2021年02月27日

カレンダーとインサイドストーリー<2月編>

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2011年から作り始めた山田稔明カレンダーは今年で11作目。毎月思い出したようにイラストやデザインにまつわる裏話を書き残そうと思います。2月は2月22日の猫の日があるゆえ、いつにも増して愛猫月間である。今年はちょっと硬派に猫の人権を(猫権を)訴えるイラストを描いた。2020年にアメリカで議論が高まったBlack Lives Matter、BLM運動の流れから秋の大統領選挙、その季節に描いたのでこんなふうになった。そういう意味では近年の世相を映しています。

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<2月:CAT LIVES MATTER>

アメリカではシュプレヒコールをあげながらのデモが頻発。僕はネットでそのサインボードに書いてある言葉を調べ、それを猫に当てはめていきました。「Black Lives Matter」は訳すのがとても難しい、独特なニュアンスのあるフレーズですが、「黒人の命も大切だ」から転じて「すべての命が等しく大切」という意味に理解している。U2に「終わりなき旅」という曲があって、そのなかでボノは「I believe in the Kingdom Come/Then all the colors will bleed into one」と歌う。すべての色がひとつに溶け合う来世を信じている、という意味だけれど、ダイバーシティの問題を眺めながら僕の脳裏にいつでも流れる音楽はこの歌とジョン・レノン「イマジン」だ。人間も猫も犬も他のどんな生き物もみんな等しく幸せであるのがいい。

英語のフレーズは「GIVE ME A BED(寝床を!)」「SPOIL ME A LOT!(もっと甘やかせ!)」「LOVE NOT HATE(ヘイトではなくラブを)」「MAY ALL CATS BE HAPPY(すべての猫が幸せであるように)」、退屈と描いたヘルメットをかぶったポチ実、肉球の絵はBLM運動で象徴的に使われた拳を握ったイラストの猫版。ママンがシャーと威嚇し、お隣のリルくんが「DOGS TOO(犬もね!)」とたたみかける。小さな動物たちの訴えに耳を傾けたい2月。3月も4月も一年中ね。  

Posted by monolog at 23:34Comments(1)

2021年01月25日

カレンダーとインサイドストーリー<1月編>

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2011年から作り始めた山田稔明カレンダーは今年で11作目。毎年たくさんの方にご愛顧いただきますが昨年末には故郷佐賀県基山町でカレンダーの10周年を記念する展示をやっていただいたり、インスタグラム経由で僕のことを知ってくれた方からのオーダーが増えたりしてこれまででもっとも多い部数が日本中に(アメリカにもいくつか)わが本部から旅立っていきました。山田稔明カレンダーは山田稔明およびGOMES THE HITMANのCDや書籍、グッズ各種のアートワークを担当するhoopline吉積里枝が構成とデザインを担当、僕が猫やいろいろのイラストを描く、というスタイルで制作されています。1年12ヵ月分の絵柄を考えるのは、過去作との重複を避けたり登場人物を適宜配置したり、かなり骨の折れる作業です。今年はせっかくなのでカレンダーにまつわるインサイドストーリー的なものを毎月書き記していこうと思います。ひと月ひと月がより愛すべき時間になるかもしれません。

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<1月:フュリオサでぶっとばせ>

hoopline吉積があるときネットで見つけたフォント(書体データ)は「FURIOSA」という名前だった。フュリオサ…、その名前、なんだったっけ?と気になりつつ、その書体のプレーンが「PARK」、イタリックが「DRIVE」と自動車のシフトポジションを連想させ、そのときハッ!と気づいた。映画「マッドマックス 怒りのデスロード」のなかでシャーリーズ・セロンが激しく演じた革命戦士の名前だ。超かっこいい!このフォントのデザイナーのセンス素晴らしい!ということで「FURIOSA」フォントを即購入。なんとしてもこの印象的なフォントで2021年カレンダーの表紙を飾りたい、というところから生まれたのが<1月>のポチチミ書き初めペインティングの絵柄。もちろん使用されているフォントはフュリオサの「DRIVE」。コロナ禍で閉じこもった2020年から、2021年はまたいろんな街へと走って出かけたいぜ、という思いと願いを込めて。

映画「マッドマックス 怒りのデスロード」では物語の最後にこんな字幕が浮かぶ。


“Where must we go, we who wander this wasteland, in search of our better selves”
どこへ向かえばよいのか?この荒れ果てた土地をさまよい、より良い自分自身を探し求める者には



自然と僕の脳裏には「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」が流れ始める。2021年はどこへ向かっていくだろうか。  
Posted by monolog at 23:52Comments(0)