産み増やしている野良猫だったのだ。チミママはその後むさしの地域猫の会のボランティアスタッフの方に捕獲器で捕まえられて不妊手術を受けて元いた場所に戻されて地域猫になり、今でもほぼ毎日うちにご飯を食べにくる。だから、チミママとも僕は4年の付き合いになるわけだ。

今年に入って、かつてクマと名前をつけていた野良猫が数年ぶりに我が庭に現れた。この猫はチミママが最後の子供(チッチとミンミと名付けて、この子らも保護されて今2匹一緒で元気に暮らしている)を産んだときの父親、警戒心の強い猫ですぐ逃げてしまうのだけど、やっぱり元気でいてくれたことが嬉しい。それで思い出したのが多分ポチ実の父親だったはずの茶白の猫で、この茶白(チミパパと呼ぶ)はポチが元気だったころに一回だけうちの庭の塀の上を悠然と歩き去った。ご近所情報によるとチミパパは数年前にお向かいの家の庭で亡くなっていたのを発見されている。ポチ実の姉妹のチミオ(最初オスだと思われていたのが女の子だった)とサビ子という猫のことも忘れない。このあたりの猫騒動のおかげで僕はご近所に親しくする知り合いがとても増えた。

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近藤さんちのモイとウニ、お隣にはノアちゃんというベンガル猫とマルプー犬のリルくんがいて、お向かいにはマコちゃんというキジ猫がいる。少し歩くとミルちゃんという猫がいて、この猫はポチ実によく似ているからチミママと関係があるのかもしれない。ポチ実は今でも人見知りで内弁慶だけれども、この猫町には交わったり交わらなかったりする軌道のようなものがあって、それは小さな宇宙のようなものを構成している。どこの猫もかわいいし、みんなが元気で長生きすればいいなあと毎日思うのです。この冬もうちの庭にチミママ用の小屋を作ってあげた。電気アンカの低い温度で温めてアルミの断熱材を敷き詰めて快適、二日に一日はその小屋から眠そうに出てきてあくびをして伸びるチミママを眺める朝に出会う。

ポチ実は僕の布団に一度か二度まさぐり入ってきたのだけど、やっぱり自分の寝床で寝るようになった。今年は暖冬なのだろうな、と思う。そして、今日もポチ実を見てかわいいなあ…と思う。きっと明日も明後日もそうなのだろう。猫は平和であり、正義である。なんと自由で美しい生き物だろうか、と毎日毎日、目がさめるたびに思うのだ。カレンダーをめくるように。

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2018年09月13日

猫騒動 8thシーズン(5) 9月は実りの月

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9月は「harvest moon」、実りの月。自分の名前の漢字を使って「稔りの季節」だと言うこともできる。10日前の9月2日は初めてうちの庭に野良の仔猫ポチ実(当然そのときまだ名前はなかった)が現れた記念日だった。上の写真は僕が慌てて撮った、初めてのポチ実の写真、うそみたいな、妖精さんみたいな姿。それは2014年、ポチが亡くなって2ヶ月半後のことでした。それまでの寂しく色褪せたモノクロームの風景が総天然色に塗り替わるような出来事だったのでとても大切な日であるわけだけど、僕はGOMES THE HITMANのツアーファイナルの翌日でよれよれフラフラの二日酔い状態だったこともあり、お昼を過ぎたあたりで「わ!やべ、今日チミ猫記念日やんか!」と気づいた始末で、ポチ実もシラーっと僕を素通りしていく。

それにしても、4年前の9月頭の1週間は奇跡みたいな美しい時間で、たくさんの写真が残っていていろんなことを思い出す。ポチに供えるためのフードがたくさんあったから、すぐお皿にあげてまず彼女の胃袋をつかみ、遊び盛りの仔猫の本能に訴えるべく猫じゃらしで一日中遊んだ。縞三毛の模様がポチにそっくりだから「ポチ似」と呼び、それがポチミと変化し、横腹にリスみたいな模様があるから木の実の「実」がいいと思って「ポチ実」にしたが、それは稔という文字と同じ意味を持っていたし、冒頭にも書いたように9月は実りの月なのだ。

野良猫ポチ実をついにがしっと捕まえて家に入れて “うちの子” にしたのは日付が変わった9月9日だったからその日もポチ実記念日なのだけど、今年の9月9日になった瞬間僕はバリから成田へ向かう飛行機のなか、多分赤道の上あたりでグーグー眠っていたから「チミちゃん、うちの子になって4年、ほんとありがと!」と抱き寄せることはできなかった。4歳になったポチ実は元気すぎるほど元気で、気心しれた猫番さんのおかげで留守番も気丈にこなすようになったから僕は安心して旅に出ることができた。今日はうちの子になって4年と4日の記念日ということで、迷惑そうな顔で嫌がるのも構わず顔を擦り合わせて日頃の感謝をしようと思います。毎日毎日飽きることなく可愛くて面白くて、どうもありがとう。同じようにポチにもきれいな花束を。

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2018年06月19日

猫騒動 8thシーズン(4)ポチの四回目の命日

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今日は2001年から2014年まで一緒に暮らした愛猫ポチの4回目の命日。今の自分にとってポチがもたらしてくれたものの大きさを、彼女がいなくなってもなおさらいっそう感じながら日々を送っています。うちのリビングにはちょっとどうかしてるくらい大きく引き伸ばしたポチのポスターがあの夏以来ずっと飾ってあって、寝ても覚めても毎日目が合うので、一日たりとも彼女のことを忘れたことなどないのだけど、今日はポチの骨壷に風を通すのにふさわしいような梅雨の晴れ間で、紫陽花の庭が大好きだったポチの姿がポチ実にだぶって、とても不思議な気分で僕はそれをしばらく眺めていました。

ポチは四年前の今日、病院の診察台の上で呼吸をするのを、胸の鼓動を鳴らすのをやめましたが、後に彼女は語り部の言葉を通して言いました。「病気のときはさすがにしんどかったけど、重たい鎧を脱ぐような感じで、あの日からこっちは自由で楽しく暮らしているの」と。死んだら終わり、っていうことじゃないじゃない?ずっと繋がりは繋がっていくのよ、と僕を諭した。様々なかたちで、はじまりが何回もあって、それは次の季節へと続いていくのです。多分、ずっと、いつまでも。

たくさんのお花をありがとうございました。忙しさにかまけて花屋に立ち寄れなかったのに、リビングが花で溢れてます。

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2018年06月07日

猫騒動 8thシーズン(3)降っても晴れても紫陽花の庭

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6月に入った途端に晴れた日が数日続き、梅雨入りが発表された昨日は一日雨だったけど今朝になってまた晴れて太陽の光が差してきた。今年はいつもより紫陽花がたくさん咲いていて、ポチ実が遊ぶ背景に青紫の花がいくつも揺れる風景はとても絵になる。そしてやっぱりポチのことを思い出す。いや、ぽっちゃんのことを忘れることは一日もないわけだから、「いつもより強く思う」と言うほうが正しいかもしれない。ポチ実は最近どんどんポチに似てきた。

4年前、2014年の今頃からポチはどんどん具合が悪くなっていった。日記を読み返すと簡単にその頃の心許ない不安な気持ちが巻き戻るけれど、ポチが燃やし尽くした命のスケッチが線香花火のように儚く愛おしく感じられようになったのは時間という名のレメディだろうか。6月は日付がそのままポチとの記憶に紐づけされた一ヶ月間。これは何年経っても変わらないんだろうなあと思う。数ヶ月前、アニマルコミュニケーターさんを介してポチは僕に「あたしが“いる”って思う瞬間が一日に何回かあるでしょ? べ、別に成仏してないわけじゃないんだからね!」と伝えた。ポチがいなくなった夏から僕がずっと思っているのは、虹の橋のたもとなんかよりうちの紫陽花の庭にいるほうが絶対居心地がいいだろう?ということで、そういう意味では僕とポチは相思相愛なのだな。紫陽花は秋に立ち枯れても、また次の初夏に美しく咲く。

4年前はポチに付きっきりでワールドカップを1試合も観なかった。もうすぐあのとき以来のワールドカップが始まる。正直全然興味はないんだけど、今年は人並みににわかに盛り上がってワーワー観戦できたらいいなと思う。ポチが最後まで生き切った証である当時の日記を下記に。



ポチの看病日記 2014


2014年6月4日(水)
朝、玄関に吐いた跡。砕いたカリカリかと思ったが昨日のカツオのよう。スープをそれなりに食べた。ぐったり。かぼそく鳴く。久しぶりの病院。体重は減らず4.85kg。よく肥えてて腎不全の体型ではないと言われる。平熱。血液検査の結果は…。去年相当具合が悪かったときより腎臓の値が悪く落胆。オシッコが臭うのはもしかしたら膀胱炎かも。去年と同じように輸液の治療を頑張る。吐き気止めと口の炎症のためのステロイドを入れてもらう。今週は通院だ。「おとなしくてえらいね」と言われた。

帰宅して2階へ上がりたがるがリビングで寝て欲しいので阻止。カリカリを少し食べた!輸液の効果か。ずいぶん楽になったような感じもあるがもう楽観はできない。もはやネットでいろいろ調べても気を楽にさせてくれるような記事は見つからないので、一所懸命ポチと頑張るのみである。


6月5日(水)
朝、気づくとポチは二階に。ウグウグと気持ち悪そう。しかしカツオのフレークを半分くらいガツガツ食べた。ちょっと目に力強さ。トイレ、オシッコ多め、わずかだが固いウンチ!トイレシート交換。鳴き声大きくなる。午前中、庭に鳥がたくさんやってきてポチ興奮。徐々に動きまわるようになり、その姿は元気そのもの、いつもと変わらない。もう治ったの?というわけにはいかないが体が幾分楽になったかな。モンプチを半分くらい食べた。いつものようにテーブルから床へストンと。いつものポチの感じ。朝、フォルテコール(腎臓のクスリ)を投薬。イトケンさんたちがお見舞いに。最初は調子良く振舞っていたが途中で2階へ。机の下、奥の方へ閉じこもって嫌な感じ。マグロで釣ったら出てきて階下へ。

通院二日目。昨日と違う先生、同じ処置。数値的には末期という言葉を使いたくないが、どうしてもそういう話になる。いろいろな可能性を前向きに提案してくれて嬉しい。ウンチを少量。夜中、ぼんやりするポチと一緒に僕もぼんやり。少しうぐうぐするも吐かず。


6月6日(金)
朝、腎臓食を食べてくれた。しかし9時過ぎになって二階の押入れのなかへ…。午後出かけて帰ると階下に降りてきていて安心。カツオ少し食べる。水も飲む。通院3日目。体重4.9キロとなぜか増えるポチ。昨日から吐かなかったので脳に直接作用する吐き気どめはやめる。輸液と胃壁に作用する吐き気どめ、ステロイドを点滴。明日は自宅待機で様子をみてみようということに。胃酸を抑えるガスターの錠剤を処方された。夜、落ち着いてリビングのオットマンの上で悠々と。


6月7日(土)
通院なし。ご飯は食べるが量は少なめか。押入れで寝るが、夜に寝てないのでそのままにさせとく。外出から帰ると階下に。夜は一緒の布団で寝た。


6月8日(日)
この日も病院には行かないで様子を見る。スープを食べて寝室で寝る。連日の雨で湿気。人間も猫もぐったりするのは梅雨のせい?夜、カツオ1.5切れとスープいつもくらい。なぜか外に出たがって、外に水を置くと飲む。お風呂に置いた水も。輸液が欲しいのかな…夜は一緒に寝ず。


6月9日(月)
朝病院へ。調子は思わしくない。輸液と吐き気どめを注射。腎臓の薬を一ヶ月分。帰っても寝てばかり。食も細るが体重が減らないのだけが前向きな事象。


6月10日(火)
お昼前に病院へ。体重は4.9キロ、なぜ増える?初めて自分で輸液の注射を試してみた。口周りを見てもらうがそんなに痛みを伴う炎症はなさそう。輸液と炎症対策のステロイドを注射。ステロイドの副作用で食欲が出ることがあるらしい。精神安定剤を入れたら効くのかなあ。帰宅、スープもカツオもなにも食べず…。水もあんまり飲まないし。水素水という、腎臓病にいいと謳う水を買ってきたが、飲まず。真夜中、COMBOをあげたら食べてくれた!去年もそうだったのだ。なに食べなくなったら最後の頼みはCOMBOである。少し安心。なんとか快方に向かって欲しい。お願いだから。

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Posted by monolog at 10:34Comments(0)

2018年05月12日

猫騒動 8thシーズン(2)ダライラマ先生の眩しい眼光



本当なら去年の秋に受けるはずだった3種混合ワクチンを、飼い主の忙しさにかまけて伸ばし伸ばしにしていたら季節がふたつ過ぎてしまった。久しぶりに晴れた窓際で気持ちよく寝ているポチ実をヒシっと捕まえてキャリーバッグに詰め込んで出かけた。ガクガク震えながら「ウォーン」と鳴く声が1年前より力強い。かかりつけの動物病院に着くとちょうど院長のダライラマ先生がいらっしゃって「おっ、山田さん久しぶりだな」「わー先生!ご無沙汰してます」と挨拶を交わす。

このダライラマ先生は小説『猫と五つ目の季節』にも登場する、先代のポチからお世話になっている先生で、ダライラマ先生というあだ名は僕がつけた。怖いような優しいような、慈悲深い顔をされているのだ(もちろんその名前で呼びかけたことは、ない)。ポチがいなくなったあと庭に現れたポチ実を保護したときも一番に診てもらった。「ポチにそっくりじゃない!」といつも厳しい顔に笑顔がこぼれたときのことを忘れない。久しぶりに診察台のうえでカチコチに緊張しながらダライラマ先生に触診され、目、耳、歯と異常がないかちょっと手荒く診断を受けるポチ実を見ながら、僕は少し感慨深くなる。同じように緑色の診察台の上で一点を見つめて騒がなかったポチのこともちゃんと思いだす。

ポチ実は今3歳で、元気の盛り。来月4歳になる。体の不調らしきところはひとつもないが、血液検査までやってもらう。お金と手間がかかるがポチ実にはずっと長生きしてもらいたいから、健康問題についてはもう手を抜かないことにした。去年同様「運動不足」「食べ過ぎ」とは言われたけれど、検査の結果は概ね問題なくて安心した。ブルブル震えるポチ実の両手足を羽交い締めにしながら看護婦さんが「ポチ実ちゃんってかわいい顔」と呟くのを聞いて、この場に似合わない言葉だなと思いつつも「そうなんです、毎日可愛いんですよ」と応えて笑った。待合室で会計を待つ間に押し黙って深刻な表情の飼い主さんが2人診察室に呼ばれた。4年前の僕もきっと同じ顔をしていただろう。

健やかに元気で、ずっと穏やかな日が続くといいな、と心から願う。





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Posted by monolog at 09:40Comments(0)

2018年04月03日

猫騒動 8thシーズン(1)鳴り終わらない猫町ラプソディ|エッセイ集発売から1周年

新しい季節が来ました。わが庭の梅の花がいつもより早めに咲いて散って、そして斜向かいのおうちの大きな桜の木が満開になり、昨日からは雨のような花吹雪が降り続けている。ポチ実は庭で、窓際で、ベランダで、その花びらを目で追って見つめていて、4回目の春の季節をどんな気分で過ごしているのでしょうか。チミママは毎日ご飯を食べにやってきて、健康的で丸々としています。向かいの屋根の上で気持ちよさそうに毛づくろいをしている姿は自由で優雅。ポチ実はお隣のノアちゃんとリルくんとも相変わらずフェンス越しに仲良くやっています。今が猫たちにとっても一番気持ちがいい季節かもしれません。

桜の写真と一緒にポチ実を掲げて写真を撮っていたら「ポチ実ちゃん大きくなったわねええ!」とお隣から驚き呆れられ、毎日何かしら猫たちが起こす愉快な騒動があって(人に言えることも言えないことも)、ご近所の近藤家もモイもウニも頑張ってて、お向かいのマコちゃんは実は男の子だったと判明したあとも変わらず日向の窓際にいてどんどん大きくなっていく。ここ“猫町”での猫騒動はずっと賑やかに続いている。2014年から書き綴ってきた猫騒動日記も第8シーズンのスタート、大河ドラマの様相を呈してきました。

この4月でエッセイ集『猫町ラプソディ』が完成してから1周年となります。猫についての文章ばかり20篇の書き下ろし文章からなる本、ポチもポチ実もチミママもみんな登場する愛すべき一冊です。ぜひ未読の方は手にとってお読みいただきたい。活字のなかから季節を駆け踊る猫たちの姿が浮かんでくるはずです。今日は1周年を記念して『猫町ラプソディ』の冒頭に掲載した「はじめに」という章を下記に転載したいと思います。もともとネコパブリッシング刊行の雑誌『ねこ』2016年2月号のために書き下ろした文章に少し手を加えたもので、この本のイントロダクションに相応しいかと思います。全国書店でご購入できますし、オフィシャル通販STOREでは特典ポストカードとサインを描き入れたものをお送りしています。

1歳になった『猫町ラプソディ』をよろしくお願いします。この町の狂詩曲は今日も鳴り止まないのです。


オフィシャル通販STOREで『猫町ラプソディ』を購入


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はじめに

 我が家の愛猫ポチ実との朝は忙しい。いきなりお腹の上にどんと飛び乗ってきて、濡れた鼻を顔に押し付けて僕を起こし、「アタシを陽当たりのいいベランダへ出せ! にゃーにゃー」とねだる。逆に僕のほうが早く起きたときは、忍び足で眠るポチ実に近付いて驚かして、起き抜けの三回のあくび――いつも決まって三回なのだ――を携帯電話のカメラで激写するグラビア撮影の時間。
 うちの猫になって三回目の春を迎えようとするこの頃は、わが家の小さな庭の梅の木に咲いた花をついばむ鳥たちを見つめて、どうにかして捕まえられないものかと匍匐前進する姿が微笑ましい。猫と暮らす日々には、毎日些細な変化がある。昨日と今日が同じようでいて少しずつ違う、というのがいい。

 二〇一四年の夏に、十三年間一緒に暮らした三毛猫ポチを腎不全で亡くした。ポチは僕の相棒、宝物、やわらかな宝石だった。今まで生きてきたなかで一番大きく深い悲しみを味わい、身体が痛くなるほど落ち込んで、ありったけの水分は涙になって失われてカラカラに干からびた。
 そんな僕の打ちひしがれた姿を見かねたのだろうか、ポチは二ヶ月半たった秋の始まりに、魔法をかけて奇跡を起こす。ポチの生まれ変わりとしか思えない三毛の仔猫が庭にひょっこりと現れた瞬間、時間が止まったままだった僕のモノクロームの世界が、総天然色に変わった。一週間かけて仲よくなって、満月の夜に保護したその仔猫が、今朝も僕の足元にまとわり付いて「退屈だから楽しませろにゃー」とせがむポチ実だ。
 猫と暮らしている人には満場一致で同意していただけると思うのだけど、僕らは猫の可愛らしさに〈慣れる〉ということがない。外出から戻ったときに玄関先で迎える猫の姿を「嗚呼、可愛いな」と思うし、日向の窓際でうとうとと舟を漕ぐ姿は言うまでもなく微笑ましい。庭先で洗濯物を干しながらふと見上げたベランダから顔を出して、僕を見下ろすポチ実は身悶えするほど愛くるしくて、手を伸ばして何度も名前を呼んでしまう。猫との生活では、こういう〈可愛い〉が日めくりカレンダーのように続くのだ。
 ある時期から僕の猫への溺愛ぶりは歌詞やCDジャケット――僕の生業はシンガーソングライターだ――、さらにブログやSNSを通じてとくとくと溢れ出していった。「もう山田は音楽家っていう以前に、完全に〈猫の人〉だよなあ」と友だちに呆れられるほど。
 しかし猫をきっかけに繋がる縁や出会いというものがたくさん生まれて、〈媒体=メディア〉としての猫の持つ魅力、威力にはいつも驚かされる。普通ならいくつかの段階を経て築くような友好関係を、猫好き同士なら一瞬で結ぶことができたり、初めて会う人と猫のことで泣き笑いすることも少なくない。ポチの訃報を心から悲しみ、ポチ実の登場を手を叩いて祝福してくれた人たちが、携帯電話やパソコンの画面の向こう側にもたくさんいた。それは僕にとって、予期せぬ救いであり喜びだった。

 二〇一五年の秋に、初めての本を上梓した。猫にまつわるあれやこれやを書いたら、自分の半生を振り返る私小説になった。そのなかで主人公の〈僕〉は「人間には、猫と暮らす人生と猫と暮らさない人生、その二つしかない」とつぶやくのだけど、これは僕自身の心の声に他ならない。猫と暮らすにはペット飼育可能な住居や、それなりの出費が必要だ。お気に入りの絨毯には毛玉を吐かれるし、長い旅行はできない。人間よりも早く歳を取るから先に逝くことを覚悟しないといけないし、旅立ちを見送るのはつらく悲しい。
 それでも猫がいると一日に何回も笑って、他愛ない会話を交わし――言葉は絶対に通じる!――、日々楽しくて、毎日が面白い。だから僕は猫のいる暮らしを選択するし、「猫と暮らしてみたいんだけど」と迷っている人がいればその背中をそっと、しかし力強く押すようにしている。
 猫と人間は、お互いに惹かれ合ってパートナーになる。一方通行の意思ではその関係が成り立たないことを、猫と暮らす僕たちは知っている。ときにクールに見えるけれど、猫は純粋で無邪気で、正直に生きる美しい生き物だ。その真っすぐな瞳を覗き込むときに、僕らは全身全霊を捧げたありったけの愛で、その可愛らしさに最後まで対抗しなければならないという宿命を負うのだ。
 好きなものを好きだと宣言することに、僕はもはや何の躊躇もない。もちろん一番可愛いのは我が家の愛猫なのは譲れないけれど、世界中すべての猫が幸せでありますように、と今心から思えるのは、SNSに端を発する猫好き同士の連帯感から生まれた賜物かもしれない。

 冬毛でモフモフのポチ実のおなかに顔を埋めて、深呼吸するのが最近の日課だ。「おまえ、ちょっと太った?」と問うと面倒くさそうに立ち上がって伸びをして、しゃなりしゃなりと日向の窓際まで移動して、時間をかけて毛繕いをする。その姿を、僕は今日もぼんやりと眺めて幸せな気分になる。愛猫との、親子のような、恋人同士のような、かけがえのない時間がずっと続けばいいな、と毎日願っている。

 僕は猫が好き。猫と暮らす人生は、かくも素晴らしい。


山田稔明『猫町ラプソディ』(mille books)より転載
  
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2018年01月22日

猫騒動 7thシーズン(10)猫町の大雪、チミママのシェルター



去年のフジロックで偶然出会い、大好きになったむぎ(猫) という天国帰りの猫がいて(2月にちよだ猫まつりで“対バン”します)、こないだライブを観にいって、やっぱり素晴らしかった。終演後に一緒に写真を撮ってもらうときに「山田ちゃんのインスタ、ポチ実ちゃんもチミママちゃんもいつもいい写真ばっかりで、毎日見ちゃう。むぎも猫町が羨ましい!」と、むぎちゃんの口から猫町とかチミママの名前が出てくるのが嬉しくて「むぎちゃんも東京来るときには猫町に泊まったらいいよ!」とかなんとか興奮してしゃべったんだけど、今日はそのチミママの話。

夏になると蚊アレルギーで耳が真っ赤に腫れ上がって痒くなってしまうチミママは、蚊のいない冬のほうが快適そうにしてて、うちに通ってたくさんご飯を食べるもんだから冬毛も相俟って丸々と健康そうなのだけど、やっぱり冬は冬、どうしたって寒い。だからプラスティック製のコンテナケースのなかに段ボール箱を仕込んで毛布を敷いて、寒い夜はここで寝てくれないかなと思って庭の隅に置いたんだけど、元野良の地域猫であるチミママが思い通りになるわけはなくて、ここ最近はポチ実が別荘感覚なのかなんなのか、そのなかで昼寝をしたりしていて、そろそろ片付けないとなあと思っていた。



昨日の真夜中過ぎに鎌倉から帰ってきて、ふと庭を見たらチミママがその“シェルター”からぴょんと飛び出すのが見えて、「わ!」っとなった。いつものようにご飯をあげたらチミママはペロリと平らげて、また箱の中に戻っていったのだ。ポチ実はすぐそばにチミママがいることに興奮して鼻息をフハフハ言わせながら気が気でない様子だったけど「ちょっとこのまま過ごさせてあげようよ」と2階の寝床に無理やり連れていった。夜が明けて、そっと庭に出てみるとチミママが少し焦って、しかし眠そうにシェルターからまたぴょんと飛び出したので「いいよ、ママン、そこにいていいよ」と、雪が降り出した空の下でなんとかこちらの意図を伝えようとゆっくり話しかけた。するとまたママンは箱の中に戻ったから、彼女にはその箱の意味が「わかった」と思った。

雪はどんどん降ってきた。ポチ実はずっとそわそわしている。この庭はほかでもないポチ実の庭なのだから当然だけど、この雪がどうにかなるまでいさせてあげようよ、と背中をさする。どんどん吹雪いてきて、シェルターに雪が吹き込むのが見えたので段ボールとビニール袋で作った“ひさし”を取り付けようと思ったのがいけなかったか。僕がひさしを持って庭に出るとチミママは警戒してさっと木に登り塀を伝ってあっという間にどこかへ行ってしまった。だから、こんこんと雪が積もったうちの庭に、今はチミママの姿は、ない。チミママは最近態度が軟化したとはいえ、やはり触らせたり手からご飯を食べたりしてくれない気高き猫なのです。みんなインスタグラムを見て安心したり喜んだりしてくれているところに申し訳ないのですが。

それでも心がほっこりするようなことがいくつかあった。雪の降るなか、通り一本向こうの西山さん(仮名)だと思しき方が栄養のあるフードを「チミママとチミちゃんへ」とポストに直接届けてくれているのに気付いた。お隣のノアちゃんちからは使い捨てカイロがママンへのメッセージとともにドアノブにぶらさがっていた。僕は箱が少しでもあたたかくなるようにお湯をいれたペットボトルを置いたり、乾いた毛布のなかにホッカイロを仕込んで、庭のライトをつけてチミママが帰ってくるのをポチ実と一緒にずっと待っているところです。猫町にこの冬初めて雪が積もった日。またいろいろ報告しますので。

猫騒動日記の第7シーズンはこれにて終了、春の訪れとともに第8シーズンとしてまた新しい季節を更新していきます。

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2017年12月02日

猫騒動 7thシーズン(9)暮れの元気なご挨拶

猫町にも師走がやってきて、ますます慌ただしい日々です。現在幻冬舎plusで連載中の石黒由紀子さんとの交換書簡的エッセイ「チミコウ日和」、僕の第二回分が本日公開されましたのでお楽しみください。エッセイスト石黒由紀子さんちの愛猫コウハイがうちに遊びにきたときのことを面白く綴っています。“会えないアイドル”として定評があり、最近ではめっきりわざわざ会いにきてくれるお客さんも減ったポチ実ですが、内弁慶ぶりにさらに磨きがかかって毎日(いつもどおりの日常のなかでは)ころころムチムチ家を庭を駆け回っています。通い猫チミママも登場する、この由紀子さんとの連載エッセイは全三回で完結となる予定です。もうしばらくお楽しみいただけたらと思います。

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先日イベントに出たことがきっかけでPetcube Playという見守りカメラを家に設置していただいた。ツアー中の旅先でスマホを使ってポチ実の様子を見られるという画期的なシステムが今週末から導入されます。それはレーザーポインターの遠隔操作で遊ばせたり、こちらからの声を伝えたり向こうの音声を聞いたりできる夢みたいな装置で、でも「チミ、チミちゃん」という声を不意に聞いたときにパニックにならないか心配。テストしたときもえらく神妙な顔をしていました。

今年は1月から読売新聞朝刊の猫特集で取材を受けたり、エッセイ『猫町ラプソディ』を刊行できたり、峯村リエさんと猫のイベントができたり、木彫家はしもとみおさんとのコラボレーションがあったり。猫がもたらす縁がまたいくつもありました。いつもポチ実はこわがって隠れちゃって、実際そこには不在なんだけど、確かな存在感を見せつけてくれます。いよいよ登場したポチ実Tシャツもとても好評で、通販STOREでの販売も始まりました。今年もうちの愛猫ポチ実をちやほやして可愛がっていただき本当にありがとうございました。年内最後にもうひとつ面白くてびっくりするお知らせをすることになると思いますが2017年残り1ヶ月もどうぞよろしくお願いします。


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2017年09月19日

猫騒動 7thシーズン(8)毎日が記念日



今日はポチ実が我が家の猫になって3年と10日の、まあなんというか、そういう記念日だ。なんでそんな中途半端なのかというと、今から10日前の三年目記念日がGOMES THE HITMANのライブの日にあたり朝からバタバタしていたのと、ライブ終了後にご機嫌に打ち上がって飲みすぎてしまって這々の体で帰宅して、次の日はバリ島旅行のためフワフワ浮き足立っていたからブログに記事を書くタイミングを失っていたのです。ごめんよ、ポチ実。しかしこの3年、本当にいろんなことがあって、いろんな素敵な縁が繋がったり、本が出せたり、楽しいことばかりを猫が招いてくれる。ポチ実はこないだ体重を測ったら5キロもあって、ちょっとビックリしてしまったんだけど、でもいつも3年前の9月の、あのキラキラした1ヶ月の小さなポチ実の姿というのはずっとまぶたの裏にあって、いつでも簡単に思い出せるから不思議。結局は毎日がなにかしらの記念日なのです。



そして、これもポチ実との出会いが招いた縁かもしれない、むさしの地域猫の会の皆さんとの繋がり。今年も10月の吉祥寺は猫まつりでにゃあにゃあと盛り上がりますが、JR武蔵境駅前の広場で行われる「むさしの猫のマルシェ」をお手伝いさせていただきます(去年は近藤研二さんが演奏、僕はフライヤーのためのイラストを描きました。ニャンポジウムと題して地域猫活動のことをお伝えするトークがあったり、朗読があったり、僕は「猫町マルシェ」と名付けた音楽とトークのステージをプロデュースします。美味しい食べ物や飲み物、物販コーナーなど楽しい一日になると思いますのでぜひご来場ください。


2017年10月15日(日)@ 武蔵境 境南ふれあい広場公園
“むさしの猫のマルシェ”

12:00-17:00/観覧無料(雨天時決行 荒天時中止)

13:00-『絵本の読み聞かせ』(朗読:山下しづ香/音楽:山田稔明)
13:45- 『地域猫 座談会』
出演:亀山知弘、亀山嘉代(NPO法人ねりまねこ)西村麻衣子(むさしの地域猫の会)
15:45- 『猫町マルシェー猫にまつわる歌とおはなし』
出演:山田稔明 他

むさしの猫のマルシェ2017 FBページ

境南ふれあい広場公園
〒180-0022 東京都 武蔵野市境南町2丁目3番



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2017年09月02日

猫騒動 7thシーズン(7)9月2日はポチ実記念日

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今日9月2日はポチ実記念日だ。3年前、2014年の今日の朝、ポチ実はどこからか我が家の庭にやってきた。上の写真は僕が最初に撮ったポチ実の写真で、このときにはまだ名前のない三毛の仔猫だった。仙先代猫ポチをその年の6月に亡くして、その年の夏はほんとにしんどかった。9月になったらどうにか立て直さないとな、と思っていたところにやってきたのがポチ実だ。ポチと同じ縞三毛、奇跡だと思った。運命だと思った。だから僕はそれから1週間ポチ実とのコミュニケーションに徹した。その後の顛末はこの「猫騒動」というブログにまとまっているから興味のある方はぜひご一読いただきたい。

ポチ実は3歳になって、体重は…まあ、かなりの立派な体格になった。天気がいいと庭で遊び、天気が悪くても庭に出たがり、ベランダで眠りこけたり、1階と2階を猛スピードで往復したり毎日が楽しくて面白くてたまらないように見えるから、自然と僕の暮らしも毎日一瞬一瞬がすべてかけがえのない時間になる。3年前の今日ポチ実が我が家の紫陽花の庭に現れなかったら、と考えても全然想像がつかない。ポチ実は本当に僕にとっては柔らかなダイヤモンド、宝物であり友だち、家族、妹、そのすべてだ。3年前の今日、ポチ実が僕の目の前に現れたから9月2日はポチ実記念日。1週間後にはポチ実が僕の家族になったもうひとつのポチ実記念日が待ち構えている。

9月はいつからか僕の大好きな一ヶ月になった。

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2017年07月13日

猫騒動 7thシーズン(6)夏がやってきた



九州では記録的な豪雨が深刻。人的被害はもちろんだけれど、いつも思うのは「ああ、そとで暮らしている猫たちは大丈夫だろうか」ということ。穏やかな日常が戻ってくることを心よりお祈りします。東京はうだるような暑さが続き、「ねえ、7月ってこんなに暑かったっけ」と毎年同じようなことを言い合って汗ばむ顔をしかめるのだ。猫は毛むくじゃらだからどうしたって相当暑いはずで、如実に行動パターンが変わる。エアコンが嫌いなポチ実は風通しのいい、一番居心地のいい場所を探してそこで眠りこける。今年のブームはベランダのエアコン室外機のあたりらしく、なんとなく僕は仕事部屋のエアコンを稼働させられないでいる(居間で仕事をしている)。床にピタッとお腹をつけて寝そべったり、風の吹く日陰で船を漕いでいる様は、暑い夏でもやっぱり可愛い。

今年も多分に漏れず蚊がたくさんいて本当にうんざりする。ポチ実が「パトロールせないかんから外に出せよ」とねだるときには蚊取り線香が必須だ。レボリューションというフィラリア予防の薬も月にいっぺん。通い猫のチミママは蚊アレルギーで耳の後ろ側が真っ赤に炎症していて可哀想になる。痒みと炎症を抑える薬をご飯に混ぜてあげているが、蚊が多い盛夏の季節には気休めにしかならないみたいだ。首筋に垂らすだけで蚊避けになるという滴下式の薬を手に入れたので機会を狙っていたのだけど、熱心にご飯をかきこむチミママに窓の隙間から懸命に腕を伸ばして、その頭部に滴下式の薬をヒットすることができた。これは大きな進歩だ。チミママはさして気にすることなく帰っていったが、これで少しでも蚊が寄らなくなったらいいね。

冬は寒くて肩がこるが、夏は暑くて大変だ。われわれ人間も吐息ばかりもらす夏の日だが、猫には猫なりの苦労がある。どうにかして前向きに夏を駆け抜けたいものだ。

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2017年06月21日

猫騒動 7thシーズン(5)ポチ実3歳の誕生日

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今日、6月21日はポチ実の誕生日でした。元野良の保護猫であるポチ実の正確な誕生日はもちろんわからないのだけど、ポチが生まれ変わって帰ってきたと仮定して、ポチのお葬式をした6月21日が彼女の生まれた日とするのがいいな、とこの日をバースデイにした。時期的にはあながち間違いがなくて、ご近所でポチ実がよちよち歩きだったところを目撃した人によると「7月に仔猫たちを初めて見かけたから6月生まれでは?」との証言をいただいていてる。

とにかく今日がポチ実の誕生日で、3歳になった。横殴りの雨の夏至の日。記念日が続き、一昨日に続いて今日もご近所の近藤家がケーキを買って遊びにきてくれた。近藤さんちが夫婦揃ってうちに遊びにこれるというのはモイが元気だということなので、そういう意味でも嬉しい日だった。ポチ実は僕にだまし討ちを食らってリビングに閉じ込められてぶるぶる震えながらも、お客さんを接待。ちょっと大人になったところを見せたが、3歳になってもまだ小さくて子どもっぽく見える。

夜になって雨が止み、チミママも現れて今日はとても賑やかだったな。この日々が好き。昨日と今日が少しずつ違うのがいい。柔らかなダイアモンド、毎日が楽しい。おめでとう。ありがとう。


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2017年06月19日

猫騒動 7thシーズン(4)ポチと紫陽花の季節



今日は6月19日、愛猫ポチの命日。3年が経ちましたが、ポチのことを思わなかった日が一日もないのです。リビングに貼ってある大きなポスター、階段の吹き抜けに飾ってある「ひなたのねこ」展のパネル、はしもとみおさんの木彫ポチ、猫ラボさんのフェルトポチ、財布を開くとそこにはポチの毛とヒゲと爪をパックしたものが入っているし、ポチ実のなかにも確実にポチの面影を見つけるのです。

3年前の今日、早朝から紫陽花の庭でポチを自由にさせたあと、昼にダライ・ラマ先生の病院にすべてを託して入院させ、僕は深大寺へ走って神頼みとお祓いをした。「は、今日は桜桃忌だ」と気づいて帰路にある三鷹の禅林寺で太宰のお墓にも「なんでもいいからポチのことを助けてください」と手をあわせた。邪気を追い払うべく部屋を徹底的に掃除しているときに病院からの電話を受けて、眠って起きることのないポチを迎えにいった日の記憶。僕にとってポチは物語の始まりで、その物語はまだ続いているのです。

今年の紫陽花はちょっと花のつきが良くなくて、まだ雨も少なくて見どころはもう少し先だろうか。なんにせよ僕にとって特別な季節であることには間違いない。今年の6月19日、東京はカラッと快晴。もうすぐ夏がくるよ。  続きを読む
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2017年05月25日

猫騒動 7thシーズン(3)猫町の夏物語



『猫町ラプソディ』に収録しなかった書きかけの文章がひとつ、ある。それはご近所の近藤研二さんと近藤家の猫の話。本作りのクライマックスにかかっていた頃、近藤家のモイの病気が発覚した。それでなんとなく僕はそのエッセイを書き終えることができずに、まだ僕のパソコンのなかにある。近藤家との交流は間違いなく自分の猫歴史のなかで大きな意味を持つものだから、いつかきちんと文章にしたい。

モイの悪性リンパ腫が分かったのは真冬だった。それから春になって桜が咲いて、もう初夏、雨の季節も始まろうとしている。1月にはどんな春が来るのか、夏に至っては想像もできないで呆然としていたわれわれ猫町ファミリーだったけど、数日前にモイの腎臓にあった腫瘍がなくなる“部分寛解”という吉報が舞い込んだ。近藤家の頑張りはすごい。そう伝えると「モイがすごいんだよー」と返ってくるが、モイはもちろんだけど近藤家の献身と執念は並大抵のものではない。昨日は部分寛解お祝いでケーキをみんなで食べた。僕らは1月から酒断ち願掛けというのをやっていて、モイが寛解したときに「寛解、カンパイ!」とやるのが目標なのだけど、昨日はコーヒーカップで小さく乾杯をした。もっとよくなる。きっと幸せの風が吹くさ。

そして、チミママのことである。2週間ぶりに姿をあらわしてからはだいたい毎日ご飯を食べにきてくれて嬉しいのだけど、今年も春が過ぎてついに蚊の季節がやってきた。さっそくチミママは耳の裏側を刺されたみたいで、赤く痛々しく腫れている。去年はご飯に抗生物質の薬を混ぜて食べさせて、ちょうど夏も終わるころだったので炎症も完治したのだけど、夏の始まりの段階でこれだけひどい状態になっていては先が思いやられる。チミママは人馴れしていない地域猫。窓越しのやりとりでは逃げないけれど、決して近寄らせてはくれない(「山田さんがチミママを飼うということはできないのですか?」とたまに訊かれるけど、そういう縮まらない距離感があるのです、チミママとは)。

昨日はご飯を食べ終えて向かいの家の屋根の上にいた毛づくろいしているチミママにそっと近づいて、ちゅーる(猫が大好きな液体状のお菓子)をかざして「耳の後ろに薬を塗らしてくれませんか、ママン」とコミュニケーションを図るも失敗(ちょっと興味を示して向こうから一瞬近づいてきたのは進歩か)、それを2階から眺めていたポチ実が「は!ちゅーる!アタシにちょうだい」と鳴くので、僕が脚立に乗って庭からベランダの彼女に給餌する、というなんだか変な夕暮れ時のシーンがあった。蚊なんていなくなったらいいのにね。今年も紫陽花の庭の蚊対策でいろいろ奔走中。夏がやってきて、猫町の猫騒動は切れ間なく続くのです。


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2017年05月14日

猫騒動 7thシーズン(2)新しい季節はなんども



猫騒動というタイトルで2014年秋から綴り始めたこのカテゴリー、シーズン7その1を1月に書いたきりで少し時間があいてしまいましたが、季節は冬から春に変わって初夏へと移行しています。この4ヶ月、それはそれはいろんなことがあった。まだ半分残っているのに2017年はずっと忘れられない年になる予感。昨年から取りかかっていた猫のエッセイ集『猫町ラプソディ』も完成して(評判もよくて)僕のまわりは引き続きざわざわとしている。近藤さんちのモイは頑張って治療を続けていて、ウニもお兄ちゃん思いの妹猫に成長している。

ゴールデンウィークのよく晴れた日に、“国境”という名の、お隣とうちの庭を分かつフェンスを開けはなって、ポチ実とノアちゃんとが触れ合うという出来事もあった。内弁慶のポチ実は腰が引けて、好奇心旺盛なノアちゃんはグイグイ攻める。東京に暮らし始めて四半世紀が経つけれど、こんなふうにニコニコご近所づきあいするようになるなんて予想もしなかったな。僕の住む町ではずっと毎日、猫騒動の日々である。

そして春の訪れとともに、ポチ実のお母さんチミママが2週間姿を現さなくなって、ずっと心配で、「ああ、またチミママは新しい旅に出て半年帰ってこないのかな…」と窓の外を見つめていたら、昨日の夜中にひょこっとご飯を食べにきて、それは奇しくも日付の変わった母の日だったから、僕もポチ実も鼻息荒く喜んで、インスタでの報告を見た皆さんがまた全国で喜んで、猫による喜びの波及効果は計り知れない。

春が来て夏が来て秋が来て冬が来る。そのたびに僕は(僕らは)「また新しい季節だな」と遠くを見つめて思うのだけど、結局いつも、いつでも「また新しい季節だな」と自分が思っていることに気づく。「季節はもう今」というフレーズを書いたときに僕が言い表したかったのはそういうことで、この猫騒動ブログもそんなふうに更新していけたらいいなと考えています。インスタグラム経由でここを読んでいただいてる方、『猫と五つ目の季節』や『猫町ラプソディ』がきっかけで僕やポチやポチ実のことを知ってくださった方、猫騒動日記は大河ドラマ並のスケール、ぜひお時間あるときに最初からお読みいただければと思います。

先日敢行したコンパクトな旅は電車での移動だったので、往復6時間ずっと、今年の2月から5月までの自分のライブ録音を聴き返したのだけど、音楽のなかのそこかしこ、いたるところに猫がいて、我ながら呆れたのでした。季節はもう今。光のスピードに取り残されないように。

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2017年01月16日

猫騒動 7thシーズン(1)ネコミュニケーション



昨日のこと。お隣のベンガル猫ノアちゃんが庭に出ていたのでじゃらして遊んでいたら、ノアちゃんちのお母さんが「おはようございますー」と現れて、フェンス越しに立ち話。ノアちゃんママが言うには「うちの娘が山田さんを尊敬するって言ってましたよ」と。なんでも、娘さんが好きでYoutubeなどで聴いていた伊礼亮さんの楽曲に僕が去年歌詞を提供したことを知って驚いたそうなのだ。まあ僕なんてお隣さんから見たら、平日はいつも家にいて猫にばっかりかまけて「チュッチュッ」言いながらポチ実とかチミママとかノアちゃんの写真撮ってばかりで、霞を食って生きてるふうに見えてるかもしれないからな。「新聞の記事もすごいですねえ」と持ち上げられて「こんなですけどいろいろ頑張ってるんですよ」と誇らしく胸を張る。寝間着のままで。

一昨日、巣巣で行われた高橋久美子ちゃんとダンラナチュールなっちゃんの「新春みかんの会」に遊びにいって、打ち上げでは台湾から来たお客さんたちと一緒で、僕らはあわあわとブロークン・イングリッシュでカタコトのカンバセーションをキャッチボールしてエンジョイしてハビングアグッドタイムしたのだけど、猫を飼っていてインスタグラムをやっているというだけでお互いのiPhoneを見せあって、「わおー」とか「カワイイ!」と距離が一気に縮まる。「My cat is the cutest in the world」とゆっくり大げさ言うと、眉をひそめて「No No No、うちのほうが」と対抗してきて会話が弾んで楽しい。猫ってすごい生き物だ。注がれる愛が無限だ。

久美子ちゃんの愛媛の実家で獲れた無農薬のみかんをたくさん頂いたので、お隣(ノアちゃんちと反対側)にお裾分けに行ってここでもまた長話。写真絵本『ひなたのねこ』のことを褒めてもらえて嬉しかった。「猫好きの友だちに配りたいからたくさん買いたいんだけど、どこで買ったら山田さんに一番利益があるの?」とか気を遣ってくれて。昨日ひとつ判明したこと、うちに通ってくるチミママのことを当然お隣さんもご存知なのだけど、チミママがチッチとミンミという子猫を去年産んだのはお隣さんの庭だったのだそうだ。その後チッチとミンミが居場所を移して保護されて里親にもらわれていったこと、チミママはTNRを受けて地域猫になったことをご存知なかったので伝えたら喜んでいた。飼い主のいない猫にご飯をあげていると近隣にどう思われているのかがやっぱりいつも気になるのだけど、「最近ずっと山田さんちでご飯食べてるでしょ?だから安心よ。いつも塀の上を歩くのを見るのを楽しみにしているの」と言われて嬉しかった。

そして、ご近所猫といえば、近藤研二さんちのモイだ。この町にモイがやってきた最初の日のことを憶えている。手のひらに乗るほどの乳飲み子のときから知っているモイのことを僕は甥っ子のように思っている(ウニは姪っ子)。いつ遊びにいっても誰よりもはやく玄関で待ち受け、「グルグルっ」と鳴いて迎えてくれるモイは自分にとって特別な猫だとあらためて気付かされた。3日前にモイの病気のことがわかってから、最初のダムひとつぶんくらいの涙はすでに流された。これからは強い気持ちを持って、モイが元気に帰ってくるのを待って、帰ってきたらまた嫌がられるほど可愛がって、近藤家を支えて、息抜きさせて、相談に乗って、一緒に泣いたり笑ったりするのが自分の役割だと思っている。

猫騒動日記、新しい季節の始まり。いいことがあるように心から願う。





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2016年12月22日

猫騒動 6thシーズン(10)チミママその後



11月半ば、半年ぶりにその姿を現したチミママ(ポチ実のお母さんだと推測される地域猫)は、その後もほぼ毎日わが家の庭を訪れるようになった。“ほぼ毎日”というのは、やっぱり気まぐれに丸一日顔を出さなかったりするときもあるからで、そうなると今度は「チミママ、なんで来ないのかなあ。どこかに用事でもあるのかしら。他に美味しいご飯くれるとこが?バイト?パート?」と心配になったり詮索したりもする。で、気を揉んでいる僕の目の前に何事もなかったようにすっとクールに登場するのがチミママらしさでもある。真っ赤にただれていた耳の後ろの炎症も抗生剤が効いたのか傷が乾いて良くなった。最近では夜になると点灯する“チミママライト”が導入されて、暗い夜でもチミママが夕飯を食べにきたのがすぐわかるようになっている(だいたいポチ実がチミママを見つける)。

チミママのこちらに対する態度には少し変化があった。かつては窓を開けたり手を伸ばしたりすると一旦木を伝って塀の上に退いてじゅうぶんな距離を取ってこちらを牽制する感じがあったのだけど、今ではあくびなのか威嚇なのかわからない「シャー!」の表情を見せて、少し離れたところでご飯の皿が出てくるのを待つようになった。なんとチミママはあらゆる猫を魅了するはずの「CIAOちゅーる」を好まない。こんなもの食べ物ではないわ、というような素振りでまったく手をつけないから不思議だ(だからチミママのためのプレゼントにはCIAOちゅーる以外が好まれます)。最近ではポチ実がチミママに積極的にモーションをかけ過ぎて、チミママがめんどくさそうに踵を返して帰っていくことも増えた。「ほらー、チミママ来なくなっちゃったらどうするんだよー」とポチ実を責めたりするけど、しばらくするとチミママはまた戻ってきて窓ガラス越しにコミュニケーションが取れているのかどうなのかわからない、熱視線での交信を継続中。

本格的な冬の到来、今日みたいな冷たい雨の日にはやっぱりチミママが心配だ。秘密の場所にしつらえた寝床で丸まって寝ているのだろうか。チミママは孤独な夜を過ごしているのだろうか。うちの庭に来たときに「チミママ来た!」と相変わらずあたふたと僕がキャットフードを準備したり、ポチ実が尻尾を膨らませて上を下へと駆け回るのをどんな気持ちで眺めているのだろうか。チミママは昼間は黒目が細くてとてもキリッとした表情をしているが夜に会うと真っ黒な瞳で可愛く見える。ここ最近は昼夜の二回うちにご飯を食べにくるから(ポチ実が一日に食べる量の2倍は食べてる)、おそらく僕らは嫌われてはいないのだろう。チミママとの蜜月がこのまま続けば楽しいな、と僕は思っている。ポチ実がどう思っているかは知らない。

チミママの近況をエピソード10として、猫騒動 6thシーズンを締めくくりたいと思います。来年からスタートする7thシーズンもお楽しみに!猫騒動はまだまだ続いていくのです。


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2016年11月19日

猫騒動 6thシーズン(9)チミママが帰ってきた!

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 いつものように窓際でひなたぼっこをしていたポチ実が、突然「ウウウウ」と唸り声を上げ始めた。一心に窓の外を見つめ、尻尾がタヌキのように膨らんでいてかなり興奮している。「なになに?どうした?」とひざまずいて、彼女の視線をたどると、なんとそこには半年前に姿を消してからまったく音沙汰のなかったチミママの姿があった。チミママ、生きていた!僕もポチ実と同じくらい驚いてドキドキして、心の底から嬉しかった。チミママはポチ実の母猫。TNR(T=捕獲して、N=不妊手術して、R=解放)を受けて地域猫になったが、その安否がわからず心配していたのだ。

 チミママは僕らの大慌てぶりを冷静沈着なその瞳で見つめた。僕はバタバタと戸棚からキャットフードを探して皿に盛り、ポチ実はフンフンと鼻息を荒くして硬直している。「チミママー、ご飯だよ」と声をかけて庭先に皿を置くと、しゃなりしゃなりと歩いてきて鼻を突っ込んだ。毛艶はいいけれど、少し痩せただろうか。少し表情に険があるように思えたが、相変わらずチミママは美しいキジ白模様の猫だ。耳の後ろを怪我しているように見える。赤い血が滲んでいて、とても痛そう。ペロッとご飯を食べたチミママは僕とポチ実を一瞥して、さっと踵を返して、塀を乗り越え屋根をつたい、またどこかへ消えていった。ポチ実の興奮ぶりと言ったら…。忘れていたエキサイトメントを思い出した!という感じ。本来猫は親離れ、子離れすると血縁関係を忘れてしまうというけど、このふたりの間には声なきコミュニケーションがある、と僕は思っている。

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僕はLUMIXのカメラでチミママの後頭部の写真を写し、その写真を持って近藤さんと一緒に動物病院に出かけた。みんながこの町の地域猫であるチミママのことを心配している。先生の見立てでは夏の間に蚊に刺された部位が炎症を起こしているのではないか、とのことだった。チミママのだいたいの身体の大きさを考慮して、あらためて消炎効果のある薬を処方してもらう。寒くなって蚊がいなくなれば自然と治まるだろうという楽観的な診断がとても嬉しかった。なんだか、チミママとの距離がぐっと縮まったような気がするのが不思議。

その後チミママは数日続けてやってきたかと思うと、また3、4日ブランクをあけて現れたり、かなり気まぐれに僕らの庭に姿を見せる。「チミママが帰ってきた!」という言葉とともに僕が投稿したインスタには大きな反響。「よかった!」「心配していました」「生きていた!」とコメント欄が湧いた。会ったこともない、飼い主もいない猫のことをこれだけ気にかけてくれる人たちがいるなんて、世の中捨てたものではないね。チミママが庭先に現れるたびにポチ実はフンフンと鼻息を荒くし、リビングとベランダを行き来し「ママーン!」と語りかける。「チミママのご飯に」とフードを持ってきてくださるファンの方がたくさんいて、とても助かっている。

チミママ、冬が始まるよ。ここは猫町、猫騒動は果てしなく続くのです。

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2016年10月06日

週末と平日|2年目の『猫と五つ目の季節』



ここしばらく週末は旅と演奏、ウィークデイの朝からお昼過ぎまでひたすら原稿書き(たまに絵を描いたり)という日々が続いている。これは去年の夏とほとんど同じ感覚だ。ちょうど1年前の今日は、小説『猫と五つ目の季節』の製本サンプルができあがった日だ。受け取った本の重みも忘れない。表紙の手触り、カバーを外した本体の、表がポチで裏がポチ実の毛並み。ポチの茶色の毛と同じ色を選んだ栞紐。一生懸命作ったものがとても丁寧な本に仕上がったことが嬉しかった。どこか落とし前をつけるような思いで書いた物語がこの日を境に、外側の世界へ広がっていくのを不思議な気持ちで眺める1年でした。

11月に発売になる写真絵本『ひなたのねこ』完全版、サウンドトラック的なCD『the loved one』等も合わせて今後ともどうぞよろしくお願いします。




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2016年09月02日

猫騒動 6thシーズン(8)2年目のポチ実記念日




 九月に入ってすぐの朝だった。前の晩は下北沢でライブがあり、夜遅くまで音楽仲間と打ち上げをして少し飲み過ぎた。寝ぼけた目をこすりながらリビングのブラインドを引きあげると、サッと小さな影が視界を横切った。目を凝らすと、紫陽花の木陰に身を潜めてこちらの様子をうかがう子猫の姿が見えて、僕はいっぺんに目が覚めた。
 ガラス窓を爪でトントントンと叩くと、子猫はさらに目をまんまるにさせて警戒した。そして恐る恐る木陰から這い出てきたその子猫を見て、僕はびっくりしてしまった。大きさからすると生後ニ、三ヶ月というところだろうか、それはポチに瓜二つの三毛猫だった。
「信じられない・・・」
 思わず口をついて出るひとり言。茶、黒、白の毛、そしてきれいな縞模様、小さな身体、尻尾はすらっと長い。僕は夢でも見ているのかと思ったが、これは目の前に起きている現実だ。ガラス越しに携帯で写真を撮るとそのシャッター音に驚いて、子猫はするすると器用に木を登ってコンクリートの塀に飛び乗り、その塀をスタスタと伝って歩き去って見えなくなった。
 僕は携帯のスクリーンに写った子猫の姿を見つめた。指先で画像を大きくしたり、明るく加工してみたが、見れば見るほどポチにそっくり。写真集の中の小さな頃のポチが、表紙から抜け出してきたかのようだ。


小説『猫と五つ目の季節』152ページからの抜粋、これはすべて脚色なく2年前の今日9月2日のことをそのまま書き綴ったシーンである。下北沢leteでのライブの後、一緒に打ち上げをしたのはシンガーソングライターの高橋徹也さんで、あらためてポチへのお悔やみを伝えてくれて「優しい人だな、この人は」と思った記憶がある。奇しくも一昨日が下北沢leteライブだったから季節感とか空気の心地も甦ってくる。あれから2年が過ぎたが、あっという間のようでもあり、長い長い充実した時間のようにも感じる。猫が僕より4倍早い人生を送るから、なるだけ時間がゆっくり進んでほしいなと願っている自分もいる。この日の奇跡みたいな出来事がなければ今の日常は全然違うものになっていただろうな。

朝起きて庭に出たら、庭先のフェンスのところにお隣のノアちゃんからの手紙とアジサイの花がプレゼントとして置かれていて「わあ!」と歓喜の声が出た。あの日以来、ポチ実は数えきれない出会いと繋がりのもととなった。ファンの皆さま、いつもポチ実に言葉や贈り物をありがとうございます。家を庭を駆けまわって悪さをして困らせるポチ実をしかってばかりの毎日ですが、今日は特別に感謝を捧げる一日にしたいと思います。9月2日はポチ実記念日。



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2016年06月21日

猫騒動 6thシーズン(6)ポチの三回忌、ポチ実の2歳の誕生日



先週6月19日はポチの2度目の命日、三回忌でした。たくさんのお花をいただいて嬉しかったです。ありがとうございました。この季節が来ると「あの時の今頃はどうしていたっけ」と過去の写真を振り返って、しんどそうにしているポチを見ていろんなことを思い出します。ポチは19日に亡くなって翌日は一日かけてお別れをして、明けて夏至の21日にお葬式をして深大寺の空に舞い上がっていきました。ポチはやっぱり自分にとってはかけがえのない存在です。今でも、いつまでも。ポチの旅立ちから2ヶ月半経って青天の霹靂のように我が庭にひょこっと現れたのがポチ実で、その登場から今までのことはこの「猫騒動」日記に連綿と書き綴られています。

ポチ実らしき子猫たち(姉弟チミオとサビとよちよち歩いていたところを目撃した方がいたのです)が生まれたのは6月くらいだろう、という近所の猫ネットワークの情報を聞いて僕は「ポチ実はポチの生まれ変わりだ」と思いました。正確な誕生日がわからない野良出身のポチ実の誕生日はポチが空に昇っていった6月21日ということになったのです。今日でポチ実は2歳。猫の2歳はだいたい23歳くらいだと言われますが、ポチ実はまだまだ子どもでやんちゃでハチャメチャです。先週もポチ実はとんでもないことをしでかして(インスタにもブログにも書けないようなことを)僕はお隣さん、さらには2軒隣までお詫びの菓子折りを持っていきました。「いつも窓から見えるカワイコちゃんね?」とみんなポチ実のことを知っていてニコニコ笑って会話もはずみました。猫とは本当にすごい生き物だなあと思います。

ふと気づくと2歳というのは僕が2001年にポチをうちに迎えいれた時と同じ年齢。元気に長生きしてほしいなと願う。僕の宝物、やわらかなダイヤモンド、毎日が楽し。




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2016年05月13日

猫騒動 6thシーズン(5)お隣のノアちゃんと来なくなったチミママ



久しぶりに書く猫騒動日記。お隣に越してきたおうちがベンガル猫を飼っていて、暖かくなるにつれフェンス越しのコミュニケーションが増えた。これまでお隣とは挨拶こそすれ、親密にお話することなど皆無だったから「猫」という媒体が人間関係にもたらす効用というのはすごいなあとあらためて感心する。お隣の猫は「ノアちゃん」という名前の女の子でとても人懐っこくて触らせてくれて、可愛い。

うちのポチ実は人見知りの内弁慶なので遠巻きに眺めて震えていたのだけど、ここ最近はやたら積極的になって朝起きたらお隣のお庭でノアちゃんが散歩していないかチェックする。待ち伏せしたりもする。フェンス越しにノアちゃんが首輪の鈴を鳴らして駆けてきて、ポチ実とチュっと鼻をくっつけるのだけど、そのシーンを見るといつもキュンとする。「なんなの君たち、その可愛らしさは!」と僕がiPhoneでパシャパシャ写真を撮っているとお母さんが「山田さんチミちゃん、おはようございますー」と顔を出し、ポチ実は人見知り性分が出てまたびっくり怖がってリードを絡ませて家に駆け戻る、というのがお決まりの風景になった。つい最近お隣のお隣には柴犬の「あずきちゃん(女の子)」が越してきた。なんだかこの初夏、ご近所の動物たちのガールズトークはとても賑やかだ。

そして、チミママがうちの庭に現れなくなって1ヶ月が経った。毎日気になるし、すごくさびしい。庭の梅の木に光る目があって「チミママ!」と声をかけたらそれがハクビシンで、大声を出して追い払ったのだけど、その日をきっかけにチミママも野良猫クマも姿を見せなくなったから猫町の分布図や情勢が様変わりしてしまったのだろうか。半年顔を見せなかったのに今年のはじめにフッと戻ってきたチミママのことだから、どうにか元気に暮らしてまた僕とポチ実にその凛々しく美しい姿を見せてほしいと願う。そのときのためにたくさん美味しいご飯を用意しておくのだ。




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2016年02月05日

猫騒動 6thシーズン(4)チミママ、その後




ポチ実のお母さんであるチミママが、TNRを受けたあと半年を経てうちの庭に現れたことは前回の猫騒動日記に書いたのだけど、それからずっとチミママは通い猫として姿を見せるようになった。僕も喜んでチミママ用のご飯を買ってきたり、現れるたびにちょっと食べさせ過ぎかなあというくらい優遇するのだけど、最近では距離が縮まってきて毎日楽しい。距離が近くなるとチミママの耳のさくらカット(不妊手術を受けた証)と、さらには耳の後ろにカサブタみたいな古傷があるのも見えて、外猫としての過酷な日々のあとも垣間見える。もちろん彼女に一定の警戒心はあって、触らせてくれたりはしないが、僕のことを害のない何者かだと認識してくれてはいるのだろうチミママと対峙することが日常の一コマになったことが嬉しい。チミママには大人の魅力がある。

そして、ポチ実の反応なのだけど、目を真ん丸にして緊張感をたたえる彼女を見るのも面白い。チミママが現れたのを一番に察知するのはポチ実で、「ウー」「ニャアアン」とチミママに話しかけてしっぽは太くふくれている。一階のリビングの掃き出し窓からチミママを一心に見つめて、ご飯を食べ終えたチミママが歩き去って姿が見えなくなると今度は2階のベランダまで駆け上がって塀づたいに寝床へ帰っていくチミママの姿が消えるまで眺める。昨日なんかはもう「ウー」と唸るのもやめてしまって、ガラス窓を挟んだ目と鼻の先でチミママがご飯を美味しそうに食べるのをポチ実はずっと眺めていた。

猫が小さな頭で何を考えているかは全然想像がつかないが、猫をずっと眺めていると意外と深遠な思考を重ねているのかもしれないな、とも思えてくる。チミママはチミママでその思慮深い顔でポチ実をキッと見つめるし、親と子の間では(一度親離れ/子離れをすると“親子”という認識はなくなってしまうというのがよく言われる猫についての常識だけど)声なき声でのなんらかのコミュニケーションがなされているのだろう。猫騒動は始まりから1年半を経てもまだまだ続くのだ。





昨年秋の「吉祥寺の猫まつり」に続いて「ちよだ猫まつり」に参加することになりました。楽しみです。


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ちよだ猫まつり2016 @ 千代田区役所1階イベントスペース
2016年2月20日(土)
観覧無料

近藤研二ソロアクト11:30 - 12:00
山田稔明 with 近藤研二 17:30 - 18:00


千代田区役所1階・4階(千代田区九段南1-2-1)
地下鉄九段下駅6番出口

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2016年01月14日

猫騒動 6thシーズン(3)チミママが帰ってきて地域猫に



突然の再会だったので涙が出るくらい嬉しかった。去年の夏にむさしの地域猫の会のスタッフの方の手により捕獲され避妊手術をしてもといた場所に戻された(TNR活動:そのときの記事はこちら)チミママと僕が名付けた猫は、ポチ実のお母さんなのだけど、その夏以来ずっと姿を見せることがなかったのが、この1月になって急に我家の庭先に現れた。あわててご飯をあげたらぺろりとたいらげて、その日以来だいたい毎日うちに通ってくるようになった。人が訪ねてきたら文字通り尻尾を巻いて逃げるポチ実だが、チミママが庭に現れると低い唸り声をあげながらもコンタクトをとるようにずっと窓からママを眺めて、彼女が塀の向こうに消えていくまでずっと見つめている。

チミママは昔からそうであるように、目ヤニひとつなく身体もまるまるとして健康そのもので美しい。無闇に近づこうとするとふわりと逃げるが、「チミママー、元気かい?」と話しかけると真ん丸な目でこちらを見つめてゆっくり瞬きをする。ご飯を食べ終わると大きく伸びをして軽やかにキャットウォーク(という名の塀)をしゃなりしゃなりと歩いてみせる。僕はその姿を見るのが嬉しくて、傍らにいるポチ実もすっとんきょうな顔でその優雅な姿を眺めるのだ。東京はここ何日かで急に寒くなったから、夜になるとチミママのことを考える。そして朝が来てうちにご飯を食べにくる姿を見たら僕は安心する、という日々がしばらく続いている。今日はチミママのボーイフレンドのクマがやってきたが、我が町内会の猫模様は引き続き面白い。チミママが帰ってきてよかった。地域猫として長生きしてくれたらいいなと思う。

ネコパブリッシングから年に4回刊行される雑誌「ねこ」の最新号(「ねこ」2016年2月号)に「猫と暮らす人生はかくも素晴らしい」という書き下ろしのエッセイを寄稿しました。現在発売中なのでぜひこちらもお読みいただきたい。“ねこ男子”の特集号ですが僕は意外と硬派な文章を書きました。お隣のお母さんが『猫と五つ目の季節』を読んでくれたそうで、垣根越しにおしゃべりしていたら「山田さんは本当に猫を愛してらっしゃるのね」と言われて、そう言われると笑いながら「そうなんです」と答えるしかない。猫騒動はまだまだ続くのです。




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2015年11月10日

猫騒動 6thシーズン(2)ダライラマ先生に報告




昨日のこと、ポチ実の3種ワクチンの摂取のためようやく病院に行くことができた。最近ポチ実は言葉や気持ちを察する術を手に入れたのだろうか、キャリーバックを準備すると姿がどこにも見当たらないという何日かの遂行未遂のあとやっとの思いでバッグに閉じ込めた。向かう先は小説『猫と五つ目の季節』にも登場するダライラマ先生の待つ診察室だ。僕の顔を見るなり「なんだい、もう1年経ったのか!」と先生は笑顔で迎えてくれた。ぶるぶる震えるポチ実も診察台の上ではおとなしくされるがまま。このへんはポチに似ている。注射をし、おなかや背中を触診してもらう。ポチ実は庭でいろんな虫(蝉とかカナブンとかいろいろ…)をパクパクと食べてしまうので寄生虫のことが心配だったので相談。大丈夫とのことでひと安心。

発売から1週間が経った『猫と五つ目の季節』をおもむろに取り出し「あのー、先生、事後報告で申し訳ないのですが」と“ダライラマ先生”についてお伝えし、本を進呈した。「君はなんでもできるんだねえ」と先生はニコニコ顔で喜んでくれて、山下洋輔さんの話(訪問診療をされていたことがあるそう)や音楽の話で賑やかに盛り上がった。お時間あるときに読んでいただけたら嬉しい。・・・と思って帰宅した後、ポチの最期のころ自然療法の病院にダライラマ先生に内緒で数回通ったことがバレてしまう…ということに気づいた。先生がこの物語をどんなふうに読まれて、どんな感想を持たれるかに興味がある。帰りも手を振って見送ってくれて、ポチを連れて連日通ったころの厳しい顔とは全然違って柔らかい。その顔を見るだけでなんだかいろいろなことが思い出されて感慨深かった。

先生と談笑している診察室から覗く奥の廊下で、ケージの中で猫がブルブル震えながら神経質に動きまわっていたのが忘れられない。野良猫が捕らえられてTNR(捕獲/避妊/解放)で地域猫にされるのだろうか。きれいな猫だったからまた元気に町を駆けまわってほしい。ポチ実も僕が捕まえてうちの猫にしなかったら今頃どんな猫になっているだろうか。夜になってポチ実は注射の恐怖からケロッと立ち直ってご機嫌に過ごしていた。「こんな不確かな日々を想うとき、嫌なことから忘れていけたなら」という「猫町オーケストラ」の歌詞はきっと僕自身が美しく生きる猫を羨んだ歌なのかもしれないな、とそんなことを今日は思った。


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2015年09月26日

猫騒動 6thシーズン(1)猫とまた新しい季節

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ようやく小説「猫と五つ目の季節」の校正が終わり(果てのない作業でした)来週には印刷が始まります。6月から3ヶ月、週のうち5日間(土日祝日以外)の午前中に原稿用紙4枚ずつ書くというなかなかタフな作業でしたが(8月は朝から夕方までかかることもあった)実際に本になると思うとわくわくします。栞の色をポチの毛色に近づけたり、装丁をあれこれ試したり、カバーの写真を考えたりするのはCDを作るときの諸作業にとてもよく似ていて、写真家の斎門富士男さんと15年ぶりに連絡をとったりかつてお世話になったレコード会社関係者に相談したりして、まさに自分のキャリアを遡るような初秋でした。猫のことを書くと自分の半生を振り返ることになるとは。

先日玄関先でクルマの掃除をしていたら、犬を散歩中の上品な感じのおばさまがこちらを見てニコニコ笑っている。僕は軽く会釈をして「こんにちは」と声をかけると「今日は猫ちゃんいらっしゃらないのね?」とうちの二階の窓を指差して言うのです。ポチ実が通りに面した二階の窓からずっと外を眺めているのは僕も知っていたんだけど、そうやっていつもの散歩道で「あそこの窓には猫ちゃんがいる」と認識して楽しみにしている人がいることを、なんだか良いな、と思った。「今は一階のリビングで遊んでますよ」と言うと嬉しそうに笑っておばさまは手を振って去っていった。また今日も犬を連れたおばさまはうちの前を通るときに二階の窓に猫の姿を探すのだろうな。「ほら、猫ちゃんいたわよ」とワンちゃんに声をかけたりしながら。いよいよ夜は寒くなって、ポチ実は最近以前より少し甘えっぽくなってきた。今年の冬は布団に入ってきてくれるだろうか。

来週10月1日からいよいよ「吉祥寺猫まつり2015」が始まります。僕はコピス吉祥寺5階ギャラリーでの「kissa kichijoji 猫のいる暮らし展」、近藤研二さんと大塚いちおさん、そしてkissaporukka(イナキヨシコ+石坂しづか+木下綾乃)のお三方とで空間演出します。10月11日成蹊大学で行われる「吉祥寺ニャンポジウム」というのもとても意義のあるイベントになりそうです。キチムでの小説「猫と五つ目の季節」発売記念ライブももはやこの猫まつりの一環と言えるかもしれません。把握できないくらいたくさんの催し事があります。詳しくは吉祥寺猫まつりHPをご覧ください。札幌から帰ってきてからが展示の作業の正念場です…。

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2015年09月09日

猫騒動 5thシーズン(10)ポチ実がうちの猫になって1年/5thシーズンの終わり



あの夜からちょうど1年が経った。去年の今日、日付が変わったばかりの午前1時前頃、もうすでに窓の隙間から入り込んでうちのリビングで遊ぶようになっていたポチ実を、両手でガシッと捕まえてケージに入れて、覚悟を決めて窓を閉めた。それまで自由奔放に世界を行き来した野良猫ポチ実は「山田ポチ実」になったのだ。「猫に九生あり」といいますが、9月9日と9が並ぶ、満月の日でした。自分が捕らわれたことに気付いたポチ実のパニックと反抗はものすごかった。ケージにシーツをかぶせてその夜を過ごし、朝が来て初めて撮った写真が上のもの(しばらくトイレのなかで座り込んで過ごした)。その目には不安とか悲しみとか絶望とかいろんな表情が見いだせる。それでも数日でポチ実は僕にも家にも慣れて、1週間経つ頃には楽しそうに駆けまわり、幸せの風が吹いたのでした。

2キロちょっとだったポチ実は1年経って経って5キロ(!)に。来客があっても昔みたいに気配を消したりせずにそろそろと様子を伺って姿を現すようになった。僕はポチのことを「日本で一番か二番目に可愛い猫」と紹介するのが常だったが、ポチ実もその「日本で一番か二番目」のどちらかになった。今でもポチ実の後ろ姿や伸びて寝ている背中にポチを感じることがある。パッと目覚めて躍動する姿は若々しいポチ実そのものだ。僕は一匹の猫の中にふたつの魂を感じているのかもしれません。健やかに長生きしますように。ハッピーアニバーサリー。

1年前の9月のはじめは日がな庭に出て猫とのかけひきをやっていたから雨が少なかったのだな、と思い出している。早く快適な秋の季節がやってくるのを猫と一緒に窓際でずっと雨が続く灰色の空をうらめしく見上げながら願っているところだ。5thシーズンはこれで終わり。次からは6つ目の季節。



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2015年09月02日

猫騒動 5thシーズン(9)ポチそっくりの猫登場から1年…



今日でポチ実がうちの庭に現れてちょうど1年になりました。上の写真は庭で初めて撮ったポチの姿。思い出すと1年前の9月1日は下北沢leteでライブで、終演後高橋徹也さんと遅くまで打ち上げをして、その翌朝にポチそっくりの子猫と対峙したのですが、奇しくも昨日もタカテツさんと一緒だったから1年という時間を興味深く感じます。ポチ実登場で騒がしくなったうちの庭、それから7日間の駆け引きが続くことになり、僕のインスタグラムはどんどんフォロワーとコメントが増えていきました。それまでポチの不在で色をなくしたままだった風景がぱっと華やいで、重たい身体がとたんに軽くなったことをよく憶えています。

今日は朝からどんよりと曇り雨に濡れた庭を指を加えて見ていたポチ実でしたが、午後からパッと久しぶりに晴れ、意気揚々とお庭のパトロールに出かけて満足顔。チミは毎日面白い。毎日笑わせてくれるし、毎日むずがって面倒くさいけど、可愛い。僕の暮らしに賑やかな通奏低音を鳴らしてくれるポチ実は宝物のような存在です。可能な限り元気で長生きしてほしいな。ライブのたびにファンの皆さんから「これ、ポチ実ちゃんに」といろんなものをいただきますが、ポチ実はなんでもちゃんと遊んでくれるのです。これから1週間は去年の初秋の一喜一憂の日々を追体験しながら過ごしたいと思います。いろいろなものことに、感謝。



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2015年08月26日

猫騒動 5thシーズン(8)季節をひとまわり



夏が終わる。あんなに暑かったのがウソだったみたいに寒い雨の8月の終わりに僕らは「嗚呼、夏が終わる…」と感傷的に遠い目をするのだ。東京で猛暑日の連続記録が出たころはポチ実もさすがにぐったりと身体全面を床につけて毎日をやりすごしていたが、総じて元気で健康的で毎日(雨の降らない日は)庭の散歩をし、蝶々を追いかけ、蝉を捕まえ(ときどき食べ)、カナヘビの尻尾に翻弄されたり、昨日などは雨後に現れた大きなヒキガエル(これは写真が気持ち悪すぎてインスタグラムにはアップしなかった)と対峙して固まったり、夏休みの子どものように楽しい日々を送った。

1年前の今頃のことを思い返す。今年より暑い日が長くて、たくさんのライブに明け暮れた僕はぐったりと夏バテしていて、ポチがいなくなって2ヶ月経っても心にぽっかりと開いた穴はそのままで、プールからあがった後みたいぼーっとして重だるい体を引きずって溜息をついていたように思う。GOMES THE HITMAN再始動のミーティングも始まった頃。9月最初の日、気持ちを切り替えなければ!と下北沢leteでのライブで夏を見送った。ポチの生まれ変わりのような仔猫ポチ実が庭に現れたのは9月2日で、来週でもうすぐ1年になる。ポチ実と季節をひとまわりだ。下の写真は最初に写したポチ実の姿。この瞬間をずっと忘れることはないだろうと思う。

ポチ実の姉弟のチッチとミンミは先週末の譲渡会でいい出会いがあり、姉弟揃ってトライアルが始まるそうで嬉しい。ちょっと前に家から脱走してしまった加古川チャッツワースのチャオ実も翌日には無事保護されて胸を撫で下ろした。五十嵐くんちのミルクもどんどん大きくなって顔もきれいになって安心だ。近藤さんちのモイは王子様のように可愛いからまたそろそろ会いにいかなきゃな。猫たちにもそれぞれの暮らしが流れる。この猫騒動ブログももうすぐ1年。魔法じかけの日々は続いていく。猫は僕にとってのラッキースターである。

猫の健康管理士という資格があって、ポチ実の長生きのために勉強を始めた(通信教育で)。猫騒動はまだまだ続きます。


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2015年07月09日

猫騒動 5thシーズン(7)リアル猫町オーケストラ



去年からわが家に定期的に訪れる野良猫がいる。どうやらポチ実のお母さんらしいということが判明、チミママという名前を付けて観察していた。猫の親子の関係というのをインターネット上で調べてみると、生まれて3ヶ月ほど経って親離れ/子離れすると「自分が誰の子か」「誰が自分の子か」というのを忘れてしまう、というのが定説のようですが、塀の上でじっとポチ実を見つめるチミママ、「ウウウ」と静かに唸りながらもチミママの姿を追うポチ実の姿を見ているとそこには僕らにはわからないコミュニケーションが存在するのではないか、と思わずにはいられないのでした。

そんなチミママが春になってどうやらまた赤ちゃんを身篭っているみたいだ、ということになって長いこと姿を見ないと心配になって、かと言ってもうちの庭に現れてもどうしてあげることもできないでいた。チミママとその子ども2匹を最初に発見したのは近藤研二さんで、近藤さんはうちに何かを返却しに来る途中で小さな猫の影に気づき、僕もすぐに駆けつけた。生後2ヶ月くらいだろうか、2匹の仔猫はかわいいキジ柄で、ぴょんぴょん跳ねて可愛い。チミママは鋭い眼光で僕らを睨みつける。仔猫にそれぞれ「チッチ」と「ミンミ」と名づけて(勝手だな、人間は)それから毎日気になって猫を見に通ったのだけど、ある日からぱったり姿が見えなくなった。



「チミママとチッチとミンミがいる場所がわかりました!」と連絡をくれたのはむさしの地域猫の会のスタッフの方だった。僕のインスタグラムを見て気になって、情報網を駆使して突き止めたのだ(猫ネットワークってすごいのだ)。そしてなんとチミママ親子が居場所を移した先は去年の猫騒動で尋ね猫「チミオ」の貼り紙がきっかけで知り合った一本向こうの筋に住むAさん宅の庭だった!僕は近藤さんと連れ立って猫のエサとかおやつとかを紙袋いっぱい用意してAさん宅を訪ねた。Aさんは不在だったのだけど、お母様が出てくるなり「これは、チミちゃんところの山田さん!こちらはモイちゃんのパパ!」と僕らのことをご存知だった。ここ数日の様子をお聞きして、チミママたちにあげるためのフードやおやつをお渡しした。結局むさしの地域猫の会の方と相談して、仔猫たちは保護して里親探し、チミママは不妊手術を施してもとの場所に戻し地域猫として人生を送ってもらう、ということに。捕物帳の舞台はAさんのお庭ということになる。

それから数日後にメールが届き、親子とも無事に保護して病院で診てもらったとの連絡。仔猫たちは病気もなく健康で、チミママは不妊手術を受けて数日静養した後元いたところに戻した、とのことだった。チミママは「元気に駆けていった」そうだ。ポチ実の弟妹のチッチとミンミはこれからむさしの地域猫の会が主催する譲渡会で家族を探すことになるのだろう。その後届いたAさんからのメールには「1週間ほどでしたが微笑ましい姿を楽しませてもらいました。仔猫たちの可愛らしさはもちろん、チミママは小顔美人で、時に仔猫のように一緒に戯れたり、がまんしきれずに先にご飯を食べてしまったり、でも人の姿を見ると激しく威嚇して母性を発揮していました。仔猫たちを呼ぶ声の何と優しかったことか。」とあり、捕らえられて仔猫から引き離されたチミママの気持ちを思うとつらく哀しく、むさしの地域猫の会の会長さんからも「この子たちにとっての幸せはなんだろう?これで本当にいいのかな?と自問自答しながらも、それでも外で暮らす猫たちの過酷な環境や病気になったり怪我をしたときのどうしようもなさを見るたびにやっぱりできるだけ保護するべきなんだと思いなおします」と逡巡するメールをいただいた。

チッチとミンミが優しい飼い主にもらわれますように。そしてこの長雨が早くあがって、またいつもみたいにチミママが長い尻尾をひらりと揺らして塀づたいにあらわれてくれないか、と思う。長い手足と小さな顔の美しいお母さん。ポチ実もチミママが来るとシュッと背筋が伸びる。左耳に地域猫の示すカットが入ったチミママよ、こんな不確かな日々を思うとき、嫌なことから忘れていけたならいいね。美味しいものをあげる準備はできている。


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2015年06月30日

猫騒動 5thシーズン(6)ようこそ後輩


友人でありバンドメンバーの五十嵐祐輔くんが仔猫を飼い始めた。先週鎌倉molnでのライブの際、ちょっと立ち寄って愛でるつもりが、あまりに小さく痩せていて儚く、少し元気もないように見えたので心配になって、その後もずっとやりとりを続けていた。「猫はいいよー」「五十嵐くんも実際に猫と暮らすようになったら張り子の猫の絵が変わってくるかもよ」「人には、猫を飼う人生と飼わない人生のふたつしかない」と背中を押した手前もあり、昨日再び五十嵐ミルクと名付けられた仔猫を訪ねることにしたのです。ご近所の近藤研二さんと連れ立って。近藤家は乳飲み子だったモイを立派な(元気凶暴な)猫に育てた直近の経験があり心強い。

まず大船のペットショップで仔猫用のフードやブラシ、タオル、ウェットティッシュ、猫のおもちゃなどを購入。カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュで待ち合わせて仔猫のもとへ。やはり近藤さんから見ても仔猫ミルクは小さく頼りない。多分五十嵐くんちのミルクはキジ白のオス、多分生後1.5ヶ月くらいで、少し栄養が足りていない。それから3時間くらい、何を教えたということもないが、遊ばせ方とかご飯の皿の高さとか(買ってきてあげた半生のフードをペロリと食べてくれた)、トイレの場所などを話しながらの3時間くらい。仔猫にとっては大きな人間が何人もやってきて緊張しきりだっただろうけど、五十嵐家にとっては何らかの役に立ったのではないかと思います。猫先輩は後輩に厳しくも優しい。


仔猫時代というのはあっという間の時間だ。ポチ実はわが家の庭に現れたときはもう2ヶ月半くらい、四肢もしっかりしていて、仔猫の時代の最後の頃だった。駆けまわり、眠さと戦いながら遊ぶその姿はとても可愛くて、僕はポチの仔猫時代を知らないので「ああ、ぽっちゃんもこんな感じだったんだろうな」と想像し追体験した。ご近所近藤さんちのモイも遊びにいくたびに大きくなった。ミルクもきっと寝て起きたら大きくなっているような超成長期間のはずなのでその貴重な時間の一瞬一瞬を五十嵐くんには謳歌してほしいなと思う。そして、またこれで鎌倉に遊びにいく理由が増えたことがとても嬉しい。




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2015年06月19日

猫騒動 5thシーズン(5)ポチの一周忌



去年の6月19日は長い長い一日だった。夜明け前、目を離した隙に(寝落ちしたんだな、僕が)具合が悪くて動けないはずのポチの姿がどこにも見えなくなって、家じゅうを探して結局どこから入ったのか寝室のベッドのマットレスの下でぐったりしているポチを見て、病院に入院させて少しでも楽になるような積極的な治療をしてもらおうと決めた。朝いちで病院に連れていって、そのまま深大寺に行って病気が治るように祈祷してもらった。ちょうど桜桃忌だったので帰る途中で禅林寺に寄って太宰のお墓に御参りもした。15時半くらいに病院から電話がかかってきて駆けつけるとポチは心臓マッサージを受けていて16時過ぎには冷たくなったポチを連れ帰って僕は家のリビングで座り込んでいました。

「そんな保冷剤なんかじゃだめだよ」と友だちがドライアイスのブロックをいくつも買ってきてくれて、「なんも食べてないでしょ」とイトケンさんがお寿司を買ってきてくれて(ポチが好きなカツオも)、ヒックスヴィル中森さんが花を持ってきてくれて、お店が終わった長男堂店主がおむすびを作ってきてくれて、立派なお通夜でした。僕は寝不足のままグビグビとビールを飲んでしまっていたのでうつらうつらと居眠りしたり意味不明なことを言ったりしてみんなに笑われて、ああ、こういう感じってお通夜によくあるなあ、親戚同士の喧嘩や小競り合いが起こったりもするんだよなあなどとぼんやり1年前の夜に考えたのでした(このときご近所の近藤研二さんと知り合っていないということが今となっては不思議ですね)。

1年後の今日は雨の1周忌、お昼から夜までリハーサルでした。ちょうどポチが旅立った時間の頃から「些細なことのように」「ポチの子守唄」「日向の猫」と近藤さんも含む8人での演奏で、僕は結構感極まった感じになってしまって、みんなにそれがばれないようにするのに必死でした。ポチの一周忌に一番近い土曜日を選んでライブを決めたのは去年の12月、僕の誕生日でした。たくさんの仲間の協力でできあがった、愛猫ポチに捧げた『the loved one』を明日から皆さんに届けられることがとても嬉しいです。家に帰るとやんちゃ盛りのポチ実が駆けまわって夜の運動会を。今日は今日でいい日でした。明日は今日よりもっと良い日になると思います。




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2015年06月15日

猫騒動 5thシーズン(4)初めての夏が来る



前回の猫騒動ブログから約2ヶ月あいてしまいましたが、春だった季節は夏へ向けて進む雨の洞窟に突入しました。猫にまつわる騒動が2ヶ月なかったかというと全然そんなことはなくて毎日ポチ実は何かを“やらかす”し、週に何日もご近所猫のモイと遊びにいくし、うちの庭には野良の不法侵入猫が現れるし、ポチ実のお母さん猫「チミママ」と網戸越しに対峙することも頻繁にあります(今日の午後もでした)。ここ最近では斜め向かいの空き家から仔猫の声が聞こえてきて(ここはポチ実が生まれた空き家だと思われるのですが)昨日お家の持ち主が掃除をしにきたところを見計らって挨拶にいき、猫が出産しているかもしれないことを報告、相談したり。まあ、言ってみれば毎日が猫騒動の連続なわけですよね。

そしてひとつ、お伝えするのが遅くなりましたが、春のGOMES THE HITMANのライブと吉祥寺にじ画廊でのイベントで募ったむさしの地域猫の会募金箱に入っていた10,101円を会に寄付しました。ささやかな貢献ですがとても喜んでもらえました。仔猫が生まれる時期に何かの役に立っていたら嬉しいです。お心遣いいただいた皆さまに感謝を。今度は6月25日の木場 EARTH + GALLERY《Art × Music for CAT LOVERS》に募金箱持っていきたいと思っています。ふと気づけばあれから1年が経とうとしていて、ああ、いろいろなことがあって今このときに繋がっているなあ、と考える。

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ポチはちょうど去年の雨の季節に具合が悪くなり、6月4日からかかりつけの病院に通い始めました。重度の腎不全でした。ちょうど1年前の今日くらいにはご飯も水も飲めなくなって、神頼みの祈りにも似た思いを抱いてホメオパシーの病院のドアを叩いたりしている頃。苦しむポチの背中をさすりながら夜も寝ないで看病するというタフな日々は果てなく続くかと思われました。「ポチの回復日記」と希望を捨てずに名づけた詳細なメモを取っていたので今でもそれを読み返すとその頃のことを鮮明に思い出せます。そして深い溜息と涙と後悔のような念が混ざり合い、リビングに飾ったポチの大きなポスターに語りかけ、床に転がって遊ぶポチ実を見つめるのです。1年前に書いていた日記はこんなふう。


<2014年6月13日(金)>
朝、9時過ぎに病院行くもA先生おらず一旦帰宅。よだれ、その後黄色い胃液を吐く。ちょっと落ち着く。楽になった?A先生を待つ。10時半に再び病院へ。診察台の上で失禁、でもこれでかなりおなかが楽になった?腎臓の数値が非常に悪いからその通りの症状が出ている。正直やれることがない、と。体重はなぜか今回も変わらず4.8キロ、それほどひどい脱水でもないらしい。昨日200mlちょっと輸液したことを伝えると、数値を調整するために朝の診療では輸液を入れないことに。吐き気止めの注射2本とステロイド?もう1本黄色い注射を。フォルテコール半分と心臓の動きを良くする薬半錠。夕方もう一度通院することに。
(注射料2100円/内服薬500円/合計2808円)

帰宅後唾液のような透明なものを吐いて、しかししばらくは落ち着く。15分間隔でえづきはあるが、目をつぶって休めているように見える。夕方にもう一度A先生に会えるのが救い。泣いてるヒマはないが涙が出てくる。この感情はなにか。15時くらいから吐き気が増えてきた。5分間隔。ノドの下、胸をさすると気持ち良さそうにする。断続的に頭を沈めて休む。そして吐き気で頭をあげる。

今日二回目の午後6時半の診療。顔が少ししっかりした?と僕も思うし先生も言う。
栄養入りの輸液注射を2本と吐き気止め2本。飲み薬も同じだけ。「治ってくれよ〜」と先生。願う。
(注射料2800円/合計3024円)

帰宅後唾液のような液体をまた吐く。これでかなり薬も吐いてしまったのでは?と思うが、その後落ち着き、休む。しばし仮眠。真夜中の2時、吐き気が止まらないためやむなく24時間やっている救急病院を探して車を飛ばす。血液検査、そして吐き気止めを2本。腎臓の数値は前週よりはマシ?帰宅後また少し吐き、その後落ち着く。5時頃から1階へ。窓際。ソファの下。好きにさせる。オシッコ。朝7時に二階寝室へ。日向の窓際で外を眺める。吐き気減って幾分穏やか。
(夜間診療6800円/血液検査2500円/注射2500円/合計12744円)


<2014年6月14日(土)>
朝の病院で昨晩のことを報告。真夜中でもしつこく電話を鳴らせば誰かが対応してくれるとのこと。黄色い輸液には少し栄養入りか。吐き気止め2本、ともう一本?いつも一本余計におまけしてくれる。錠剤の胃薬は自分で。フォルテコールと心臓の薬はまだあげられず。帰宅して、相変わらず波があり苦しそう。
(注射料2100円/内服薬900円/合計3240円0

知人から紹介しただいた自然療法の動物病院へ。1時間弱の車の長旅。予想に反して佇まいはティピカルなクリニック。ホメオパシーについて非常にわかりやすい話でいろいろ腑に落ちる部分も。注射を5種ほど。腎臓、肝臓、腸の動き、エネルギーの流れを助長するものなど。ホワイトボードの図を使っての説明は明快。ポチは疲れて眠るような顔。ポチの吐き気による空咳のようなものは腸から上がってきたガスのせい。ハーブウォーターのような薬。明日も昼前に来ることに。新しい始まり。
(初診料10000円/検査15000円/内用薬4000円/合計31320円)

帰路、かかりつけの病院へ。4.65キロ。診察時間過ぎても対応してくれて感動する。
肝臓のことも考えて腎臓の治療をしてくれている。吐き気止め。流動食を処方。
(注射料3500円/合計3780円)

帰宅。ポチ、いつものポチのよう。しっぽをあげて歩く。正直驚いた。嬉しい!水を飲むかと思ったが寸前でやめる。庭にも出る。葛湯をぴちゃぴちゃと舐めさせる。しっぽをあげて歩く。ソファを居場所の定位置にして、昨日までとは全然違う。さあ頑張ろう。穏やかに寝るポチにつられ自分も久しぶりに寝た。しかし3時頃から吐き気で苦しむポチ。ソファの下、風呂場の前、うろうろ。あごの下をなでたり背中をさすったり気分転換に庭に出たり。ゲップを出させたくて腸の薬を半かけ、「ガフー」と一発出て少し楽になったか。ソファの上で少し落ち着いたのは4時半。


<2014年6月15日(日)>
朝は気持ち良さそうに寝る。11時半からの自然療法の動物病院、昨日同様の注射と、お話。リラックスした穏やかな時間も、後に来た患者犬の大きな鳴き声でかき乱されてしまった。帰りの車で酔ったか唾液を流す。帰宅してぐったり。もう少し頑張ろう。
(診察料2500円/皮下注射12000円✕2日分/合計29354円)

お昼過ぎにかかりつけの動物病院、4.45キロ、体温37.8度。ぐったり。たくさんの複合注射を。
帰宅後、具合悪い。昨日が嘘のように。しかし体力回復してもうちょっとトライしたい。
夕方の診療はあきらめ、輸液セットをもらいにいく。
(注射料4200円/フード1350円/合計5994円/夜の分の輸液セット注射料3500円/合計3780円)

血便のような赤いシミをトイレに発見。オシッコは3度ほど。しゃがみこんだりヨロヨロ歩いたり。好きにさせる。夜になって庭で涼む。風が気持ちいいな。気分転換して好転しような、ポチ。ポジティブなヴァイブレーションを全方向へ。血尿続く。量はこれまでより増える。日付変わる頃にぐったりしたポチに輸液。続けてがんばってもらって液状健康補助食品をシリンジで。なんとか食べてくれた。薬を飲ませるのに難儀して余計な体力を使わせて申し訳ない。ブラシでのマッサージで帳尻合わせを。気持ちよくなったのか眠る。お風呂場で。ここ数日のなかでは断続的にだけど一番寝た夜かもしれない。起きるとポチは2階寝室にあがって、よだれを流して吐き気と戦っていた。ガスを吐き出せたので階下に連れて降ろしブラシで撫でて落ち着く。その後場所を変えながらえづきをやりすごす。気持ち悪さゆえの行為だろうけどしっかり歩いている姿を寝ぼけつつ眺めた。地震が数回。朝7時、待望の太陽、庭に出て紫陽花の下で数時間とても穏やかに過ごす。


こんな感じの日記が2週間分、最初はノートパソコンで書いていたのが途中からiPhoneのメモに走り書きになった。最期の2日、6月18日と19日の日記は書けず、思い出しながら後で補完した。ちょうどワールドカップで盛り上がっている時期だったけど僕は結局ひとつも試合を観なかったな。1年経って思うのは、今年はなんで庭の紫陽花が咲くのが遅いんだろうかということ。ポチは紫陽花がよく似合う猫だった。雨が少ない気がするのは、去年は本当に雨の日と低気圧がつらくて、太陽を渇望していたことを憶えているからか。愛猫ポチを看取った経験は僕にとって猫の病気についてもっと詳しく知りたいと欲するきっかけになった。同じ過ちを繰り返したくなくて、僕はこの夏から「猫健康管理士」という資格を受講することにした。ポチ実は6月後半生まれらしいから、物心ついて初めての梅雨を迎えてつまらなそうに窓の外をぼんやり眺めている。新しい季節はもうすぐ。

ポチがいない夏、ポチ実がいる夏。1年たって僕たちに初めての夏が来る。
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2015年04月20日

猫騒動 5thシーズン(3)猫がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!

この週末は奇跡みたいな猫の週末だった。金曜日にご近所の近藤研二さんから「猫を山梨までもらいにいってくる!」と連絡が来て「えええ!」と盛り上がって、自分のことじゃないのに親戚に子供が生まれる!みたなドキドキ感を味わう。そして近藤さんが猫を見つけた里親サイトを新着順に見ていたら、兵庫に茶トラの可愛い猫が里親募集中だったので加古川チャッツワース岸本さんに「この猫かわいいよー」とメールした。去年10月になくなったチャオにそっくりだったからだ。するとすぐ「山田くん、なんで知ってるの!?このコ明日うちにやってくるんだよー!」と返信が。なんとも信じられない偶然。運命の猫である。

そして土曜日、お昼から出かけていった近藤さんは夜になって可愛いサバ白猫を連れてうちの町に帰ってきた。頭の模様や色が去年8月に天国へ旅立ったマルオにそっくり。猫返し神社巡礼の霊験あらたか?いよいよ立川水天宮阿豆佐味天神社の信ぴょう性が増してきた。さっそく見にってその可愛さにメロメロに。近藤さんのインスタグラムはこちら



そして時を同じくして岸本さんのところにチャオそっくりな茶トラが到着。名前は「これしか考えられへん!」と「チャオ」に「実」をつけて「チャオ実」(チャオ実は女の子)にしたとのこと。それで僕もひそかに近藤さんのチビ猫を「マルオ」に「実」をつけて「近藤マルオ実」→「近藤マル臣」と呼んでたんだけど、一晩たってチビ猫にはマルオの“M”を継承した「モイ」という素晴らしい名前がついた(モイは男の子)。こんにちは、モイ。



日曜日になって朝イチで、ポチが最期までお世話になって今はポチ実が通っている近所の獣医さんへ近藤モイちゃんに付き添い紹介した(待合室に「ひなたのねこ」の本が置いてあって嬉しかった)。モイは片手に乗るような小さな乳飲み子でまだまだ手がかかって大きくなるまで大変。そして岸本チャオ実さんも人馴れしてなくて人猫関係を築くところからのスタートで根気が必要そうだけど、どちらのファミリーも猫がやってきた途端にパッと元気になった感じがして、猫ってすごいなあ…としみじみと感じ入っている。猫は自分で家を選ぶのだ、きっと。

そしてうちでガラガラガッシャンと走り回っているポチ実はますますたくましく育ち、今日も可愛い。最近チミママとその新しいボーイフレンドが庭先によくあらわれて、ポチ実は窓からずっと身体を硬直させて眺めている。春の季節、またチミママは新しい子を産むのだろうか。悩ましい猫問題である…。こうやって猫騒動はまだまだ続くのです。近藤研二さんとのデュオ、ユニット名のようなものを考えていたのですが、いい名前がつきそうです。5月3日の蔵前in-kyoでの木下綾乃さん原画展でまた3人でトークをして3度目のライブをすることになりました。そのときにでも名前お披露目したいと思います。


2015年5月3日(日)@ 蔵前 in-kyo
“トーク&ライブイベント「ねこのいる暮らし」”@ 蔵前 in-kyo

18:30開演(18:15- 入場開始)

出演:木下綾乃、山田稔明 with 近藤研二
料金:1,500円
30人の限定イベントにつき、ご予約はお早めに。

★ご予約はメールにて
millebooks@outlook.jp(ミルブックス)まで
件名に【5/3予約】、本文に「お名前、人数、メール、
ご連絡先電話番号」を記載の上送信ください。

蔵前 in-kyo(http://in-kyo.net
東京都台東区駒形2-5-1 柳田ビル1F
03-3842-3577 /12:00 - 19:00(5/3のみ -17:00)



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2015年04月14日

猫騒動 5thシーズン(2)出会いと別れの春

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ポチが天国へ旅立ってもうすぐ10ヶ月、そしてポチ実がうちの猫になって7ヶ月になった。実物を見て「こんなに大きいんだ!」と驚かれるほどポチ実はふくふくと太り、もう4.5キロくらいあるのではないか?ポチは最期4.8キロだったので間もなく1歳になるポチ実は育ちきった成猫になったのかもしれない。最近は来客があるとき無理やりポチ実をリビングに幽閉してお客さんの相手をさせている。最初はぶるぶると震えてパニックになっていたのが、なんだかそのうちもうあきらめてしまった感じになって、ついにお客さんの胸に抱かれるところまでになった。で、閉じ込めたドアを開けて「ごめんごめん、もういいよ」と解放してもちょっと距離をおいてこちらの様子を伺ってかくれんぼごっこしたりしてかなり興味はあるみたいなので、もう少しで誰とも仲良くできるウェルカムな性格の猫になるのではないかと楽しみにしている。

4月1日にアドヴァンテージ・ルーシーのアイコちゃんのところのリロが旅立った(リロの闘病記)。リロがまだちっちゃな仔猫の頃、アイコちゃんのパーカーのなかに抱かれてGOMES THE HITMANのレコーディングに遊びにきたときのことをよく憶えている。2004年、11年も前のこと。闘病中からいろいろ様子を聞いていたんだけど、亡くなった夜は猫を介して繋がったたくさんの友だちがチャット状態でリロとアイコちゃん家族を優しくねぎらって、とても美しいオンラインお通夜でした。なんでこんなに涙が出るんだろうかと不思議だった。ついこないだ経験した季節を猛烈に思い出している自分がいました。

先日も一緒にライブをやったご近所の近藤研二さんも愛猫マルオをなくしてもう8ヶ月、うちに遊びにきてポチ実と遊ぶときもカチコチのポチ実とは対照的に本当に嬉しそう。近藤家の新しい家族探しに僕も同行させてもらって、先週末は猫の譲渡会をはしごした。まず最初にずっと興味があったランコントレ・ミグノンの譲渡会。ここの猫たちはとてもキレイにケアされていて感動した。多頭飼い崩壊や育児放棄など猫が背負う過去はさまざまでいろんな想いが去来する。インスタグラムで見て知っていた「ル」と「ノ」という名前の2匹(頭にそういう模様があるのです)がトライアルにもらわれていく瞬間に立ち会うことができました。

ミグノンプランのすぐそばにあるTAS YARDというカフェで一休みしたあと、今度は中野方面での里親会へ。こちらにもたくさんの猫がいたが、高齢猫や目の見えない猫、人間に虐待されて片方前足がない猫、フーフーいって人に触らせない猫、もらわれていったのにまた出戻ってしまった猫などタフな人生(猫生)を歩くコたちが多かった。やはり思うこといろいろ。ミグノンも中野の保護団体もスタッフの皆さんが慈悲深く献身的で素晴らしかった。僕も近藤さんも猫疲れしてしまったのか帰り道は言葉数少なかった(あるいは物思いにふけってた?)。いろんな猫の物語、いろんな保護活動、いろんな譲渡会、様々な里親条件があることがここ最近改めてだんだんわかってきましたが、この日はこの日で行ってよかったなと思いました。

そうこうしていたら庭先にポチ実のお母さん「チミママ」がやってきました。まだまだ猫騒動は続きそうです。


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2015年03月31日

猫騒動 5thシーズン(1)新しい季節、春のスケッチ



春が来た。明日から4月だ。ポチ実は6月生まれだから当然初めての春。そしてうちの家の小さな庭は1年で一番いい季節を迎えていて、朝コーヒーを淹れて、庭に置いたベンチとか椅子、テーブルの上にMacBookを広げてあたたかい陽射しを浴びながらメールチェックしたりするのがとても気持ちがいい。去年は僕がそうしいてるそばにポチがいた。のそのそ歩いたり草の匂いを嗅いだり梅の木で爪を研いだり自由に過ごすポチが、今年はいない。その代わりに網戸の向こう、部屋のなかから僕のことを見て、口を開けずに「フーン」とつまらなそうに鳴いてふて寝しているポチ実が、いる。

庭で自由に遊ばせてあげたいと思うのだけど、やっぱりもともと野良猫だったポチ実を外に出すのはかなりリスキーで、事件が起こってからでは遅いわけで、僕は慎重にならざるを得ない。うちの猫になる前のポチ実は木に登り、屋根をつたい、塀をしゃなりしゃなりと歩いてとても器用な猫だったから(下記の写真参照)、外に出たら多分その気があればどこへでも行けるはずだ。パニックになったり、急に野性が戻ったりする可能性も大きい。しかし今思い返しても去年の9月に現れたときのポチ実の姿は自由で気ままでとても美しかった。



それで、やっぱり僕はこの1年で一番いい季節のわが家の庭でポチ実を遊ばせてあげたくて(この最良のシーズンは蚊の発生とともに終焉を迎える)インターネットでいろいろ探して猫用のハーネスを買ったのだ。首が締まらなくて、リードもジャバラのゴムで伸縮性があるやつ。赤と青があったが、ポチ実は女の子だから赤。注文して翌日にはクロネコが届けてくれて、ついつい僕のほうが興奮してしまって、「チミ!チミ!これで外を散歩できるよー」とバリバリと封を開け、取り扱い説明書を見ながらポチ実に装着した。まずは部屋の中でのトライアル。これまで何を買っても(おもちゃでもご飯でも猫タワーでも)主人の期待通りに喜んでくれたポチ実だったが、しかし、この猫用ハーネスはダメらしい。胴まわりをヒモで結ばれるとうまく歩くことができないみたい。匍匐前進みたいな格好になってしまう。長いこと慣れさせたらどうにかなるかもしれないが春のお散歩はおあずけだ。

納戸を探してみるとポチが使っていた首輪とリードが出てきた。ポチは晩年は庭に出てもパトロールを一周して、ひなたぼっこをして、たまにバッタをちょいちょい追っかけるくらいで、首輪やリードは必要なくなったのだけど、最初の頃はやっぱり心配で長いヒモを結びつけていた。猫用ハーネスがだめだったポチ実もこの首輪はどう?と試したが、なんだか首周りが太くて(肥満?)窮屈そう。ポチの匂いがするのかクンクン匂いを嗅いで興味はあるんだけど。自分自身が春の陽射しを浴びて気持よくなっているからこそ、僕の葛藤は続く。

ポチ実は以前より少し落ち着いたような感じがある。最近特にひとりで過ごす時間が増えたし、穏やかな顔で窓の外を眺めている姿はやっぱりポチに似ている。かと思うと、朝起きたらリビングの花瓶が倒れて床が水浸しになっていることもあるし、ソファとか絨毯に爪を立ててこちらの気持ちを逆なですることも毎日だ。2階の窓から見える満開の桜をこの小さな猫はどんな気分で眺めているだろうか。そして僕はなんとも言えない幸せな気分でその後姿を眺めている、そんな春だ。ポチ実は春を謳歌できるのか。猫騒動はまだまだ続く。







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2015年03月10日

猫騒動 4thシーズン(extra)チミママの建もの探訪

4thシーズン最後にスピンオフ的なエクストラを。昨日の午後、チミママ(ポチ実のお母さんと思われるキジ猫)が塀を伝ってしゃなりしゃなりと我が庭を横切っていたので「チミママ!」と声をかけたら立ち止まってこっちをじっと見た。相変わらず尻尾の長いきれいな猫だ。近所の猫ネットワークによるとこの猫はこの周辺に歴代どんどん猫を増やしている猫だそうで、猫の保護活動をしていらっしゃる方たちはなんとか一度捕獲して子を生まないように避妊手術をして地域猫に戻したいという思惑があるらしい。なかなか複雑な思いを抱かせる猫、チミママがポチ実を健康に産んでくれたと思うと感謝の気持ちも当然あるが、もちろん僕はチミママにはエサをあげていない。



チミママが香箱を組んで塀の上で落ち着いたので、2階でグーグー寝ていたポチ実を抱いて階下へおろし「ほら、チミママだよ!」と指をさしたら最初はボケボケしていたチミも、は!と気づいた。最初は敵だと思ったのかブルブル震えだし、尻尾が見たことないくらい膨らんだのだけど、そのうち神妙な面持ちに変わった。チミママは貫禄があり微動だにせずこちらを見ている。チミママはこれまでも何回かうちの庭に来たことがあるがタイミング悪くいつもポチ実はいなかったから「娘をよろしくね」と挨拶に来ているんだと思うようにしていた。ついに対面を果たした山田家の猫になったポチ実とチミママ。

見つめ合う心理戦は10分くらい続いたか、急にひょいっとチミママが身体を翻し塀の向こうへ消えていった。ポチ実はその後もチミママがいた場所やその向こう側を眺めたり落ち着かなかったが、何を思っただろうか。チミママも何を思ってこちらを眺めていただろう。猫の気持ちは知る由もないが、彼女たちには彼女たちの歴史があるのだなあと再確認した。その後ひどい雨降りになって「お母さん、雨宿りできてるかなあ」と話しかけたらポチ実は緊張しすぎたのか疲れて眠っていた。以前見たときよりもチミママのおなかが大きく感じられたのがなんともやるせなく難しい気持ちにさせた。もしまた庭に運命的な仔猫があらわれたらチミは妹弟を甲斐甲斐しく受け入れるだろうか。チミママ、ポチ実は幸せにくらしていますので安心してください。



何回も言うようで申し訳ありませんが、いよいよ今日が下北沢モナレコードでの「ひなたのねこ展」の最終日となります。いよいよ最後の最後。今日の夜から閉店まで在廊してそのまま撤収、久しぶりにポチをおうちに連れて帰ります。週末に売り切れていたアアルトコーヒーの「ひなたのねこブレンド」も若干数追加入荷。学校帰り、仕事帰りの夕ごはんや飲み会にぜひ今日のモナレコードをご利用ください。2月17日からの展示、たくさんの方に来ていただきました。さらには去年の春から各地のねこ展に足を運んでくださった皆さんにも心から感謝を。遠方で来れなかったけど念のようなものを送ってくださった方もたくさんいらっしゃいました。

本当にありがとうございました。


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2015年03月09日

猫騒動 4thシーズン(10)生活の残り香|4thシーズンの終わり

先週末、下北沢モナレコード「ひなたのねこ展」でのひなたのねこトーク&ライブが盛況のうちに終了しました。たくさんのお客さん、近藤研二さん、木下綾乃さん、ミルブックスにスタッフのみんなに心から感謝したいと思います。ちょうど去年の今頃は写真絵本「ひなたのねこ」の原稿を書いていた頃で、その初稿を読み返してみると(3月11日の日付で書いている)「このおうちは朝になると太陽の光でいっぱい/日向はまるでカリフォルニャア/小さなお庭のパトロール/僕らの世界は今日も平和さ」と普通に漢字混じりに書き出していて、そこから漢字をなくして現在の形になったのだけど、「ぼくらのせかいはきょうもへいわさ」は最初から明確なキーワードだったのだな、と気付く。

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楽しみにしていたとても大切なイベントが終わったので、御多分にもれず僕もこの土日で<生活>といううすのろ、こと確定申告に手をつけたのだけど、レシートの山を整理しているといろんなことを思い出す。レシートの種類を分類して経費に関係ないものはゴミ箱へ、とさっさと終わらせてしまいたかった仕分け作業だったが、1枚1枚ながめては立ち止まってしまう。5月後半からのロヂャース(吉祥寺のディスカウントスーパーです)のレシートにはたくさんの種類の猫のごはんを1パックずつ買った記録があって、これは食欲がなくなったポチがどれか気にいるやつがないかを調べるためのトライだ(最後まで食べたのはCOMBOというウェットフードだった)。同じ頃にはすでにPOCHIバッジを試作するためのプラ板を買ったりもしてる。

いよいよご飯を食べなくなった数日後にはいつもは行かないペットのコジマで違う種類のフードに期待をかけたり、腎臓疾患に効くという水素水を買いにでかけたりもしている。6月13日のマツモトキヨシのレシートにはウェットティッシュとタオルを大量に、リポビタンDとか強壮剤も買い込んでいて、この日は胃液を吐いて失禁したポチを見て僕は初めて怖くなって泣いてしまった日で、心身くたびれ果てていたことを鮮明に思い出した(「おばあちゃん猫との静かな日々」の下村さんにメールで泣き事を言って「腎不全の猫っていうのは痛みとか苦しみをあんまり感じないらしいのよ」と救われる言葉をもらったのもこの日だった)。ポチが亡くなった6月19日を境に花を買ったレシートが増えて、IKEAに行ってフォトフレームをバカみたいに買ったレシートもある。病院通いの費用の記録は別のファイルにまとまっているのだけど(ものすごい金額でため息が出るね)こういう、日々の暮らしのなかの残り香に切なくなる。・・・と思っていたらポチ実がレシートの山にズサーッとヘッドスライディングをしてきて仕分けた束をめちゃめちゃにして、そんなセンチメンタルな空気は見事に撹拌された。「おま、やめれー!ポチはそんなことしなかったよ!」いや、そういえばポチもレシートの上で寝転がって僕を邪魔するのがこの季節の恒例だったなあ、などと振り返りながら。



ポチ実はふくふくと太り体重は多分4キロを超えた。このままだと肥満猫なので現在いろいろな策を検討中です。初夏生まれのポチ実にとっては初めての春。庭の梅は花盛りになって、こないだ庭師さんが切りそろえてくれた紫陽花にも新芽が。二階からはお隣の桜の木が見えるがまだ蕾は固い。毎年クロッカスが不意に花を咲かせる庭にはポチ実をまだ出すことができないが、窓を開けて(網戸はしめて)たくさん匂いを嗅がせてあげようと思います。

下北沢モナレコードでの「ひなたのねこ」展はいよいよ10日まで。今日と明日の2日間で終了です。先日のイベントの打ち上げで猫友だちのみんながポチの写真を見ながら「ポチは山田さんに飼われて本当に幸せだったねえ」と言ってくれて、そう言われると僕はもう本当に幸せで救われる。ポチ実、おまえもポチに負けないくらい幸せな猫にしてやろう。冬の終わり、春の始まり。猫騒動 4thシーズンはエピソード10を持ってファイナルとさせていただきます。まだまだ猫騒動は続くのです。5thシーズンにもご期待ください。


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2015年02月21日

猫騒動 4thシーズン(9)猫の町内会



昨日のこと、下北沢モナレコードで開催中の「ひなたのねこ展」、POCHIバッジが早々に売り切れてしまったので追加納品しにいくついでに数時間カフェに席を取って在廊させていただいた。金曜午後の落ち着いた時間だったけどお客さんといろんな話ができて良い時間でした。猫を2匹飼っているというカップルのお客さんとは「さかり」の話を。ポチ実とまったく同じタイミングで仔猫が盛ったのでインスタグラムを見ながら同じ気持ちで対応できた、とか。花を持ってきてくれた人もいたし、愛知県からわざわざお越しいただいた方もいらっしゃった。

そして同じ町内会の、うちのすぐ近所に住むAさんが展示を観にきてくれてびっくりした。Aさんは去年書いた猫騒動サードシーズンの重要登場人物。「気づいたときには関東での展示が終わっちゃっていたので今回楽しみにしてて…」と少し照れるAさんと下北沢のカフェでお会いするのは不思議な気分。そして気になっていたポチの姉妹である、チミヨ(ソラミ)ちゃんとサビ子ちゃんのその後のことを聴くことができたチミヨ(ソラミ)はいいおうちに里子としてもらわれたらしいが、サビ子はその強い野性のせいで人に慣れるのがまだ難しいらしく、引き続き態度を軟化して人と共生できるように練習しているらしい。サビ子は、しかし、ポチ実同様に今年になって発情期が来て、避妊手術を受けたとのこと。人が怖いのに全身麻酔されて手術されてサビ子もさぞかし辛かったことだろうね。人生いろいろで猫もいろいろだ。

このAさんのうちが実は写真絵本「ひなたのねこ」に載っている。「ねえねえ なにをみつめているの?」のページ、ポチが見据える赤茶色の家がAさんのお宅だ。こんなご縁がその後につながることをポチは予見していたのだろうか。奇しくもAさんと(同じく近所の)Bさん家族がチミヨと一緒にうちに訪れたのはご近所の近藤研二さんと初めてちゃんとお会いしてお互いの猫の話を聞かせ合って号泣した翌日。東京に暮らしていてこんなご近所付き合いがあるのが不思議。これもきっと猫が招いたサムシング・ストレンジ。

今週末はいよいよ2月22日で猫の日。ぜひ下北沢モナレコード「ひなたのねこ展」にお越しください。ラフォーレ原宿で開催されているCat's ISSUE POP UP STOREも楽しそうなので、下北、原宿、そして渋谷での僕のライブ、とはしごするのもお薦めです。






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2015年02月15日

猫騒動 4thシーズン(8)いい猫 わるい猫 ふつうの猫



愛猫ポチが逝って今日で241日、もうすぐ8ヶ月。そして生まれ変わりのようなポチ実がやってきてからは5ヶ月になりました。もちろんポチ実は可愛いんだけど、暴れて走り回って鳴いて、ポチに供えてある水を飲んだりカリカリを食べたり、やりたい放題の傍若無人で、いつもいつも口をついて出るのは「おまえは悪い猫だなあ…」「ポチはそんなことしなかったのに!」「このワルネコ!」という言葉たちだ。本当にポチはおとなしくて大人らしく思慮深く面倒をかけない猫だったのだなあ、と壁に貼った大きなポスターを眺めながら、そう思う。ポチはうちに来たのが2歳のときだったのでもう散々遊びに暮れたあとだったのかもしれないけれど、ポチとポチ実の性格には面白いくらいのコントラストがある。

いつかのブログに「ポチ実はポチよりも少しだけ器量が悪いところが先輩を立てて健気だ」というようなことを書いたことがあるが、この5ヶ月の間にポチ実の健康で若さ溢れる可憐さはどんどん研ぎ澄まされていて、写真だけ見ると本当にかわいい。どうかすると「ポチちゃんは“ブサカワ”というか愛嬌がある顔でしたけど、ポチ実ちゃんは本当にかわいいですねえ」などとふたりは比較され、それに対して僕が「いやいやいや、ポチもかわいい猫ですよ。“ブサ”は余計ですよ」と口角泡を飛ばすこともあるこの頃だ。なので、このポチ実の日々の傍若無人さというのは結果的に「ポチはあんなによくできた猫だったのに」というポチの品位を高める結果につながっているのであるから、そういう意味ではポチ実はポチ先輩を立てて健気だ、ということにもなる。

最近ポチ実はネコのぬいぐるみ(チミオと呼ばれている)を弟のように“かわいがる”のが日課で、どんどんぼろぼろになってきたチミオは2階寝室から1階リビングの間を一日に何往復もポチ実に首の後ろを噛まれて運ばれており、気づくと体を曲げて階段の片隅にうずくまっていたりするから不憫だ。ポチはこの騒々しい毎日を守り猫神のように眺めているだろうか。それともじつはポチ実の頭のなかで若猫ならではのやんちゃな季節を楽しんでいるのだろうか(イメージとしては超人バロムワンの目の中、左にポチ実、右にポチが乗って楽しく操縦している感じ。伝わらないだろうけど)。



そんなポチの姿をフィーチャーした「ひなたのねこ」展、おそらく最後の展示が来週から下北沢で始まります。去年の春から続いてきた展示、「最後」というのはもう写真絵本「ひなたのねこ」が残りほんの僅かになっているからで、本当にたくさんの方に観にきていただいてポチはとても幸せな猫だなと思います。今回はモナレコードのスタッフがいろいろ期間限定メニューを考えてくれて、どれだけ愛されているか…と感動します。ひなたのねこパンケーキ、クランベリーソーダ(「harvest moon」という曲に登場するから)、サニーレタスとフルーツのサラダ(『緑の時代』収録の「サニーレタス」がテーマ曲ですね)とわくわくします。盟友アアルトコーヒーの庄野さんは「ひなたのねこブレンド」を焙煎してくれて、それは店内でも飲めるし豆売りもします。そして栗コーダーカルテット、図書館、Controversial Sparkなどで活躍する音楽家近藤研二さんと「ねこをもらったよ」を上梓したイラストレーター木下綾乃さんとのトーク&ライブも残席わずか。これもいい夜になると思います。最後の「ひなたのねこ」祭りをお楽しみに。



山田稔明「ひなたのねこ展」@ 下北沢 モナレコード おんがく食堂


愛猫家として知られるシンガーソングライター山田稔明が愛猫「ポチ」との
何気ない日常を描いた写真絵本『ひなたのねこ』を発表。その発売を記念し
た写真展がmonarecords おんがく食堂にて開催されることになりました。

写真の展示に加え、イベント限定メニューやねこ好き・雑貨好きの方必見の
オリジナルグッズの販売、トーク&ライブイベントも開催します!

「猫がいる普通の生活を通して、それがいかに愛おしいものかということを
伝えたい、そして猫と一緒に暮らしている人だけではなく、それぞれにかげ
がえないものがあり、身近にある些細なことこそが大切なものだと、この展
示を通じて感じてもらえたら嬉しいです。」山田稔明

【日時】2月17日(火) 〜 3月10日(火)(定休日なし)
【場所】下北沢 モナレコードおんがく食堂(http://www.mona-records.com/
【時間】12:00〜23:30(土日は11:30〜)入場無料


2015年3月6日(金)@ mona records(2F おんがく食堂)
“ひなたのねこ” TALK & LIVE〜猫がつなぐ

出演:山田稔明 with 近藤研二/トークゲスト:木下綾乃(イラストレーター)
19:00開場/20:00開演/料金2500円(別途1ドリンク)

昨年春から全国を巡回してきた「ひなたのねこ」展の最後を飾る下北沢での
猫好きによる“集会”です(猫好きじゃないかたも安心してご参加ください)。
猫がつなぐ点と線、猫が招く運と縁に導かれての開催!
イベント期間中限定メニューのお食事もお楽しみいただけます。

GOMES THE HITMAN HPにて入場予約受付中

下北沢 mona records(http://www.mona-records.com/
〒155-0031東京都世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル2F&3F
TEL: 03-5787-3326
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2015年01月28日

猫騒動 4thシーズン(7)猫返し神社 巡礼



昨日のこと、お昼から東京の西方、立川まで出かけて阿豆佐味天神社へ。そこで写真家の下村しのぶさんと待ち合わせてお参り。ここは去年ポチが天国へ旅立って2週間たった二七日忌の日に出かけていった神社。「またポチに会えますように」とお願いしにいった、そのきっかけはこの日のブログにまとまっています。「おばあちゃん猫との静かな日々」を上梓された下村さんと初めて会ったのはその二日後で(その日の日記)そのときは神社でもらった絵馬に愛猫照枝さんの絵を描き込んで差し上げたのでした。

猫返し神社に「またポチに会えますように」とお願いしてから2ヶ月ちょっと経ってうちの庭に現れたポチ実はまさにポチの生まれ変わりのような猫で、祈りは叶ってポチ実のなかのポチと僕は再会できたのです。僕はちゃんと御礼をしにいかなければとずっと思っていたのですが、下村さんも行ってお参りしたいということになって昨日の小旅行(立川は吉祥寺から意外と遠く、下村さんは僕より倍の時間をかけてやってきた)が決行されました。天気もよくあたたかで“聖地巡礼”にはうってつけの日でした。全国からやってきた愛猫家たちの願いを乗せた絵馬は風にカタカタと乾いた音を立てて、境内にはジャズピアニスト山下洋輔さんが弾く“越天楽”が流れていて、とても“気”が良い。背筋がすっと伸びるような時間でした。

その後五日市街道沿いのカフェで下村さんと猫の話を数時間。ポチ実が小さな頃の照枝さんに似ている!と盛り上がる。下村さんとは活動するフィールドもジャンルも違うのだけど、こうやって簡単に旧知の友だちみたいに打ち解けた会話ができるのは猫が振り撒いた魔法か。ポチ実は毎日日向の窓際でトリを目で追いながら変な声で鳴いて、走り回って、眠くなって丸くなって、また駆けまわって、まさに“元気”の象徴のようです。ポチが天国に昇って今日で223日、ポチ実がうちに来てから148日、まだまだ猫騒動は続いています。今日の荻窪6次元でのイベントも先週末の木下綾乃さんのとき同様とても楽しいものになるだろうなと容易に予想がついてワクワクします。たくさんのご来場予約をいただいているとのことで嬉しいかぎりです。当日券などについては直接会場までお問い合わせください。




2015年1月28日(水)@ 荻窪 6次元
『おばあちゃん猫との静かな日々』刊行1周年記念
“ねこむすびナイト”


下村しのぶ(写真家)
ゲスト:山田稔明(ミュージシャン)
聞き手:竹田理紀&澁川祐子(編集者)

おばあちゃん猫・照枝さんとの日々を写真と言葉で綴った
下村しのぶ著『おばあちゃん猫との静かな日々』(宝島社)。
刊行から1年、静かな反響を呼んでいる同書初のイベント!

写真家の著者による愛猫を可愛く撮るコツから、老猫との
暮らし方、看取りの話まで。ゲストに本を通じて知り合った
ねこ友のGOMES THE HITMANのVo.の山田稔明氏を迎え、
ねこが取りむすぶ夕べを開催いたします。

場所:荻窪 6次元
時間:19:00〜21:00
   山田稔明によるねこソングの弾き語りタイムあり
参加費:2000円(ドリンク付き/要予約)
予約:件名を「ねこむすびナイト」とし、名前、参加人数、
電話番号を明記の上、rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp まで。
---------------------------------------------------------------------
6次元(http://www.6jigen.com/
〒167-0043
東京都杉並区上荻1-10-3 2F
03-3393-3539
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2015年01月21日

猫騒動 4thシーズン(6)続・ポチ実の“回復雑記”



先週末からの4泊の九州旅、その間ポチ実は粛々となんとかかんとか暮らしていたわけですが、帰ってきてポチ実を見て(まあ、僕を「おまえだれだよ!」みたいな感じで警戒するという仕打ちをされるんですが)「おまえ大きくなったなあ!」というのが第一印象でした。もう仔猫じゃない…。小6くらいの感じ。避妊手術を経てもう“さかり”はなくなったのですが、とにかく走り回り、見えない何かを追いかけたり、鳴いたり唸ったり、もうやたらと元気なのです。かと思うとテレビを見入ったり、そそくさとハンモックにのぼってグーグー寝たり。自由。フリーダム。

手術のときにおなかの毛を広範囲にそられて、そこに少し長めの傷がありフランケンウィニーみたいで痛々しいのですが、術後10日を過ぎたので予定通り今朝はその抜糸のために病院に行ってきました。調子よく遊びまわっていたのに捕まえられてケージに入れられクルマに乗せられ、ブルブル震えながら診察台へ。傷もくっついているし問題なし、ということでポチ実最初の受難の儀式を完了しました。素肌の下腹部はセクシーに見える。早く毛が生えてきたらいいね。

福岡でも長崎でもポチとポチ実は大人気で、「いつもインスタグラムを見てます」とか「これをポチちゃんに」「ポチ実ちゃんに」とたくさんのプレゼントをいただきました。諫早オレンジスパイスでの展示はとても丁寧で美しく、うっとりと見惚れてしまいました。先週末が最終日の予定だったのが会期延長して2月1日まで飾ってありますのでお近くの方はぜひ足をお運びください。そして2月にはポチの写真たちが久しぶりに東京に戻ってきます。




山田稔明「ひなたのねこ展」

【日時】2015年2月17日(火) 〜 3月10日(火)(定休日なし)
【場所】mona records 2F おんがく食堂
【時間】12:00〜23:30(土日は11:30〜)

多分これで「ひなたのねこ展」一区切りとなります。入場無料なので
ぜひお茶したりご飯食べたりするついでに眺めにきてください。

下北沢 mona records
〒155-0031
東京都世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル2F&3F
TEL: 03-5787-3326




そして来週、「おばあちゃん猫との静かな日々」の著者下村しのぶさんのトークイベントにゲスト出演します。写真家である下村さんが語る“猫を上手に撮る方法”は猫好きには聞き逃せません。僕は“猫を看取るということ”などについて下村さんとトークを。歌も歌います。下村さんとの縁は下村さんの愛猫照枝さんとポチが繋いでくれたもの。こういうイベントに参加できることを嬉しくも不思議な気持ちで噛み締めています。残席わずかなのでご予約はお早めに。

2015年1月28日(水)@ 荻窪 6次元
『おばあちゃん猫との静かな日々』刊行1周年記念
“ねこむすびナイト”


下村しのぶ(写真家)
ゲスト:山田稔明(ミュージシャン)
聞き手:竹田理紀&澁川祐子(編集者)

おばあちゃん猫・照枝さんとの日々を写真と言葉で綴った
下村しのぶ著『おばあちゃん猫との静かな日々』(宝島社)。
刊行から1年、静かな反響を呼んでいる同書初のイベント!

写真家の著者による愛猫を可愛く撮るコツから、老猫との
暮らし方、看取りの話まで。ゲストに本を通じて知り合った
ねこ友のGOMES THE HITMANのVo.の山田稔明さんを迎え、
ねこが取りむすぶ夕べを開催いたします。

場所:荻窪 6次元
時間:19:00〜21:00
   山田さんによるねこソングの弾き語りタイムあり
参加費:2000円(ドリンク付き/要予約)
予約:件名を「ねこむすびナイト」とし、名前、参加人数、
電話番号を明記の上、rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp まで。
---------------------------------------------------------------------
6次元(http://www.6jigen.com/
〒167-0043
東京都杉並区上荻1-10-3 2F
03-3393-3539




そして気づけば今週末は経堂のギャラリー芝生での木下綾乃さん「猫をもらったよ」原画展でのイベントです。木下さんの「猫をもらったよ」は猫との別れと出会いを描いた素晴らしい絵本。この日は猫についての話を、とざっくりしたテーマ、猫好き同士が寄ってどんな内容になるのか今から楽しみです。ここでも猫についての歌を歌います。チケットはすべて完売とのことですが、当日券などについては直接ギャラリー芝生までお問い合わせください。


トーク&ライブイベント「ねこのいる暮らし」

日時:2015年1月24日(土) 17時30分開演(17:15から入場開始)
出演:木下綾乃、山田稔明(GOMES THE HITMAN)
料金:1500円(+ドリンク代500円)
★チケットは完売

cafe+gallery芝生(http://shiba-fu.com
世田谷区経堂2-31-20
TEL 03-3428-5722


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2015年01月10日

猫騒動 4thシーズン(5)ポチ実の“回復雑記”



水曜日に避妊手術、一泊して木曜日に帰ってきたポチ実は見るからに疲れ果てていて、口は鳴いているのに声が出ないというヨレヨレな感じ。椅子や机にも飛び乗れないので、とにかくゆっくり安静にして寝かせる。おなかの傷は長く、しっかり縫われているのでチャックみたいに見える。おなかがフランケンシュタイン。ポチ実が帰ってきた午後、去年から仲良くしていただいているシンガーソングライター川久保秀一さん(ラジオパーソナリティとしても活躍中)から「ポチ実ちゃんの成人祝いにお魚を用意したよ」と連絡があり、お宅におじゃましてごちそういただく。ポチ実へのお土産はアジ。川久保さんの素晴らしい釣果に拍手を。帰宅後細切れにしてあげるとポチ実は美味しそうにたいらげました。

2日経った金曜日にはようやく顔や目つきに覇気が出てきた。気づいたら猫タワーやハンモックに登って毛繕い。自分が全身麻酔で肺気胸の手術をしたときのことを振り返るとこんなに回復は早くなかったなあと小さな生き物の強さに感心する。ポチ実はまだ全快とはいかないようで、あんなにやんちゃに駆けまわっていたのに借りてきた猫のようにちょこんと座って不安げな顔。うつろな目は眠いから?性格が変わったのだろうか?と少し心配になるがきっと数日後には杞憂に終わるのだろう。今日は土曜日、3日目。僕が朝起きると「ニャニャニャ」と鳴きながらとことこと調子よく階下に降りてきた。これはこれまでのいつもの風景。ようやく安心か。柔らかな身体。毛を刈られたクリーム色の肌はビロードみたいだ。ポチ実は術後の回復も順調、元気です。

そして今日から始まった長崎諫早オレンジスパイスでのひなたのねこ展。とても丁寧に設営していただいたようで嬉しい。このお店のそばにはメタセコイヤの並木があって美しい。その冬枯れの色が写真パネルに映り込むのを見るのが楽しみだ。ぜひお近くの方も遠くの方も、九州の皆さんにたくさん足を運んでもらえたら嬉しいです。詳細はこちらに。今日でポチが旅立って206日、ポチ実がやってきて130日目。



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2015年01月08日

猫騒動 4thシーズン(4)ポチ実の“home sweet home”



上の動画は一昨日の晩のポチ実の悩ましい姿。避妊手術と一泊入院を終えて今朝、ポチ実は無事に家に帰ってきました。ポチ実ファンの皆さまご心配をおかけしました。温かいコメントにも感謝を。ポチ実、体重は3.25キロになっていました。うちに来たときが2.3キロ、前回病院にお世話になった10月は2.65キロだったので確実に大きくなっています。ポチの頃からお世話になってる若い先生が今日初めてニコッと笑ってくれた。ポチのときは深刻で笑うタイミングがなかったのかもな。「ちょっと肥満傾向があるので気をつけて」との言葉!ポチ実、あんなに毎日縦横無尽に駆け回っているのに。高カロリーな「仔猫用」のごはんはもう必要ないようです。仔猫卒業。発情してしまっていたのですでに子宮が普通よりも腫れていたらしく、おなかの傷は通常の避妊手術よりも長めに切られている。さらにポチ実はちょっと毛が長いので広範囲に毛を刈られていてかわいそうな姿。

十数年前ポチが手術したときは術後4日くらいエリザベスカラーをつけなければならなかったのですが、それが必要ない処置をしてもらってストレスは少なめの様子。ただ昨日からどれほど緊張して鳴いたのか、口を開けても声が出ないようでとても不憫。それでもごはんも食べるしトイレもできたし、だんだん元気が出てくるでしょう。今も僕の足元にすりよってきてひと通り甘えてまた寝室に戻っていきました。来週12日は成人式。ポチ実も大人になったお祝いをしましょう。ポチ実をめぐるバタバタのなかで、今日は一日じゅう明後日10日から始まる諫早オレンジスパイスでの「ひなたのねこ展」の準備を。




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2015年01月07日

猫騒動 4th シーズン(3)大人の階段のぼる

2014年から15年へ、長らく経験のないポチのいない年越しでしたが、同時にポチ実との初めての年越しでもありました。毎日なにかしら面白いことを提供してくれるポチ実のおかげで新しい1年はコロコロと転がるようにグルーヴしていきます。三が日を過ぎて、ポチが夏に天に昇った深大寺まで出かけて厄祓い。ほろよいのお正月が終わり日々の日常が戻ってきた、と思った途端にまた我が家は騒がしくなりました。ポチ実が発情したのです。



こうなることは最初からわかっていました。かかりつけの獣医さんとも「年明けくらいには避妊手術しましょうね」と相談していたのです。しかし前日まで可愛い顔して駆け回っていたポチ実が「ワオーンワオーン」と独特な声で鳴き始めたのを聞いたときに僕は心の準備ができていなかったことを思い知らされました。まだまだ仔猫だと思ってたなあ…。一般的に野良猫よりも飼い猫のほうが先に発情期を迎えるらしく(野良猫の15〜18ヶ月に対して飼い猫は5〜8ヶ月だそうです)タイミング的にもポチ実は適齢期。前述した「ワオーンワオーン」という変な鳴き声、そして落ち着かない様子、さらにはローリング行動と呼ばれる身体をくねくね床にすりつけながら伸びたり強張ったりする動作、そして胸と腹部を床に着けて後ろ足を体よりも後ろにして垂直に立ておしりを突き上げる姿勢、これを「ロードシス」と呼ぶそうなのですが、まさに「ああん!アタシどうにかなっちゃいそう!」みたいに唸るポチ実を目の前にして僕はあわあわと慌てて彼女の後ろをついて歩いて、抱き上げたりおしりをポンポンと叩いて気休めの刺激を与えてまる2日を過ごしたのです。

以前ポチがさかったときのことを思い出します。日記を振り返ってみたら2002年の2月、今から13年も前のことでした。「夜眠れないくらいポチが鳴くようになった。本当に赤ちゃんが泣いているような声で鳴き、目がギラギラしている。腰の辺りをなでてやると吐息のような声。僕のかばんやらスニーカーやらにおしっこをするようになってきたが、怒るに怒れない」との記述。そう、怒ることなどできないのです。猫の生理現象に対して僕ら人間は避妊手術を選択し、その一生について責任を負うことになります。ポチはこのとき2歳でした。ポチはこれ以前に迎えた発情期のときに子どもを産んだことを後で知りました。なのでポチのさかり方とポチ実のさかり方は全然違うものに感じられました。ポチ実はとにかく自分の身体になにが起こってるのかわかならいという感じで、「ワオーンワオーン」と何かが憑依したようになって、僕が「ポチ実!」と呼ぶと我に返ったように「ニャーン」と可愛い声で鳴いて困惑したみたいなふうな顔をする。病院に相談して夜の9時から食事を断って、翌朝からは水も飲ませないようにして(全身麻酔をするので胃を空にしておかないといけません)避妊手術を行うことに決定したのが昨日のこと。

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身体が火照ってしかたないうえにおなかまで減ってしまったポチ実はますます声を大きくして僕を悩ませます。ある猫友だちが「ポチ実と疑似恋愛するのがいいよ!」とアドバイスをくれました(そこの雌猫は15歳になるまで避妊手術しなかったので男性がおしりをポンポン刺激して妊娠した気持ちにさせるという技で発情期を乗り越えてきたらしいのです)。僕は覚悟を決めてポチ実の「ワオーンワオーン」を受け止め、おしりをポンポン叩いたりさすったりして、僕もポチ実もクタクタになって朝を迎えたのでした。寝ずにポチを看病した季節のことを思い返したりしつつ。

そして今日、朝になってポチ実を獣医さんへ連れていきました。ブルブル震えて診察台に乗るポチ実を見るのは辛かったけど、これからの長い人生のために頑張ってくれ、ポチ実ちゃん。先生に託して入院と手術。家に帰るとシーンと静まりかえる空間。寝てなかったので横になればすぐ眠れるだろうと思ってもポチ実が心配で全然眠れなくて、ここ数日分の掃除を。夕方近くに病院から連絡があって、無事に手術は終わり、全身麻酔からも醒めたとの連絡に安堵の落涙。猫エイズと猫白血病の検査も問題なしとのことで、これでポチ実のこれからの人生のためのお膳立てができたように思います。人間の勝手でいろいろ申し訳ないなと思いつつも「おれはおまえの最期までずっと付き合うよ」という揺るぎない気持ち。ポチ実の生涯唯一の彼氏は僕、ということになります。

今晩は経過観察のために入院なので去年の9月9日以来初めてポチ実のいない夜を過ごしています。明日の朝迎えにいくのが待ちきれない。猫騒動はまだまだ続きます。




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2014年12月31日

猫騒動 4thシーズン(2)2014年の猫騒動



僕は2001年の11月から愛猫ポチと一緒に暮らすようになったので21世紀になって初めてポチのいない年越しを数時間後に控えています。いろんなところで発言していますが、自分にとっての今年2014年を漢字一文字で表すならば「猫」となります(去年は「青」でした)。6月19日にポチを15歳で亡くし、経験したことのない悲しみのなかで猫のいない日々を暮らしました。人前に出てライブをするときだけが背筋の伸びる時間だったのでたくさんの歌を歌いましたが、それはきっとどこかの空に向かって吐き出した青い吐息だったのかもしれません。

ポチがいなくなって(逆説的ですが)たくさんの縁が繋がっていくのも感じました。猫経由で僕のことを知ってライブに来てくれた人が驚くほどいます。「おばあちゃん猫との静かな日々」を書かれた下村しのぶさん、チャオを亡くしたチャッツワース岸本さん一家、古くからの友人の愛猫ネボ、時を同じくして愛猫を亡くす経験をした人たちと語り合うことはかけがえのないグリーフケアとなりました。猫のことがきっかけで栗コーダーカルテットの近藤研二さんと親しく慣れたことも大きな出来事でした。昨日はご近所の近藤さん宅で忘年会をしたのですが、ポチのこと、マルオくんのこと、猫の話はいつまでも終わらないのですよね。

ポチがその神秘的な能力で僕の悲しみの涙をぬぐってくれたのは秋の始まりの9月でした。ポチにそっくりな縞三毛仔猫ポチ実の登場で僕のモノクロの暮らしが再び鮮やかな色で満たされたのです。ポチ実の後ろ姿を見ているといつもポチのことを思い出します。そして振り返った仔猫は紛うことなきポチ実の個性、どんどん顔が猫らしく変わっていくのが面白いです。21世紀になって初めてポチのいない年の瀬ですが、21世紀になって初めての6ヶ月の仔猫(もうすっかり大きいですが)との新年を迎えます。今年は喪中につき年賀状は出さないことにしたので、しばらくして寒中見舞いを。

2014年にポチとポチ実を愛でてくれた皆さんに心から感謝します。ひなたのねこ展を春夏秋冬と開催できて本当に幸せでした。これからまだまだ続くポチとポチ実の猫騒動にもどうぞご期待ください。


  
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2014年12月06日

猫騒動 4thシーズン(1)新しい季節のはじまり



光陰矢のごとし。猛スピードで動くほど時間の流れが遅くなるという相対性理論と相反するように思うが、山をひとつずつ越えてまた次の山へ、とバタバタしていたらもうあっという間に年末です。愛猫ポチが6月に逝ってもうすぐ半年、半年前の今頃は寝ずに看病の日々が続いてクタクタになっていました。今もライブ続きでクタクタなのは変わらないんだけど同じクタクタでも違うクタクタだ。仔猫のポチ実がうちの猫になってから3ヶ月になります。たったの3ヶ月だとも思うし、もうそんなに経ったのかとも思う。時間の感覚はとても不思議。

ポチ実は順調に大きくなり、数日前に人生で初めての“毛玉”(うちではケダムと呼んでいます)を経験しました。「変な鳴き方してるなあ」と思ったら、コポッコポッと音をたててケダムを吐き出したのです。ポチ実にはいったい何が自分の身に起こっているのかわからない様子で、自分が吐き出したケダムちゃんを眺めて砂をかける素振りをしたり。チミよ、猫は吐くのだから大丈夫だよ。しかしこのケダムの中身が問題。ポチ実はなんでもかんでも齧ってしまう癖があって、発泡スチロールやビニール袋、僕のレコードコレクションなどに噛み付いてしまう。どうやら猫じゃらしを食い破って中の綿を食べてしまったみたいで、初めて吐いたケダムの中身は綿だった。結果としてすべてのおもちゃ見直しを余儀なくされたのでした。

最近猫が招いたとても嬉しいことがいくつかあった。先月のご近所の猫騒動(以前の猫騒動日記参照)で知り合いとなったAさん(尋ね猫チミヨの貼り紙の主)が直接ポストに美味しい紅茶と手紙を差し入れてくれた。その手紙には猫の不在の寂しさを僕が渡したCDの歌が埋めていること、小さな猫が道なき道を挟んで出会いを作ってくれたことなどがとてもきれいな、何度も推敲された詩のような文章で書かれていて、僕はそれを読んで思わず泣いてしまうほど感動した。僕はまたその御礼への御礼を直接届けたりして交流は続いている。

ポチ実は寒くなって時折布団に入ってくるようになって、はじめは冷たい体が芯から温かくなっていき、それはそれは幸せなやわらかさだ。獰猛な猛獣のような、小さなライオンの様相はますます調子に乗ってきたが、とても物静かで穏やかだったポチとは違うポチ実の個性のようなものがどんどん浮かび上がってくるのを毎日眺めて、毎日「なんでこんなに可愛いのかよ」と大泉逸郎の「孫」を歌うことになる。2014年を漢字一文字であらわすならば「猫」だ(去年は「青」だったな)。猫のいる暮らし。新しい季節を迎えて猫騒動はまだまだ続きます。





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