2025年11月09日

日々のどうでもいい雑感

秋になって朝も昼も夕方も夜も、とにかく空が美しい。朝の夜明け前から明るくなる時分の空は“アーリーバードの特権”的なこともあり格別だなあと思う。暗いうちに外に出ても6時前になると様々な色が空を塗るのだ。月がきれいな夜が続いたのもよかった。こないだ伸びすぎた庭のユーカリを剪定するために屋上に登って電動高枝切り鋏でヒイヒイ言いながら切り落とした。屋上に登ってもそんなに高みの見物にはならないんだけど、やっぱりいつもより見渡せる風景はいい。最近空ばかり見上げている。

こないだ高橋徹也さん(タカテツさん)とお茶してて、「山田くんは“大谷さん”の話とか一切しないよね?」と言われた。タカテツさんは意外と大谷さんの話を僕にしてくるんだけど、僕の反応が薄いのが気になるのか、そう言われると「そういえばカスタネッツ元さんとの会話でも大谷さんのことをスルーしたかも」とハッとするけれど、ドジャーブルーは僕の好きな青だということくらいは知っている。僕の最近気になることは秋の空なので、野球のことはあんまり考えたことがなかった。

雨の朝を挟んで週明けの夜明けの空もとてもきれいだった。そして街が動き出すころには雲がとても秋らしい風合いに。いい季節である。最近空ばかり見上げている。

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2025年10月30日

CDの発売日、レコードショップとトワイライト

1999年にデビューして以来CDが発売になる日は都内のレコードショップをレーベルのスタッフと一緒に行脚し、バイヤーさんに挨拶をしてコメントカードを書かせてもらって、下の載せたような写真を撮るのが恒例行事だった。だから2010年代に独立して作品をリリースしたあともなるべくその“儀式”のようなものを続けてきたわけだけど、昔みたいな売上枚数じゃなかったりスペースの問題とか諸事情あって、レコードショップ実店舗に作品を置いてもらうことっていうのがとても難しい時代になって、それでも発売日にドキドキしながらレコードショップに行くのは骨が折れる。本当はもう行く必要はないのかもしれない。

そう思いながら10月29日の『シャーとニャーのはざまで』全国発売日にお昼から出かけた。タワーレコード新宿Flags店は何度もインストアライブをやらせてもらったお店、2019年にGOMES THE HITMANが『memori』を出したときのストアイベントが最後だったかな。新宿に行くとだいたい立ち寄るお店。そこに自分の名前の仕切り板と新作が発売日に並んでいることに安堵する。

タワーレコード渋谷は、僕がいま一番新譜のレコードを買うお店かもしれない(この日もレモンヘッズの新譜を買った)。とにかく物量がすごいから探しているものもここで初めて知るアーティストも多い。3階のJ-POPのフロアを除くと『シャーとニャー』がたくさん並んでいてちょっと驚いた。忙しそうなスタッフの方に声をかけると笑顔で対応してくれてコメントカードを書かせてもらって写真を撮ってくださった。それが下の写真。感謝しかない。

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渋谷から目黒へ、そこから武蔵小山駅前のペットサウンズレコードへ。ここは個人経営の素晴らしいレコード屋さん。いつも独自の特典を作ったりして応援してくれる。しばし歓談し「よろしくお願いします」と頭を下げる。気づけばもう夕方で真っ赤な夕焼けがとてもきれいだった。CDはECサイトで買うのが探す手間もはぶけてとても簡単なのだけど、お店の棚のどこかにある目標を目指して目を凝らすのも楽しいし、悪くない謎解きゲーム。もしかしたらあなたの街のレコード屋さんにもそっとママンのジャケットのCDが忍び込んでいるかもしれません。

そんなふうに発売日を、東京の街を駆け回ってすごしました。

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2025年10月24日

4時間ラジオ楽しかった

2年ぶりのエフエム世田谷「アフタヌーンパラダイス」、杉真理さん夏休み中のピンチヒッター登板でした。4時間ラジオ生放送、のらりくらりといつものように楽しかった。4時間って長いけど気づくともう終わり?ってなる。三軒茶屋キャロットタワーからの景色、お昼の初冠雪の富士山から始まってトワイライト、日没と素晴らしい眺めでした。たくさんのメッセージありがとうございました。いつも親戚みたいに迎えてくれる野口ディレクター、マーナちゃんにも感謝。杉さん、南の島のバカンス楽しんで(レイン少なめでありますように)。

日曜日は18時半からK-mixでのレギュラーラジオ「PRIMECATS RADIO」。アフパラで盛り上がった「部屋と断捨離と私」を次回からのテーマにしました。メッセージ・リクエスト、こちらにもよろしくお願いします。

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2025年10月20日

今日も誰かの誕生日

10月19日は父親の誕生日だった。生きていたら83歳、ポール・マッカートニーやキャロル・キングと同い年だと考えるともっと長生きしてくれていたらと思うけれど、ストーンズのブライアン・ジョーンズとルー・リードと同じ年齢かと思うと、よくわからなくなる。なんでこんなにかわいいのかよ「孫」の大泉逸郎さんとも同い年みたいで、大泉逸郎さんはまだ健在だ。ブライアン・ウィルソンも同級生だなんて素敵じゃないか。

父を思うときに思い出すのは山本有三の「路傍の石」という小説だ。父親に唯一薦められた本で、中学生のときに読んだ。もう内容はぼんやりしか頭に残っていないけれど、ずっと車屋稼業で年中ツナギ姿だった父が言うから興味を持ったことを憶えている。三鷹には山本有三記念館というのがあって、そこで「路傍の石」を見ることができる。今自分が住んでいる街のそばに父親を想起させるものがあるっていうのも不思議な縁だ。

今年はその日過ぎてから「あ、誕生日だった」と思い出してこの文章を書いている。今日も誰かの誕生日。

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2025年10月13日

ブックオフ経由、群馬高崎への旅

最近読んだ本『ブックオフ大学ぶらぶら学部』。執筆陣も絶妙でカバーデザインもブックオフ的で秀逸。僕もブックオフとかハードオフとかで数時間過ごすの大好きで、特に地方に行ったときに店舗を見つけるとワクワクして寄り道するのが常なのだけど、あんまり他の人と共有したことのなかったブックオフ/ハードオフへの想いがこの本のなかで熱く、あるいは冷静に語られてて鏡を見てるようで面白かった。

読み終わったらすぐにでもブックオフに行きたくなってハシゴ、数軒目に入った西東京のハードオフの110円コンテナから小澤征爾指揮、アイザック・スターンがヴァイオリンのメンデルスゾーン/チャイコフスキーのCDを選んで、帰ってきてからいざ聴こうと思ったら中身がBOOWYの『LAST GIGS』だった(外と中が違うハードオフあるある)。これは来週に迫る、群馬高崎にブックオフの神様から呼ばれてる…と思ったのだ。

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で、今週末18日(土)のライブに先駆けてこの連休に高崎までふらっと行ってきました。吉祥寺から車で2時間、高崎はその先の山の稜線がとてもきれいな長閑な街。と思っていたら突然白衣観音像という巨大建造物が見えてきてスペクタクルな面も。ロードサイドにあったハードオフに入ったら、さすがBOOWYを生んだ街らしくHOTEIモデルのギターを売っててちょっと感動。

カスタネッツ牧野元さん(SLOW TIME cafeで何度かライブをしたことがあるそうで)に強く推された、登利平と書いて「とりへい」と読む老舗の鶏めし弁当を手に入れた(高崎駅でも購入できるそうです)。今週末にライブでお世話になるSLOW TIME cafeにも挨拶、とても心地よいお店でした。カフェメニューも豊富で、本棚の選書にこだわりがあって面白く、中古レコードの販売もありました。ライブは窓側に楽器を組んでステージを作ります。大きな窓を背景にしての演奏、今から楽しみ。16時半開演なので19時には終演予定。遠方からも小旅行感覚でぜひお越しください。残り席もう少しあります。

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2025年10月18日(土)@ 群馬・高崎 SLOW TIME cafe
GOMES THE HITMAN SATELLITE TOUR 2025
“Band de Bel Canto TAKASAKI”

16:00開場 16:30開演/前売4500円 当日5000円(オーダー代別途)
出演:GOMES THE HITMAN
[ 山田稔明、堀越和子、高橋結子、須藤俊明 ]

行ったことのない街、やったことのないステージに演奏しにいくー
千葉、横浜、町田から吉祥寺への一時帰還に続き、
GOMES THE HITMAN結成32年目にして初めての
群馬公演が決定しました!

TIGETサイトにて予約受付中
https://tiget.net/events/424258

群馬 高崎 SLOW TIME cafe(https://slowtime-cafe.com/
〒370-0827 群馬県高崎市鞘町82番地 宮坂ビル 2F  
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2025年10月12日

歩いていけるアナログ天国

初めて3313アナログ天国へ。下北沢から西荻窪に移転したのを知らなかった。志田一穂さんのイベント『知られざる80sサントラの世界」。志田さんはVAP時代のGOMES THE HITMAN担当ディレクターだったのが、今はあちこちで映画音楽にまつわるイベントで駆け回っている。いつも僕の熱い想いを黙々と聞いてくれていた氏が今は映画についてぺらぺら流暢にトークしているのがとても面白い。洋画邦画問わず80年代作品とサウンドトラックに特化した2時間、あっという間の楽しい時間だった。

アナログ天国も素敵な空間だった。ニューミュージックマガジンからすべての号が並ぶのも圧巻だったし魔窟みたいなレコード棚が見飽きない。うちから歩いて行けるのもいい。また行きたい。

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2025年09月30日

慌ただしかった9月の終わり

9月はなんと長い1ヶ月だったか、と思う。その前の8月から地続きで体に堪える暑さのなかで足をばたばたさせて駆け回った。それでもきちんと秋分の日を境に夏は秋にバトンを渡し、むせるような熱気が少しずつ収まってゆっくり深呼吸できるようになって、慌ただしかった9月が終わる。新しいCDを作って、全部編成と内容の違うライブを4本。平日開催のイベントも多かったけれど、本当にたくさんの皆さんにライブ会場にお越しいただいた。全国の方にCDを手にしてもらえたことにも感謝を。

気づくとあちこちに彼岸花が咲いている。観測史上一番暑い夏を経ても、いつもと同じタイミングで誇らしく咲く赤い曼珠沙華を畏怖の思いを持って眺めている。

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2025年09月25日

夏と秋の分かれ目

秋分の日を境に文字通り季節が切り替わった感じがする。朝のウォーキングで外を出たときに「寒い」と感じるのが冬生まれの自分にとっては嬉しい。日が昇るのが遅くなったので夜から朝に変わる瞬間を目撃できるようになった。夕方のマジックアワー同様、朝の信じられないくらいきれいな空の色もほんの3分くらいしか持続しない。この赤い空もその限られた時間に遭遇したときのもの。

きれいな空に出会うために早起きしているのかもしれない。

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2025年09月07日

15年後の Harvest Moon

山田稔明ソロ名義での1stアルバム『pilgrim』(2009年)は「harvest moon theme」で始まり、翌2010年の第2作『home sweet home』はそこに日本語の歌がついた「harvest moon」で始まる。アメリカンインディアンの文化に夢中だった当時、収穫の月はなんだか特別な気がしたし、それから15年経っても9月の満月はやっぱり特別だなと感じます。この映像は15年前にiMovieとかカメラのエフェクト等を駆使して作ったもの。久しぶりに見て懐かしくなった。

ソロ2作『pilgrim』と『home sweet home』はサブスク配信をしていない。2枚を1セットにしたリイシューがあるので秋の夜長に手にとって聴いてもらえたら嬉しい。

  
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2025年08月26日

子どもDJ凪くん

僕の友だちのなかで一番若いのが凪くんだ。こないだ誕生日で10歳になった。レギュラーラジオPRIMECATS RADIOに毎年DJ凪としてゲスト出演してもらっていて、今年もその収録をした。冬休みを飛ばしたので1年ぶり。ずいぶん背が伸びて、髪も伸ばしておしゃれにも気を使うようになっているのが面白かった。「山田さん山田さん」といつまで懐いてくれるのか、反抗期とか思春期特有の空気感でいつかシラーっとされたりするんじゃないかとか、毎回会うたびにドキドキするんだけど、まだまだニコニコと楽しいおしゃべりができて嬉しかった。

絵を描くのが好きになったという話になって、たくさんの風景画を見せてくれて、そのどれも素晴らしかった。僕も毎日猫の絵を描いているので話は余計盛り上がって、お互いの顔を描きあったりして、なんだか夏休み感があって楽しい時間だった。凪がゲストのPRIMECATS RADIOは今週末8月31日(日)18時半から。選曲も凪がやりました。ぜひお聞きください。

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2025年08月23日

池袋西口、センチメンタル

夕方になっても暑さが容赦ないなか、電車に乗って池袋へ。大学時代の音楽サークルでの集まりに誘ってもらったので出かけていった。最近はそういう飲み会のお知らせなんてめったに来ないから妙に新鮮。吉祥寺界隈で暮らしていると渋谷や新宿には出かけても池袋まで足を伸ばすことはめったにないので久しぶりにレコード屋散策でもと思ったけれど、やっぱり暑くてすぐに涼しい店に避難してしまった。

大学が巣鴨にあったので(今は府中に移転した)、いつも飲み会は巣鴨か大塚か、だいたいは池袋だった。西武線の練馬に住んだり池袋にも住んだから風景が変わっても懐かしい匂いはある。集まったみんなもそれぞれ今はここから遠い町に住んでるのになんとなく池袋に集合するのはそういう昔のセンチメンタルな感覚があるからだろうか。

池袋駅を芸術劇場側に出た西口公園には噴水があって、子どもたちが水浴びをしてキラキラと涼しげで、少しうらやましかった。この噴水に誰かが洗剤を流し込むいたずらをして泡だらけになっていた夜はいつのことだっただろうか。ぶくぶくと泡が弾ける公園を囲むベンチに座って、なんとなくみんな面白がりながらそれをただ眺めていたのを憶えている。15年、20年前?もっと昔かな。

友人たちはみんなまあそんなに昔と変わってなかったり、相変わらず音楽の話が盛り上がったり、時間がぎゅっと巻き戻ったり、急に鮮明な記憶が蘇ったり。楽しい土曜日の夜だった。

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2025年08月20日

茶と黒の絵の具がまるで足りなくて

5月から毎日猫をスケッチをしている。きっかけはママンが耳の手術をしたときにインスタグラムに痛々しい写真をアップするかわりに療養中の絵を描いてポストしたことだった。エリザベスカラー姿からだんだん治っていく経過を淡々とスケッチして、絵を描くのも日に日に楽しくなっていく。ママンが元気になると僕の目の前でゆっくりしてくれることが少なくなって、今度はチミの絵を描くようになった。もうママンもチミもその顔や体の模様を憶えてしまったほど。スケッチブックは7冊目に突入した。

ひとつルールがあって、実物を見て描くこと(写真を撮ってそれを参照しない)。そしてツアー等で家を離れるとき以外は毎日描く。水彩色鉛筆という、色鉛筆で描いたあとに水に濡らした絵筆を塗ると水彩絵の具のようになる画材を使っている。「光と水の関係」という曲のなかで「二人で眺めた海は青い絵の具がまるで足りなくて」と歌うけれど、チミとママンを描いているととにかく黒と茶色の色鉛筆がどんどん短くなっていくから面白い。

最近チミはいろいろポーズをとってくれるようになってきた。僕もその柔らかさを写し取れるように鳴ってきた気がする。

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2025年08月18日

うつろいゆく空

去年を更新して、生きてきたなかで一番暑い夏になるのだろうか2025年は。昼間に出かけるのは本当に危険で、凍らせたアイスパックなんかを首に巻いてないとクラクラしてくる。日傘をさしても熱気がまとわりつくから日陰を探して歩かないといけない。子どもの頃にやった遊びみたいに、日陰を歩かないと死ぬ、とかいうルールを作ったりしてバス停まで、駅まで、目的地まで汗でびしょびしょになりながら。車のエアコンも最近なかなか効かなくて難儀する。

それでも朝4時に起きてウォーキングに出かけると、この頃は確実に秋の空の色になっている。日の出の時間は確実に遅くなって5時台になったし、涼し気なうろこ雲を見ると少しホッとする。しかし7時には気温が上がって30度を越えてたりするから油断できない。今日もそんな朝だった。10月まで暑い、という予報を何かで見た。本当にこの街は、暑いか寒いかのどちらかになってしまったのかもしれない。

どうかもう少し穏やかな季節を、と希望する。

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2025年08月14日

東京から田舎を想うこと

お盆を迎えて、特になにもなく、ぼんやり過ごしている。僕の実家は九州の佐賀で、帰省シーズンは飛行機代が高くなるのでお盆に故郷を訪ねるなんてことはほぼなかったけれど、母が亡くなって実家そのものがなくなってしまった今「ああ、帰る場所がなくなったな」とか寂しく思うなんて身勝手なものだ。勝手にセンチメンタルになっている。田舎がいやで、ここではないどこかへ旅立ちたくて、大学進学のために東京へ出て、そのまま33年が経つ。吉祥寺に住み始めてからはもうすぐ四半世紀だ。

母親が体調を崩しがちになった2020年頃から、病院に連れていったり入院しているのを訪ねたり、定期的に佐賀の実家に帰るようになった。めんどくさがりながら、やれやれとため息を吐きながらの帰省だったけれど、18年しか暮らさなかった故郷を追体験するような感覚にもなる。それでもやっぱり楽しい里帰りではないから息抜きがしたくなるわけで、そういうときに出かけるのはだいたいイオンモールとかゆめタウンとか、プレミアムアウトレットだったりして、カルディでコーヒーを買ってみたり本屋さんを眺めてみたり、別にそんなに欲しくなくてもなんとなく洋服を買ったりするのだ。

車で走っているとロードサイドが既視感のあるどこかと同じ風景で、ふと自分が今どこにいるのかわからなくなるときがある。故郷に帰ったときに、あるいは地方都市に迷い込んだときに立ち寄るイオンモールは東京と地方を繋ぐ境界線のような気がしている。母親を連れ出して最後に一緒に映画を観たのもイオンシネマだったことを思い出す。始まるのを待ちながら母はアイスぜんざいを美味しそうに食べていたけれどあれはなんというチェーン店だっただろうか。

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2025年08月13日

天国からの手紙|お盆の朝にDead Famous Peopleを聴く

学生の頃に擦り切れるほど聴いたニュージーランドのバンドDead Famous Peopleの1989年作『Arriving Late In Torn and Filthy Jeans』、そのアナログ盤をふらっと立ち寄った中古レコード屋で不意に見つけて「わっ」と小さく声が出た(レコードが 存在すると思ってなかったから)。このEPのなかに「Postcard from Paradise」という歌が入ってて、それは死んでしまった娘が両親に向けて出したポストカード、「天国に来て一週間になるけどお母さんお父さんお元気ですか?」と始まる。「ここは楽園っていうけど、さみしくて家から遠いよ/マリリン・モンローもジェームス・ディーンもいないみたい/知り合いでもいれば気晴らしができていいのに/天使たちがラッパを吹いてばかりでうんざりするわ」と歌われる。いつ聴いても切なくなるけれど、とてもメランコリックなずっと大好きな歌。

そもそもバンド名が“もう亡くなった有名な人々”だから死を匂わせるのか、逆に生を感じさせる気もする。ちょっとサニーデイ・サービスの「あじさい」を彷彿とさせるこの曲はLA-DI-DAからリリースされたアルバムには少し歌い節と歌詞が変わった再録音バージョンが収められているけれど、個人的にはUTILITYから出た盤に収録のこのテイクのほうが好き。

魂は自由だからいつでも帰ってくればいい。一番好きな場所に。そんなふうに思いながらお盆の朝に「Postcard from Paradise」を聴いた。母親の誕生日でもある今日に。

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2025年08月07日

夏休みとかお盆とか

夏休みとかお盆とか、そういう季節的な感覚や認識が自分のなかからどんどんなくなっていってることに気づく。会社勤めをしてないし、両親ともに亡くなって、故郷に実家もなくなったこともその要因になっているんだろうか。僕はもう長いことお盆に里帰りをしたことがなかったけれど(仕事が忙しいとかなんとか理由をつけて)いつも8月になると母親から「あんた、お盆はどがんすっと?」と電話がかかってきて、それは僕にとっての季節感だった。母親は誕生日が8月13日だったから、花とか美味しいものとかプレゼントをねだる電話でもあった。それがなくなって2年経つ。

8月の真ん中に興味のあるイベントがあったので東京と福岡を往復する飛行機や宿の値段を調べたらびっくりするくらい高くて、それで「ああ、お盆休みというやつか…」と気づいた。思い出した。「お盆は飛行機が高いけん、タイミングずらして運賃が安いときに帰るよ」と母親に返事をしてうやむやにしていたのだ、いつもこの季節には。気づけばスーパーにはきゅうりの馬とナスの牛を売ってて色鮮やかだ。プラスティック製のそれはちょっと気分じゃなかったので、かわりにささやかな花を買った。

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2025年08月01日

猫に噛まれた傷がようやく完治した話

4月の終わり、エリザベスカラーで気が立っていたママンにやられた手の怪我が、3ヶ月を経てようやく治った。右手の甲の爪の引っかき傷は、治ったというか、タトゥーみたいな消えない傷になってるから今でもわりと見る人に心配されがちだけど、そこはもう全然痛くなくて、ちょっとした勲章みたいな感覚すらある。左手の中指の2ヶ所の噛み傷のほうは、ざっくり犬歯(猫なのにね)で噛まれたのでとても深く、ひとつは1ヶ月半くらいでふさがったけれど、もう1ヶ所のほうは傷が爪まで到達して爪が死んで剥がれてしまって生皮は触れるとヒリヒリした。絆創膏とテーピングでだましだまし、何食わぬ顔をしてライブをやってたけれど、一時はギターが弾けなくなるんじゃないかとめちゃくちゃ不安だったことを思い出す。奇跡的に弦を押さえるときに痛みがなかったからなんとかなって胸を撫で下ろした。猫の噛み傷はとても危険なので破傷風の注射を打つことになって、都合3回の接種が必要で来年の春にもう一回打つことになっているけれどちゃんと憶えていられるだろうか。

爪がないと手に力がなかなか入らなくて、やっぱり指先が気になってしまう。日常生活にもいろいろ支障があったけれど(洗い物とかお風呂とか)、ようやく、というか「あれ?治ってる」っていう感じでいつのまにか、ある日寝て起きたら爪が生え変わっているのに気づく。まだ少し波打って不格好な爪だけれど、噛まれて3ヶ月経ってようやく指が指らしくなった。ママンの耳の手術後の傷は2ヶ月で完治したけれど、人間の怪我はそれより長くかかるのだな。

右も左も手に傷が残ったけれど、いつもこれを見たら今年の春のことを思い出すんだろう。

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2025年07月30日

夜を捕まえにいく

毎日暑い日が続く。ニュースを見ていると最近どうにも福岡の久留米市がホットみたいだ。「久留米は40度の予想です」って今年何回も聞いた。台風の水害も筑後川がある久留米がいつも心配。僕の故郷佐賀県鳥栖市の隣町だから余計に気になる(近藤研二さんの故郷)。と同時に、友達や親戚、みんな元気にしてるかな、と顔が浮かぶ。実家がなくなって九州になかなか帰らなくなったから、暑さとかそういうので彼の地を想像するのかもしれない。

夜、めちゃくちゃ早い時間に就寝するようになって、早いときには21時にはもう寝てしまっている。起きて散歩に出かけるのは5時くらい、そうなるともうとっくに夜は明けていて、最近はもう7時前には気温が30度を超える。気づけば“夜空”をしばらく見上げていないことに気づく。「blue hour」という新曲をこないだ歌ってみて「朝焼けの前の群青/煌めく夜明けの明星」という言葉が出てきて、冬の間は毎日この“青い時間”を楽しみにしていたことを思い出して、久しぶりに夜空が見たいと思った。いつもより早く外に出てみるが4時半でももう明るい。夜じゃない。3時とかじゃないと夜じゃない夏の太陽ってすごいなと思う。今日は4時過ぎに歩きに出かけてみたが朝焼けの赤がとてもきれいな空だった。目をこらすとこの写真には明けの明星(金星)が写っている。夜の尻尾を見たような気分だ。

また明日夜を捕まえていってみようと思う。

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2025年07月23日

夏の暑さのせい

簡単に梅雨が明けてしまって、夏が本気を出している。先週末の東海弾き語りツアーも灼熱のなかでの車での旅でなかなか大変な想いをした。最近のライブのMCでよく話すことだけれど、今から四半世紀ほど前の1997年の7月の平均気温は29度だった。それが昨年2024年の同月の平均気温が33度だという(8月も同様に4度くらい違う)。エアコンのリモコンで4度変えたら室温は激変するから、どれだけ地球が熱くなっているのかを実感する。四半世紀前、今より4度平均気温が低い頃に書いた夏の歌を今でも歌い続けているが、もし今年夏の歌を書くとしたら到底さわやかな歌にはなり得ないだろうなと感じる。うだるような、唸るような、熱中症にならないようにびくびくしながら日陰を選んで歩く歌になるのかな。

四半世紀以上前、1990年代に過ごした夏を思い返していた。僕は大学1年から2年間、エアコンのない学生寮に住んでいた。窓を開けても、扇風機でも涼しくならずに全然眠れなくて、古道具屋で「冷風扇」っていうのを買ってみたものの、冷たい水がすぐにぬるくなってしまって目に見える効果はなかった。暑くてどうしようもない夜は夜の散歩に出かけて、冷房が効いたコンビニで体が冷たくなるまで立ち読みをして過ごした。アイスクリームを買って部屋に戻り、溶ける前にそれを食べ、ようやく眠くなって騙すように朝までなんとか横になる。近所に仲間もいなくて(学生寮で一人も友人ができなかった)ひとりぼっちだった。誰か話相手でもいればよかったけれど、心地良い孤独だったなと今となっては懐かしく思う。

大学3年になってエアコン付きのワンルームマンションに住むようになってからはエアコンの設定温度を下げすぎてそのまま寝ちゃって、よく夏風邪をひいていた。真夏なのにいつも鼻をぐずぐず言わせて、鼻声で歌を歌うことが多かった記憶がある。それでもあの頃は今より4度も気温が低かったのかと思うと不思議な気分だ。まだ7月なのに暑い日が続く。多分今年は過去最高の暑さだった、ということになるのだろう。なんとか切り抜けて、涼しい顔でうまくやりたい。

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2025年07月18日

久しぶりのインスタライブ

関東地方の梅雨明けがお昼に宣言されて概念上の季節がシフトした。それでふと思い立って夜にインスタライブを配信して、夏の歌をたくさん歌いました。「down the river to the sea」「光と水の関係」「会えないかな」「晴れ男と雨女」「夏の日の幻」「一角獣と新しいホライズン」、ママンも登場して楽しい30分強だったのがアーカイブ投稿を残すのに失敗してしまって、でもそういう刹那的な繰り返さない時間っていうのも悪くはないなと思った。アンコール的にもう一度「月あかりのナイトスイミング」を歌いました。コロナ禍の最中は本当に何度もインスタライブをやった。やらずにはいられなかった、というほうが言い得ているかもしれない。インスタライブで歌うと、僕の歌を初めて聴いたという反応が返ってきたりして楽しい。写真も文章も猫も、言葉もメロディも歌も全部自分のことなのでそういういろいろが伝わっていくのはとても嬉しい。

また気まぐれにインスタライブやろうと思います。金曜日の夜、忙しいところたくさんのお付き合いありがとうございました。

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2025年07月17日

期日前投票に

参議院議員選挙の日が仕事なので期日前投票へ。とても混み合ってたくさんの人がいた。「とにかく投票を」というムードとはまた違った方向へと動向・情勢が移り変わっていて、これまでとは異なるモヤモヤを抱きながら書き味が独特な投票所の鉛筆で(あれは紙が特殊なのかな)名前を書き入れた。

いつものコンビニの顔見知りの店員さん(留学生)のレジに並んでこんにちはと声をかけてサンキューと別れる。今日もニコッと笑ってくれてそれだけで少し心が軽くなる。母の命日だったから花を買って、コンビニで買ったビールをお供えした。焼酎のほうがよかったかもしれないが自分がそれを飲まないし、暑い夏やけんビールでよかろうもん、と。

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2025年07月13日

なんということでもない、車の話

いつも車が調子悪くなってから整備工場に泣きつく悪いクセが治らない。父親が自動車屋だったのに、いや、家業が車屋だったからこそ逆に僕は自動車というものにまったく興味が持てないまま大人になったから、有名なメーカーや車種の名前も、車が動く仕組みも、いろんなパーツの名前も全然知らない。オイル交換のタイミングもいつも遅いと怒られる。

少し前からブレーキを踏むと異音がするようになって、これはまずいなあと思いながらもだましだまし運転して、ようやっと整備工場ドックインしたところ、ブレーキパッドとブレーキローターを交換することになった。また「このままだったら危なかったよ」と言われてしまうパターンだ。いつも反省するけれど、治らないクセだ。

代車を出してもらった。少しシートの位置が高い車だったので走り慣れた道も少し違って見える。父親が最後に乗っていた車を僕が引き継いでもう随分時間が経ったけれど、新しい車に乗り換えるきっかけがなかなか見つからない。今回もブレーキが治ったらまたしばらくなんにも考えずに近くから遠くまでブンブンと走り回るのだろうな。

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2025年07月08日

サロンと猫と人間模様

もう20年くらいずっと同じ人に髪を切ってもらっている。美容院のことをサロンっていうくらいなので、やっぱりもともとそこには社交場的な役割があるんだろう(中高生のときは佐賀の田舎で、その名もサロン・ド・ヤマダっていう美容院で髪を切ってて、近所の情報がそこですべて共有されていた)。最近も美容院、ヘアサロンで新しい知り合いができて、改めてそんなことを感じたのだった。

5月の連休明けに浮かない気持ちで髪を切りに出かけた。4月の終わりからずっと猫のママンの病気のことで慌ただしくてくたびれてて、耳切除の手術をした直後くらいの落ち着かないタイミングだったのと、髪を切りにいったら「山田くん、連休は何してたの?」って絶対訊かれると思ったから、話さないわけにもいかないし気が重かったわけです。指を噛まれて包帯してたり手の甲が傷だらけだったりもするし。で、やっぱり猫の話になるわけだけど、その日偶然にも隣の椅子で髪を切られている僕より少し年上の男性のおうちの猫も4月の終わりから猫が体調不良で大変、というので、慰め合いというか「お互い大変ですね」と訥々と話しこんでしまった。そちらの猫ちゃんは18歳という高齢で、腎臓がよくなくてご飯を全然食べなくなったので3時間おきに強制給餌や水をあげたり家族付きっきりで介護しているそうで、お互い猫の写真を見せあって「かわいいですねえ」と目を細め合う。励ましの言葉やエールを交わし合うわけではないけれど、小さな生命を前にして翻弄される者同士での会話はひとときの癒しとなり、インスタグラムのアカウントをフォローしあって、それぞれの猫を遠くから見守ることになった。

それから2ヶ月と少し経ったつい最近、また偶然同じ時間帯にヘアサロンでその人に会う機会があった。ママンの耳の予後は想像以上に順調、しかし先方の猫ちゃんが少し前に命を燃やし尽くして亡くなったことを僕は知っていたから、インスタグラムに投稿された猫の顔を色鉛筆でスケッチして、その方へのプレゼントにした。その絵をとても喜んでくれたし「ママンよかったね」とねぎらってもくれた。多分僕ら二人ともちょっと泣いていた。それから猫の話やなんでもない世間話をして、またいつの日かの再会を約束して別れる。こないだまで全然知らない人だったのに、とても近しく感じるから不思議だ。僕は髪の毛が軽くなって足取りも少し軽くなって、都会のバスに乗って帰る。サロンと猫と人間模様、良い一日だったなと思いながら。

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2025年06月27日

好奇心と捨てないノート

立教大学池袋キャンパス、ライフスナイダー館での「細野さんと晴臣くん」へ滑り込み。大規模な展示ではないけれど、中学・高校・大学と思春期を過ごす“晴臣くん”が描いたノートの数々は熱量が高く、ずっと見入ってしまう。机に埋め込まれたノートたち、耳を澄ますと聞こえてくる(耳を澄まさないと聞こえない)音楽、レコードジャケットいろいろ、とても丁寧に趣向が凝らされた展示だった。そんなにピーター・ポール&マリーが好きだったんだ…とか、当時の漫画が面白そうだったり。とにかく当時のノートが良い状態で保管されていることが素晴らしいし、そのレガシーが半世紀以上を経てこの空間を作りあげている。細野さんにはずっと元気に長生きしてほしいと思った。

学生気分でキャンパスを妄想散歩しながら、好奇心こそがその人を作る、と思った。会場となったライフスナイダー館は1920年代から存在する蔦の絡まる洋館で素晴らしい雰囲気。歴史のある文教施設には知識の精霊みたいなオーブが漂っている気配がした。それをいっぱい吸い込んだ。

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2025年06月26日

一通のメールから

山形のシンガーソングライター堀健太郎くんから今年もさくらんぼ(佐藤錦)が届いて、美味しい旬をいただいている。突然届く便りが驚きと喜びをもたらすと嬉しい。さくらんぼと同じくらいのタイミングで真夜中にアメリカから一通のEメールが届いた。まったく知らない人からだった。

その方は長くカリフォルニアに暮らす日本人で、音信不通になって探している旧知の人物がいて、その人のことをネットでいろいろ検索していたらその人と僕の名前が一緒に載っている記事を見つけて、「非常に不躾で申し訳ないのですが、もし〇〇さんと今でもお付き合いがあったら私が探していることを伝えてくれませんか?」というメッセージだった。僕のインスタグラムからメッセージを送るとオフィシャルサイトのアドレスに届くからきっとそこから投函されたメールなのだろう。

僕もその人が探している方とは最後に連絡を取ったのがいつかも憶えていないくらいで、SNSでも繋がっていなくて、今どうされているかもまったく知らない。期待に添えるお返事が書けないなあと思っていたところ、スマホのアドレス帳にその方のご家族の携帯番号が残っていることに気づいた。なんとなく直感的に電話をかけてみようと思ったのだ。なぜか。かけてみると4回呼び出し音がなって「はい」と向こう側と繋がった。「あのー、山田と申しますけれど僕のこと憶えていらっしゃいますか?」から始まる会話は時計の針を巻き戻すように記憶が蘇り、あっという間に近況報告まで。そして本題、アメリカからの一通のメールのことを伝えた。「わあ、懐かしい」とそこの記憶にもスイッチがONした。

僕はメールアドレスを聞いてメッセージを転送し、ほどなくしてアメリカからも再び「電話で話せて大喜びしています!」と連絡が。秋に日本に帰るタイミングで会う約束ができたそうで、本当によかった。僕まで嬉しい。「ロスに来るときは連絡ください。ご案内しますよ」というおまけのご褒美までついて、なんだかとても嬉しい日だった。こういうとき英語を話す人なら「You made my day!」と言うのだろうな。おかげで良い一日になりました。こんなきっかけで僕を見つけてくれてありがとうございました。

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2025年06月24日

絵を描く時間

5月からほとんど毎日1枚か2枚、猫の絵を描いている。始まりはママンが耳を切除する手術をして、その傷が痛々しかったので写真ではなく絵でママンのことを報告しようとおもったことがきっかけだったけれど、そのうち傷もどんどん癒えて、しかしママンだけじゃなくてポチ実のスケッチもするようになっていく。使う画材は水彩色鉛筆、色鉛筆で描いたあとに濡れた筆でそれをにじませていく。11年前に先代猫ポチを亡くしたとき、その亡骸を前に最後の絵を描いたのと同じ水彩色鉛筆だということにこないだ気付いた。

最初は写真を撮って、それを見ながら描いていたのを、そのうち実物を目の前にして描くほうが断然楽しいことに気づいた。猫はじっとしていてくれないから素早く構図を写し取らないといけなくて、そうするとひとつの絵を描きあげるのに5分くらいしかかからないようになる。短い時間で描けば描くほど絵が生き生きして見えるから不思議。ママンは黒1色と瞳の色黄色、鼻の色薄茶色の3色、チミちゃんは黒と茶と瞳のうぐいす色の3色の濃淡で描く。もうスケッチブックが3冊終わって、4冊目に入った。

チミちゃんの三毛の毛皮の模様を完璧に把握した。ママンの豹みたいな斑点もかっこいい。絵を描く時間は僕にとって新しいルーティン、「目」そのものになる時間。

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2025年06月19日

ポチの命日

6月19日は先代猫ポチの命日でした。2014年に亡くなったので11年が経ったことになります。そんなに時間が経ったのか…。今でもうちのリビングには彼女の大きなポスターが貼ってあったりいろんな場所に写真が飾ってあるし、生き写しみたいなポチ実もいるので毎日ポチとの楽しかった日々を想う瞬間があるから亡くなった日がそんなに特別なわけではないけれど、でもあの日も梅雨の晴れ間のひどく暑くしんどい日だったなとか、季節感とともにいろんなことを思い出します。

今年はあんまり雨が降らなくて庭の紫陽花もどんどんしおれていく。もう少し融通を利かせて緑を濡らしてくれたらいいのに。

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2025年06月12日

素敵じゃないか

中学と高校の英語教師の教職免許を持っている。というよりも、取得したことがある、と言うべきか。生涯一度も教師になったことがないし、免許の更新が必要ならば早々に資格はなくなっているはずだ。教職課程を履行し大学4年生のときに佐賀にある母校の高校で教育実習を経験した。2週間ほどだったが、実はそんなに年齢の変わらない生徒たちの前に立って英語の授業するのは得難く忘れがたい経験ではあった。テキストのなかで「否定疑問文」というのが出てきてた。「Don't you think so?=そう思いませんか?」みたいな否定疑問文。丁寧な言い方として出てきた「Wouldn't it be 〜 to 〜=〜するのは〜じゃないですか?」というセンテンスを説明するために、僕は職員室でラジカセを借りてビーチボーイズの「素敵じゃないか」を生徒たちに聴かせた。振り返ってみれば、むせるような青く気恥ずかしい思い出だ。

「Wouldn't it be nice if we were older?」大人になるって素敵なことじゃない?
「And wouldn't it be nice to live together」そして一緒に暮らすなんて素敵じゃないか

歌詞をプリントアウトして配ったか黒板に書いたか忘れてしまったけれど、本当は英語の構文のことを教えたかったわけじゃなくて、世の中にはこんなに素晴らしい名曲があるんだよと聴かせたかっただけだ。言葉が通じなくてもそれはティーンエイジ・シンフォニー。『Pet Sounds』を再生するといつもこの歌から始まるから、僕は九州の片田舎で教壇に立っている気分に立ち返る。これからもきっとずっとそう。

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2025年06月11日

ささやかだけど確かな歌

小さなレコードショップでのプライベートパーティーみたいなイベントでイギリスのシンガーソングライターJohn Cunninghamが歌う、という青天の霹靂みたいな報せをSNS経由で教えてもらって半信半疑で出かける。上京した1992年に出会って愛聴したレコードのことを拙い英語で本人に伝えらることができた。とても優しくてたおやかな人だった。レコードの中にしか存在しないと思っていた遠い国の歌手が目の前で奏でるマイクもアンプも通さないささやかだけど確かな歌に耳を澄ます奇跡みたいな時間。いっぱいサインをもらった。

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2025年06月04日

雨の足音

6月に入ってやっぱりすっきりしない日が続く、かと思うと気持ちよく晴れて30度くらいまで気温が上がったり、気圧も上がったり下がったり体調にも波が寄せる。朝目が覚めたらまず布団のなかで天気予報をスマホでチェックして、次に窓を開けて空を見上げる。予報が雨でも降らない日も多いから、なるべく歩きにでかけるようにしているが、降るか降らないギリギリの日こそ良い景色が見られるもので、ここのところ何日か続けてカワセミの姿を見つけることができてうれしかった。

関東の梅雨入りは6月中旬という予想が出ていて、まだ梅雨入り前なのに日差しの当たらない日が多いという、中途半端な雨のトンネルの入り口にいる。雨の足音がそこまで。雨の季節をポジティブに過ごせたら、と思うのでラジオでは「雨の楽しみ方」というテーマでメッセージを募集しています。雨にまつわる歌には名曲が多いし、きっと雨というのは心に作用する自然現象なのだ。メッセージ・リクエストはこちらから。

PRIMECATS RADIOを聴く

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2025年05月29日

赤と白の日々

吉祥寺で用事をすませて帰路の途中、異様な行列に出くわす。異様というのはやたらとみんな赤と白のボーダーシャツ、かと思うとおどろおどろしいイラストのTシャツを着ている人もたくさん。それは吉祥寺にある某ホテルのホールで開催される楳図かずお先生のお別れ会に向かう列だった。吉祥寺に20年以上暮らしているから、何度楳図先生と道で遭遇したかは数え切れない。嬉しくていつも「こんにちは」と小さな声で会釈したり、良きタイミングのときにはひとことふたことお話させてもらうこともあった。

佐賀の田舎の、小学生のときの溜まり場だったお好み焼き屋さんで「漂流教室」を読んだときの衝撃を忘れない。なぜだろう、楳図先生がいない世界を生きているという実感がわかないのだ。地上からふわりと少し浮いたところを先生はいつも歩いていると思っていたけれど、案外今もそのまま、少し離れた浮世にいるのかもしれないなと感じる。赤と白の花を持って、みんなニコニコしていた。

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2025年05月22日

ホットとアイスのはざま

一昨年から始めた早朝のウォーキングのルーティンは途切れることなく、季節が変わっても5時過ぎに僕は歩きに出かける。冬の間の楽しみはコンビニでホットカフェラテを買って飲むことだった。それこそ毎朝毎朝僕が「ホットラテのレギュラー」と店員さんに言うものだから、外国人の店員さんのひとり(彼の名前を仮名でジャミルと呼ぶ)は僕がお店に入ってくるだけですぐにラテのカップを出してくれるようになった。最初は恥ずかしかったんだけど、ジャミルの御厚意をきちんと受け止めようと思って僕もいつからか「ホットラテのレギュラー」というかわりに「ありがとう、サンキュー」とだけ言ってカップを受け取るようになった。多分ジャミルは僕に「ホットラテ」っていうあだ名を付けていると思うし、僕も実際「朝のホットラテの男」である自負はある。

日々、時は過ぎていく。だんだん暖かくなって季節はもう晩春を過ぎた。朝5時過ぎはまだ少しひんやりしてはいるが、ホットラテを飲むかどうか躊躇する日が出てくる。それでも僕が入店するとカップが出てくるから「ありがとう」と受け取ることになる。こないだはカップを持って小首をかしげ「どうする?」みたいなノンバーバルなやりとりがあったあと僕が頷いて購入の意思を示した。冬の間に温かいラテを飲むのは好きなんだけど、夏にアイスコーヒーを飲むのはちょっと違ってて、夏になると僕は水を持ち歩くので、アイスコーヒーやアイスラテを頼むことはなくなる。ジャミルは僕を見てホットラテのカップをいつまで差し出してくるだろうか。アイスにする?とか聞いてくれるだろうか。それとも水を持ち歩く僕は朝のコンビニに立ち寄らなくなるのだろうか。

季節は今、ホットとアイスのはざまにある。

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2025年05月13日

尋ね猫が見つかった話

先月の早朝、ウォーキングをしていたら、電信柱に尋ね猫のチラシを見つけた。トラ猫、7ヶ月。甘えん坊で長い尻尾、体重は3キロ、去勢済みの男の子。かわいい猫の写真を見て心が苦しくなる。どんな想いで日々を暮らしているだろうか飼い主さんは。チラシの写真を撮って家に戻る、その道すがらトラ猫がさっと目の前を駆け抜ける風景に出くわした。「あっ」と思って駐車場に停まった車の下を覗くとそのトラ猫と目が合って、僕は夢中で写真を撮る。あの尋ね猫だったら、と思いながら。そのトラ猫は身軽に走り去ってすぐに姿を消した。

僕は家についてすぐスマホで撮ったチラシに書いてあった電話番号にショートメッセージと写真を送ろうと試みたけれど、ショートメッセージでは画像が送れない。メールアドレスも併記してあったけれどコピーチラシの文字がつぶれて写真からは判読できず。僕はもう一回そのチラシが貼ってあった電柱まで歩いていってなんとかメールアドレスを読み取った。そこに写った猫と、僕がさっき撮った猫、見比べてみて残念ながら「眉間の模様が違う気がするなあ…」と思った。僕が撮ったのもズームアップして画像の粗いものだったから100%の確信はないけれど、でも少しでも可能性があればと思って写真とともにその猫のいた場所を詳細に記してメッセージを送った。

「とても似てるのでうちの猫の可能性があります!ありがとうございます!」と返事が来たけれど、僕は似てないと思っているわけだから、なんとも複雑な気分だった。早く見つかりますように。数日後、うちの近所に猫の捕獲器が置かれるようになった。あの尋ね猫の飼い主さんが仕掛けたものだった。何箇所くらい置いてるんだろうか、大変な作業である。「一日に何度か見回りにきます。ご迷惑をおかけしてすみません」という旨のメモが貼ってあった。そこから2週間くらいその捕獲器は設置された。一度はヒヨドリがその捕獲器のなかでピーピー鳴いていて、罠をほどいて逃がしてあげた。捕獲器を触ったのは初めてだったけれど、開けるのがすごく難しかった。ものすごい勢いで飛んでいったヒヨドリよ。

「猫が見つかりました」と飼い主さんからメッセージが来たのは先週の日曜日、大阪でのライブが終わった後だった。3、4日前から自宅近くに戻ってきたところを例の捕獲器で捕まえたそうだ。どこかでご飯をもらっていたのか元気で健康体。なぜか一緒に茶白の猫も付き添いでやってきたんだって。僕が見たトラ猫はきっと帰ってきた猫ちゃんとは違う猫だと確信しているので、やっぱりこの町にはまだ猫がたくさんいろんな物陰に潜んでいるだろうなと思う。

僕は飼い主さんに「よかったですね!!!!」といっぱい感嘆符をつけて短い返事を送った。一度も自分の名前を名乗らないままのやりとりだった。猫が帰ってきて本当によかった。

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2025年05月12日

大阪、街並み、思い出

先週の関西ツアーで大阪阿倍野区の本屋亜笠不文律を訪れたとき、路面電車が走っている風景に出会って記憶が蘇った。阪堺電車というやつで、大阪府下に唯一残る路面電車。「チン電」の愛称で市民の足として親しまれている。通天閣のすぐそばにある恵美須町から、堺の浜寺駅前までを結ぶ阪堺線と、天王寺駅前から住吉までを結ぶ上町線の2線。

記憶が蘇った、というのは父親がかつて暮らした天下茶屋の町はこの沿線にあったからだ。僕が10歳のときに両親が離婚したあと、僕は母と九州で暮らし、父は大阪へ生活の拠点を移して中古自動車屋を営んだ。中学生になると僕は夏休みに父の住む大阪へたびたび遊びにいくようになる。ドキドキしながら佐賀の田舎から大阪の大都会へ。父の住む天下茶屋は雑然として生活感あふれる町で、佐賀にはない風景だった。なにをするでもなく滞在する1週間と少し。父は昼間はもちろん仕事なのでお小遣い1000円を渡され僕は好き勝手に父が帰宅する夜が来るまでを過ごす。

今日はどこへ行こうか。昼ご飯なに食べようかな。パンで済ませて残ったお金でマンガ本でも買おうか。電車に乗ってどこかへ行ってみようかな。ちゃんと帰ってこれるかな。中学生の僕にとって一人で未知の町を散策するのは冒険みたいなものだった。雨が降って出かけられない日は父のアパートの部屋で仰向けになって、野球の軟球ボールを壁に投げてそれを受け止めて時間を過ごした。僕のその遊びのせいで階下の住人から父が「音がうるさいねん」と怒られて謝りにいったことを憶えている。35年くらい前に坊主頭の僕が無邪気に駆け回った町はこのあたりだったのだろうか、と想像しながら阪堺電車と並走しながら車を走らせた。今度来るときにはこの電車に乗ってみたい。

父と母が眠る一心寺もそこから車ですぐのところにあったので、今回のゆとりのない旅スケジュールにもかかわらず手を合わせて“お墓マイレージ”を貯めることができた。一心寺はいつ来ても人がいっぱいで花が溢れてお線香が煙たく、とても賑やかだ。天気もよくて気持ちがすっきりした。ほんの一瞬の時間旅行みたいな、心がじんわりするようなマインドトリップでした。

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2025年04月27日

暮らしのノイズ

明け方になんとなく目が覚めてから夢の淵とこっちを行き来しているようなときに「あ、今、無音だ」と思うときがある。冷蔵庫、空気清浄機、ウォーターサーバー、エアコンとか、それらのモーター音が偶然にタイミングを合わせて止まる瞬間がごく稀にあるのだ。静かだなあと思うし、普段どれだけノイズのなかで暮らしているのだろうかと思い知ることになる。無音のなかで風が庭の木々を揺らして葉がこすれる音が聞こえた。自分の心臓の音が大きく感じるのも生きてるっていう感じがする。

次の瞬間には冷蔵庫、空気清浄機、ウォーターサーバーとノイズが織り重なっていって新しい朝の始まり。あの静けさをいつでも感じられるような、真空パックにできたらいいのに。

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2025年04月25日

続く、イエローマジック、黄色魔術に魅せられて

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少し前のことになります。高野寛さんの自伝的音楽エッセイ『続く、イエローマジック』発売記念のイベント「黄色魔術に魅せられて」に参加した。会場は北区にある北とぴあのドームホールで、もともとプラネタリウムだったこの会場で僕は2度、満天の星を見上げながらライブをしたが、その時以来の再訪だった。僕は音響を少しお手伝い、手際良くあっという間に準備は済んで、控室で高野さんとゆっくり話せてよかった。

音響を見張りながら聞くトークショー、機知に富んで興味深い話ばっかり。ミルブックス藤原さんの合いの手や話の引き出し方もさすが。あっというまの2時間でした。2度の演奏もシンプルな弾き語りからバックトラックを使って風景を変えたシーン、お客さんとのコール&レスポンスも素晴らしかった。音響もなんのトラブルもなく仕事を果たせた。高野さんは京都でのYMOトリビュート・コンサートのバンドマスターという大きな仕事がもうすぐ。いろんな刺激をもらった一日でした。
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2025年04月16日

なんということもないレコードショップの話

吉祥寺PARCOの地下1階にあるディスクユニオンが3月に広くなってリニューアルされた。感覚としては2倍以上の広さになった。今まで15分で新入荷をチェックしていたのが30分以上かかって、それはそれで楽しい。そうこうしているうちに同じフロアにタワーレコード吉祥寺がオープンした。K-POPやアイドル、アニメのコーナーが充実しているのは時代だなあと思うが、アナログコーナーもあるし試聴機もあって“タワレコ感”がちゃんとそこにある。コピスにはHMV Record shop、南口のバス通りにはRARE、井ノ頭通りを少し歩いてココナッツディスクなどなど、吉祥寺にはたくさんのレコード屋があるけれど、昔はWAVEもレコファンもあったのわけだから、いつのときも音楽に溢れたエリアなのだな。

吉祥寺に25年近く住んでいるから、これまでのタワーレコードを2つ思い出す。今ZARAが入ってるビルの2階にあったタワーレコード吉祥寺ではたくさんレコードを買った。品揃えもクセがあって新しい発見がいつもあった。ヨドバシカメラの6階に移ってからは自分のインディペンデントのリリース作品でいろいろお世話になった。そして今回3つめのタワー、ここで買い物する頻度はもう少ないかもしれないけれど、それでも黄色い看板を週に何度も眺めるのだろう。

僕がドキドキしながら初めて足を踏み入れた輸入盤ショップは九州朝日放送がフランチャイズ権を持った「タワーレコードKBC」という福岡天神のお店だった。中学生の僕。そこは音と光がキラキラと溢れていた。なによりレコードから漂ってくる匂いが違うのだ。外国の空気感があって、まだ見ぬワクワクの入り口だった。タワーレコードKBCは国内の本筋タワーレコードの隆盛によりTRACKSという名前にかわり、しばらくして閉店。1980年代終わりから90年代頭の話、そのタワーレコードKBCで初めて買ったのはR.E.M.のベスト盤『eponymous』でした。

レコード屋は都会も田舎も、新しくても古くても、広くても小さくても楽しいのです。

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2025年04月12日

どんどん朝が早くなって

朝型の生活スタイルになってからもう1年半くらい経つ。朝はアラームをかけなくても自然に起きることになっていて、ここ最近どんどん夜明けが早くなってきたから目が覚めるのも自然と早くなる。太陽のリズムに誘われるのだ、多分。まず意識と無意識の間のまどろみで鳥のさえずりが聞こえ始める。ウソみたいな本当の話で鳥は決まって夜明けを告げる歌を歌う(雨降りがひどい日はお休みする)。そのさえずりを聴きながら、だんだん明るくなる窓を感じて僕は「あああ」とか「ううう」とか声をもらす。それで目が覚めたママンが「トトン」と音を立ててケージから出てきて伸びをして、少し遅れてチミがトコトコトコと水を飲みに降りてくるから僕も起き上がって一日を始めることになる。

この頃の東京の日の出は5時10分頃だからだいたい僕らは5時半をすぎる前くらいに「おはよう」と挨拶をする。天気がよければウォーキングも心地良いが曇っていても雨上がりでもそれはそれで予想していない風景に出会うから朝という時間はとても面白い。この写真は先月だったか、いつかの朝に見た雨上がりの公園の風景。すごく幻想的で見とれてしまった。

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2025年03月21日

GOMES THE HITMAN 横浜リハーサルDAY1

来週末3月28日、横浜サムズアップ公演のためのGOMES THE HITMANリハーサル。みんなで集まったのは1月の千葉以来。あの日はライブ後に千葉泊して新年会で痛飲したので随分昔の事のように感じる。2005年発表『ripple』リリースから20年というタイミングなので、そのアルバムからの楽曲を丁寧に紐解いてみる。当時はあんまり正面切って向き合いたくない歌たちだったような気がするから今回いろんな決着がつけられるのではないだろうか。『ripple』が最後の作品になっていてもおかしくなかったけれど、そのあとに『memori』を作って、今また新しい歌がたくさんある。過去と未来をつなぐようなライブになればと思います。

来週末、横浜でお会いしましょう。

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2025年3月28日(金)@ 横浜 サムズアップ
GOMES THE HITMANーLIVE SATELLITE 2025
“Band de Bel Canto YOKOHAMA”
18:30開場 19:30開演/前売4500円 当日5000円(オーダー代別途)
出演:GOMES THE HITMAN
[ 山田稔明、堀越和子、高橋結子、須藤俊明 ]

行ったことのない街、やったことのないステージに演奏しにいく
“サテライト”ツアー。GOMES THE HITMAN結成32年目にして
初めての横浜公演が決定。昨年山田稔明ソロで好評だった
関東シリーズ「ベルカント」のバンド編、旅は続きます。

【TICKET予約】THUMBS UPにて予約受付中
 お電話、THUMBS UPのHPメール予約、店頭販売を行っています
 当日は予約チケット番号順入場、自由席となります

THUMBS UP(http://stovesyokohama.com
横浜市西区南幸2-1-22 MOVIL3F
045-314-8705
  
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2025年03月17日

25年と50年

吉祥寺キチムに林邦洋くんのデビュー25周年と生誕50年を記念するライブを観にいった。林くんとはデビュー当時に対バンしたり、使っていたレコーディングスタジオが彼が所属するレーベルの持ち物だったりしたのもあり交流があったけれど、近年は全然疎遠になっていたから彼の歌を聴くのも何十年ぶりとか、そういう感じ。会場は満員のお祝いムード、しかし林くんがまとった緊張感がすごく独特な雰囲気を作り出して面白かった。

調べてみるとGOMES THE HITMANと林くんは2002年夏に2マンライブを渋谷エッグサイトで行っている。林くんはヨシンバをバックバンドに従えて、GTHはアッキーがサポートギターで5人編成。それから2010年には林くんがお兄さんと組んだピクチャーズというバンドとも僕は対バンしている。そこから15年が経った今。林くんの歌は多分本質は変わらないまま、四半世紀の時を重ねていた。当時好きな歌があって僕はそれをちゃんと憶えていた。

サプライズでケーキがあったり、ハッピーバースデイをみんなで歌ったり。この日のバックバンドもヨシンバの面々。ギターにfishing with johnの五目亭ひじきさんがいるのだけど、そういえば林くんは語り口や佇まい、雰囲気が五十嵐祐輔くんに似ているなあと感じた(年も僕より少しだけ下で)。この日のライブをお膳立てしたのはヨシンバ吉井さんとひじきさんだったそうで、終演後にひじきさんと話したら、去年やった五十嵐くんの50嵐祭りがとてもよかったので林くんの50歳もお祝いしたかったのだ、と。すごくあの日を参考にしたと聞いてなんだかとても嬉しくなった。歌い続けていることが素晴らしい。また機会があれば一緒になにかできたらいいな。

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2025年03月15日

雨の花道

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むぎ(猫)ちゃんの活動休止前最後のライブを観にいった。浅草花劇場は花やしきのなかにあり、日常と非日常が交差するような場所で、このライブを機に少しお休みするむぎちゃんを華々しく送る花道として相応しい会場だと思った。趣向を凝らしたステージは楽しくて素晴らしく、いつもより感情的な声を聞いたような気がしました。MCでむぎちゃんは「Beauty is in the eyes of the beholder」という言葉に触れ、僕はその意味をいろいろ考える。それを見つめる瞳の中にある美。

むぎちゃんの決断はとても力強く美しい。また会える日を楽しみにしています。ありがとう。  
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2025年03月14日

雨の第三京浜

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先週、雨の第三京浜を走って横浜へ。今月末にお世話になるサムズアップにてHEATWAVEのライブを観た。すべて新曲という今ここでしか見ること聴くことのできない貴重な内容で、荒涼とした荒野を轍を刻みながら進むワゴンのような痛快なバンドの演奏に感服しました。これらの歌たちがレコーディングされて届けられる未来がとても楽しみ。平日の夜だったけれど熱心なお客さんがたくさん、音楽が日常にある感じがサムズアップの魅力だと思いました。帰りもそぼふる雨の中、高速を走りながら様々なシーンを反芻。

今月末、3月28日にGOMES THE HITMANでここで演奏するのが待ち遠しい。音楽と食事、スタッフの皆さんのホスピタリティ、床や机や壁に染み込んだ歴史と足跡。金曜日の夜なので仕事帰りにお腹をすかせて来ても美味しい食べ物がたくさんあります。ぜひご来場ください。新しい風景のなかで一緒に楽しみましょう。

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2025年03月11日

予感

東日本大震災から14年。あの頃まだ名前のついていない、後に『新しい青の時代』として完成することになる作品のレコーディングが難航、毎日ため息をつく3月だった。震災をきっかけに作業は完全に中断、それから1年後に「予感」という曲を書いて再びレコーディングが再開された。だから。この歌には震災後の1年の感情がつまっている、と感じる。歌うといつも蘇る、忘れない気持ちがあります。




予感/山田稔明
山田稔明:vocal, guitar, bass, chorus
吉野友加(tico moon):harp, chorus
itoken:drums, toy piano
上野洋:flute
安宅浩司:clarinet  
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2025年02月24日

三連休の逢着

3月23日に吉祥寺PARCO屋上で開催される芝生蚤の市。3回目の今回、「音楽ステージ」をお手伝いすることになっていろいろ計画を進めている。主催のギャラリー芝生店主と吉祥寺のカフェで打ち合わせをして、だいぶんそのイメージが固まってきた。というところで、「山田さん、」と別のテーブルのお客さんから声をかけられて「吉祥寺に遊びにいくなら、と山田さんTシャツ着てきたら、その山田さんがお店に入ってこられたんです」と胸を張ってチミスミスTシャツを見せてくれた。こないだTOMOVSKYさんのライブを観にいったときも「いつもインスタ見てます」と話しかけてきてくれた方がいらっしゃったのだけど、そういう声がけは気恥ずかしくも、嬉しい。思い切って話しかけてくれてありがとう。

夜に、高円寺まで出かけて、大阪の清荒神AHSOでのライブでお世話になった「ヅカデン(宝塚電子倶楽部)」の展示、というのかパーティーというのか、なんだかとても賑やかな催しを覗いた。とても活気に溢れていてピカピカキラキラとまばゆい照明に目を細めた。文字通り、眩しい風景だった。予期せず人に出くわしたり、思い立って人に会いにいったりするのはやっぱり楽しい。

「逢着(ほうちゃく)」とは、なにかに出あうこと、出くわすこと、行きあたること。最近『美しい日本語の辞典』という本の開いたページをぼんやり読むのが好きで、この逢着という言葉もそこで出会ったのではなかったか、それこそ言葉に逢着する喜び、である。

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2025年02月08日

誰かが歌うのを聴きたくなって

1月の千葉でのGOMES THE HITMANワンマン以来ずっとライブが続いていたから、1ヶ月ぶりの自分の演奏のない週末になった。誰かがギターを弾き歌っているのを観たくなってライブに出かけた。昨日は安宅浩司くんの下北沢ラカーニャでのライブ。安宅くんとは先月グレープフルーツ・ムーンで共演したぶりだったけれど何だかえらく時間が経ったように感じるのは毎週末のステージの内容が全然違うからだろうか。彼の端正な演奏を聴くと僕ももっとギターが上手くなりたいといつも思う。歌もとっても良い。温度がいい、っていう感じがする。実家に立ち寄る機会が多くて過去の自分と対峙することになった、というMCからの流れで歌われたブルーハーツの「TRAIN TRAIN」がしみじみと良かった。同い年だから僕もあの頃のことを思い出す。ハンバートハンバートの良成くんがいたので映画『ぼくのお日さま』のサウンドトラックがすごく良かったと感想を伝えることができた。レテに寄ったらtico moonの影山さんがいて少し話ができたし、下北沢ではいろんな人に会えて、楽しい。

さかのぼって、金曜日の夜は新宿レッドクロス(何年ぶりに行っただろうか)へ出かけた。最初に演奏していたのは秋山璃月さん、とても色気と雰囲気のあるシンガーソングライターで、惹き込まれた。2000年生まれだそうだ。こんなふうに若い素晴らしい音楽家がたくさん毎日どこかで演奏しているのだろうな。「秋山くんの35学年上だ、おれは」と次に登場したのはトモフスキーさん。先週の上田禎さんのチャリティライブでの演奏が感動的だった、と友だちから聞いて僕も久しぶりにトモさんのライブが観たくなったのだった。楽しいのにときどきギュッと胸を掴まれたように感動してしまうのはなんでだろう、と昔からずっと不思議。この日のステージも心の泣き笑いが忙しい、素晴らしい歌だった。

ここ最近東京の夜はものすごく寒くて、もういっそのこと雪が降ったりしたらいいのにと思うけれど空は踏みとどまっている。マフラーで鼻まで隠して凍える帰り道、いいライブを観たあとの心はポカポカで、その日聴いたうろ覚えの言葉とメロディーを鼻歌で歌いながら歩く。帰ったらギターを触ろうと思っている自分はどこまでも音楽の好きな人間なのだなあと再確認。音楽が好き。

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2025年01月30日

日は沈み、また昇る

2011年の震災のときに知り合って付かず離れず連絡を取るようになった宮城県気仙沼に住む人がいて、僕は彼のことを「気仙沼くん」と呼ぶのだけれど、気仙沼くんが昨年の誕生日に楡周平著「サンセット・サンライズ」の文庫本と映画のチケットを送ってきてくれた。聞けば、舞台が気仙沼とのことで、数年前に僕が『おかえりモネ』という朝ドラにハマったときも「ぜひ気仙沼に」と誘ってもらってたんだけど、再訪を誓ってから随分時間が経ってしまっていることを申し訳なく思いつつも頂いたチケットで映画を観てきた。

宮藤官九郎脚本ということで、会話劇がテンポよくて楽しくてどんどん物語に惹き込まれていく。コロナ禍の2020年から始まる物語が10余年の過去から続く震災の経緯と交錯してそれぞれの想いがつづれ織りのように重なっていく。海の幸の美味しそうな映像にとてもお腹が減るし、今年こそは気仙沼へという思いも強くなった。きっと自分で選んで観にいく映画ではなかったと思うので、今回気仙沼くんが機会をくれたことに感謝。映画『サンセット・サンライズ』、笑って泣いて、とても面白かったです。

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2025年01月25日

故郷の朝

完全に朝型体質になってしまったので仕事で地方に行った朝も5時には起きてしまう。佐賀でも早く起きて、でも西のほうは東京に比べて30分くらい日の出が遅いのでウォーキングするにも真っ暗でつまらないので、思い切って早めにチェックアウトして子供の頃から慣れ親しんだ山に登ってみた(レンタカーで)。基山町は「きやまちょう」と読みますが、町を見下ろす基山(きざん)という山があり、そこは草スキーで有名な、子供の頃から何度も遠足で登ったり大人になっても友達とアウトドアを気取って意味もなくコーヒーを飲みにいったりする場所だった。

朝7時半頃、基山から見下ろす町と太陽の光がとてもきれいで、空気も澄んでとても気持ちがよかった。そのまま自然道をつたって先祖のお墓まで行って手を合わせようと思って走る。お墓に着くとちょうど太陽の光が墓石を煌々と照らしていて、この光を計算してここにお墓を作ったのかなと驚いてしまった。ものすごく神々しい風景でした。実家がなくなっても、故郷はやっぱりいいものです。ホームランド。自分という存在の始まり。

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2025年01月21日

メジャーデビュー記念日

1月21日はGOMES THE HITMANの初メジャー作『neon, strobe and flashlight』が発売された日。1999年のことでした。長い時が経ったし、いろんなことがあったし、あっという間だったとは全然思わない。今でもこのレコードを聴くとこそばゆい未熟さがあるけれど、ここが出発点。春の歌が多いのは季節柄ですね。久しぶりに聴いてみたいと思います(拙さに悶絶しながら)。

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2025年01月17日

キャロットタワーから神楽坂

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杉真理さんのラジオ「アフタヌーンパラダイス」にゲスト出演、久しぶりに杉さんと話せて楽しかった。番組最後まで居座らせてもらって、メッセージやリクエストもたくさんありがとうございました。番組終了後はアシスタントのマーナちゃんがお誕生日だったということでご飯会に誘ってもらって美味しいご飯と少しのお酒。とても寒い日だったけれど心はホカホカに。

そこから飯田橋へ移動。コロナ禍中に閉店してしまった恵比寿天窓switchのスタッフ陣が再起して立ち上げる新しいライブハウス「神楽坂天窓」のお披露目パーティーに。もともとクラシック音楽が鳴らされていたという会場はウッディーな感じで恵比寿のときとはまた雰囲気が全然違うけれど、新しい物語がまたここから生まれたらいいなと思う。ギターが用意してあったのでオープンマイクで「手と手、影と影」を歌ってみた。近いうちにこのステージで歌うことになるでしょう。楽しみにしていてください。

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2025年01月09日

M.J. Lendermanを観た

お正月休みは音楽漬けだった。あらためて自分は90年代からずっと音楽に生かされているのだなあと実感した。そんななかで、昨年の個人的音楽ベスト2(1位はWaxahatchee)に選んだアメリカのシンガーソングライターM.J.Lendermanのフリーライブがあるというので出かけた。在籍バンドWednesdayで来日していたタイミングで実現した嬉しい企画。サイン会もあって、僕はアナログ盤にサインをもらって少しの言葉を交わすことができた。

新代田FEVERをほどよく埋めるくらいのオーディエンスが集まり、ライブはエレキギター弾き語りに加えてWednesdayからラップスティールギターのXandy Chelmisが全曲、そしてWednesdayのボーカルKarly Hartzmanも数曲サプライズ出演するというとてもスペシャルな50分だった。アルバム『Mannning Fireworks』を全曲、そして最後はピンク・フロイド「あなたがここにいてほしい」のカバー。25歳のMJがなぜこんな歌を?と不思議に思ったが、帰宅して気付いたのはこの日がシド・バレットの誕生日だったということ。

良いものを観た。

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