2026年05月12日

夢からさめたような

数日前のブログに書いたように、予定通り、左目のレーザー治療を受けた。2年半前に網膜剥離になったときに将来的に100%発症する白内障についても同時に施術して人工レンズを入れたのだけど、数年後に目がかすんだりまぶしくなったり視野が暗くなる「後発白内障」を発症することを“予告”されていたので、不安とか恐怖よりも、すっきり見えるようになる!嬉しい!という気持ちのほうが大きかった。

それでもやっぱり目の病院っていうのは、目に直接触れられるのでゾクゾクするような緊張感はあって、いざレーザー治療の手術室に通されると鼓動が少し早くなる。僕が通っている眼科は施術するときにクラシックを流してくれる。レーザーされるのはもうこれで4度目くらい、今日のBGMはパッヘルベルの「Canon in D Major」であった。ものの3分くらいだろうか、バチバチと音を立ててレーザーが僕の目のなかの何かをどうにかしている。「混濁した水晶体嚢をレーザーによって切開・切除し、再び眼内へ光を取り込めるようにすることで、視機能を改善させる」というのが今回の治療の内容だけれど、なんの痛みもなくあっという間に施術は終了した。

瞳孔を開く目薬をさしていて世界がハレーションを起こしているので病院から外へ出てすぐに「見える!!」っていう驚きのようなものはないのだけど、自宅に帰って少し目を休めて夕方の柔らかな光に揺れる木々を眺めると視界の明るさや透明さが全然違う。ああ、目がちゃんと見える…と静かに感動した。翌朝のウォーキングで眺める風景も前日までのそれと全然違った。頭の中で「I can see Clearly Now」という歌がHot House Flowersのバージョンで流れる。はっきりと見える、雨はもう上がった、と。

まどろむ夢からさめたみたいな。

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2026年05月10日

母の日はママンの日?

母の日はママンの日?2月に旅立ったチミママを想う。猫は一度親離れ子離れすると親子関係の認識がなくなるというのが定説ではあるのだけど、ママンはチミにたったの一度もシャー!と威嚇したことがなくて、チミはまあ。わがまま放題でいつもつれない感じなんだけど、他の猫と対峙するときと比べて確実にママンに対してはサムシングスペシャルな感情、感覚、対応があったと思う。ママンがいなくなってチミは少し体調を崩したりもして、“お母さん”がいなくなって彼女なりに少なくない影響があったと思います。

ママンは2014年にチミとその姉弟(チミオとサビオ)を産み、翌2015年にも出産して2匹(チッチとミンミ)を育て、その仔猫は保護されて今もどこかで兄弟で暮らしていると思います。AIに綺麗に修正してもらった2枚目3枚目の写真は2015年の、まさにママンの母としての姿です。母の日おめでとう。ありがとう。

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2026年05月08日

なんて眩しくてたゆたう光の残像

ちょうど今「blue hour」というGOMES THE HITMANの新曲のレコーディングをしているところで、これは2023年に網膜剥離になったときに、その治療過程で見える景色などを綴って書いた歌だから、その当時のことをいろいろ思い出していた。というか、その目の治療をしたときに先生に言われてたのが、数年経ったら多くの患者が「目のかすみ」や「まぶしさ」を感じることがあるということで、それがまさにここしばらくの僕の目のことだった。

目の検診は定期的にしているのだけど、いよいよ今回の検査でその「後発白内障」の治療をやろうということになった。僕もずっとそれがやりたかったのでやっと先生のGOサインが出たことが嬉しい。前回の検査では「かすみがちだけど視力1.0で見えてるから」と言われてたのが、今回は“勘”を使うのをやめて見えないものを見えないと伝えたからかもしれない。とにかく来週になったらレーザー治療で目を治してもらうのだ。ほんの数分と言われている。見え方が変わると世界も変わるかな。

新しいメガネを作るみたいにワクワクしている。次のライブのステージからの風景もきっと変わるのだろう。

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2026年05月05日

明け方のミー

朝、目が覚めてリビングに降りたら猫の鳴き声が聞こえた。か細い小さな声。まだ5時前の朝だけれど、チミが珍しくもう起きだしている。どこにいるかと思ったらソファの前にうずくまっているので、ワシャワシャなでてやろうと思って近づいたら、紙袋に頭を通して抜けなくなって身動きがとれなくなっているのだ。どうしたのチミちゃん、バカなの?と僕は紙袋を結構手こずりながらビリビリとやぶりチミを解放してあげた。

それは「うちのトムが食べないから」と堀越メンバーがくれたフードが入った紙袋で、フードは床に散乱し、少しチミの歯型がついていたりする。お皿を見たらカリカリはまだ入っているし、そんなに食べたかったのか?と問うとバツが悪そうにそっぽを向く。ちゅーるを一本あげたら満足して2階へ登っていった。人間も猫もそれぞれの活動がある。僕は散らかったフードを片付けて朝のウォーキングに出かけた。

GWだからって猫の暮らしは変わらない。僕だって似たようなものだ。ちょっと新鮮味のあるお菓子でも買ってあげようかなと思う。

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2026年05月02日

魔法のオンラインショッピング

マグカップを割ってしまった。絶句、お気に入りのやつだったから時間を巻き戻したくなる。割れ物を片付けもしないうちに、すぐにネットショッピングサイトやらヤフオクとかメルカリを駆け回ったらものの5分で同じものをひとつだけ見つけたから無思考で購入ボタンを押した。多分あさってくらいには届く。自分が大した魔法を使って、時間を巻き戻した気がした。

このカップで飲むのがいいのだ、朝のコーヒーは。

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2026年04月29日

ルーティンの書き換え

季節が進んでもう朝5時前には空が明るい。朝のウォーキングでは夜と夜明けの狭間を見るのが好きだったけれど最近はなかなかむずかしい。4時に外に出ないと夜を捕まえられない。それでもやっぱり気温があがると朝の散歩は快適で、青々と茂りはじめた木々や草いきれの匂いが鼻をくすぐる。もうすぐ鯉のぼりが空に舞う頃だ。

ここ数年ずっとNHKの朝の連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」を必ず見る習慣があったのだけど、今期はどういうわけかその“ルーティン”に変化があり、春からの放送を一度も見ていない。去年の秋から朝8時からはラジオを聴くようになったので、「朝ドラ」は12時45分の昼の再放送を見ることになったり、ちょっとした微調整はあった。「my favorite things」の歌詞にある「ひとつかふたつは仕事を片付けて12時を折り返すのが好き/昼過ぎのニュースとドラマを眺めて/午後からはラジオがいい」というフレーズのドラマとは「朝ドラ」のことだからもう10数年は続いていた習慣だったはずだ。

いつも見ていたテレビを見なくなると、時間の規則からかなり解放される、ということに今さら気づく。テレビの前にいなくていいことがとても自由なのだ。すごく面白いのかもしれないし、話題になったら追いつきたくなるのかもしれない。わからない。でもテレビを見なくてよくなった時間に文字や文章を書くようになって、それは自分にとってとても良い。ルーティンって日々書き換えていくものかもしれない。

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2026年04月25日

理解と共感についてまだ考えている

先日本で読んだ「書き手は読者に“共感”を求めることはできない、読まれる際のゴールはあくまで“理解”に設定すべきだ」という旨の文章を読んで思ったことを数日前のブログに記したけれど、あれからしばらく経ってもまだ“理解”と“共感”について考えている。むずかしい顔をして思考しているわけでは全然なくて、すごく身近なところにも“理解”と“共感”の境界線みたいなものがあるような気がして、それについて考えている。

僕は音楽のサブスクはSpotifyもApple MusicもYoutube Musicも活用しているけれど、そこで良いものを見つけるとレコードやCDをすぐに手に入れようとする。もしかしたらそれは旧態然とした所有欲なのかもしれないけれど、“理解”を越えて“共感”した音楽を手元に置いておきたいって思ってしまうのだ、やっぱり。自分にとっては図書館も同じような存在で、最近は昔みたいに本をたくさん読まなくなってしまったけれど、気になったり気に入ったりした本は棚に置いておきたくなる。共感とは享受することかもしれない、とも思う。理解とは「なるほど」と認識することなのかな。うまく言えない。

ガイドブックや写真で知ることと実際にそのものを五感で感じることの違い、それも理解と共感の境界線だ。芸術、美術、料理、旅行、全部同じことのように思う。頭で知り分かることと身体で感じることの違い?もう少し的確な言葉があるような気もする。

吉祥寺キチムで、ナタリーワイズのライブを初めて観た。高野寛さんとTOKYO No.1 SOUL SETのBIKKEさん、undercurrentの斉藤哲也さん、ヴァイオリン奏者の神田珠美さんによるユニット、結成26年と銘打たれたライブ、大盛況だった。僕の部屋のCD棚には四半世紀前に手に入れたナタリーワイズのCDが数枚あってその音楽性を“理解”しているつもりでいたのだけど、実際に初めて生演奏でその楽曲たちを聴いてみるとその“LIVE”な響きにハッとする。ピアノとバイオリンのアカデミックな旋律と文学的呟き・独白を、静謐で有機的なポップネスが繋いでいく。楽曲が盛り上がるときにBIKKEさんがリーディングする声が少し演奏に埋もれそうになるところに意識を研ぎ澄ましている耳、生ピアノが鳴らされるときのコツコツという打音、弦楽器のきしみ、息を飲むような客席の反応。ライブとはこのように“共感=享受”だなと感じて静かに感動した。帰ってきてからは同じCDが違うふうに聴こえるからとても不思議。

理解と共感についてはまだもう少し考えてみたいと思う。面白い。

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2026年04月18日

古いものが新しい

4月18日はレコードストアデイで、いろんなタイトルのレコードがこの日のためにリリースされる日だった。覗きにいったレコード屋さんはどこも盛況で、しかし2枚買うと1万円を越えてしまうような値段を見るにつけ、ここ数年は「別にもう、買わなくていいや」と思う自分もいる。レコード熱が冷めてしまったかというと、全然そういうわけじゃなくて、僕は今でもほぼ毎日レコード屋さんに出かける。最近わかったこと、自覚したこと、それは僕は中古レコードが好きなのだということだ。もっと言うと古着も好きだし、古道具も好き、アンティークショップよりはリサイクルショップのほうが楽しい。

ハッと気づいたのはうちの父親は中古自動車屋さんだったのだ、と改めて想いを巡らせる。子どもの頃、「山田んちは中古の自動車しか売っとらん〜」と同級生に馬鹿にされたことを今でも憶えているが、10歳にもならない子どもが「新車 > 中古車」という概念を持っていたことに驚くけれど、自分でも「うちは新車じゃなくて中古車のお店だ」という引け目というか気恥ずかしさがあったことは否めない。父に連れられて車のオークションに行ったこともぼんやり憶えている。いい車を安く仕入れることができると父は「こういうのを探してるお客さんがおるんよ。喜ぶやろうなあ」と嬉々としていたんだろうなと想像する。僕の古物好きは多分、父親から引き継いでいる。

僕もこんな良いレコードがこの値段で!とか、こんなのがあったなんて知らなかった!とか言って今日も明日もレコードやCDを買う。もうすでに持ってるレコードでもワンコインで売られていたりすると誰かにプレゼントしようと思って、買う。もうそれは仕入れとか買付に近い。だから、つやつやでエクスクルーシブなレコードストアデイアイテムよりも埃をかぶった、ゴミか宝かわからない山を登って自分にとって新しい古いレコードを探すのが好きだ、ということが50歳を越えてようやくわかってきた。

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最近探しているダークダックスのレコードがあって、目的のものはなかなか見つからないんだけど、フォスター楽曲を歌ったアルバムを見つけて「わー」ってなった。日本語詩で歌われる「Hard Times Come Again No More」の悲哀よ。  
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2026年04月12日

夜のなかに昼を探す

イギリスのバンドLILAC TIMEが1999年にリリースした再結成盤が初めてアナログ化された。四半世紀の時を超えて変わらず素晴らしい。リリース当時、GOMES THE HITMAN「スティーブン・ダフィー的スクラップブック」という曲がきっかけで日本盤のライナーを書かせてもらった思い出深い作品だ。CDとかレコードが好きな自分にとって“ライナーノーツ”を書くっていうのは夢みたいなことで、しかもそれが自分の大好きなアーティストだなんてこの上ない光栄なことだった。このレコードのおかげで僕らが1st『weekend』をリリースするときにダフィーさんから帯文をお返しに寄稿してもらうことになったし、日本盤リリース元のクアトロディスクからは3年後に『mono』をリリースすることにもつながった。

『Looking for a Day in the Night』夜のなかに昼を探す、というタイトルもいい。四半世紀前、このアルバムは夜に似合うと思っていたけれど、今では朝の光の中で聴くのもタイトルに見合っているなと感じる。CDを引っ張り出して訳詞を読みながらアナログのレコードに針を落としてみる。時を超えて普遍的に素晴らしい音楽だ。ライラック・タイムは昨年リリースになったライブ盤も素晴らしかった。きっとこれからも何度も思い出したように聴くのだろうと思う。

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2026年04月09日

ママンとポチ実のスケッチブック

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昨年の5月から描き始めた猫スケッチ。水彩色鉛筆と水彩絵具を使って、ツアーで旅に出たりする以外、描ける日はだいたい毎日描き続けてきたのが、マルマンのB6スケッチブック16冊が終わって17冊目になった。ノートを1冊使い切るのが苦手な自分が最初のページから最後のページまで白い紙を埋めて描き続けていいることに静かに感動する。

ママンが耳の手術をして、その痛々しい姿を写真に撮るのが忍びなく思ったことがきっかけで描き始めたスケッチ、1冊目は全部ママンの絵だったのが、ついに最新16冊目は全部チミの絵になったことも感慨深いというか、やっぱりどうしたってさびしい。はじめは写真に撮ったものを描き写したりしていたのが、実物を見て描くというルールを決めた。なので「動かないで!」「そのまま!」と声をかけながら数分でサッと描くのが習慣。今日も昨日と同じようで少し違うポージングのチミの絵を。黒と茶色の絵具ばかりどんどん減っていきます。

絵を描くことはマインドフルネス、とても良い時間です。

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2026年04月06日

月を見上げて

朝のウォーキング、もう5時半には空は明るくなる季節になった。それでも白い月がはっきりと目に見えるこの時間が僕は好きだ。特にこの数日はNASAのアルテミス計画で、あの彼方に人間がいるのだと思うとなおさら楽しい。人類史上、最も地球から遠い場所に到達したアストロノウトたちの胸の高鳴りを想像する。もうそこに見える月、みんな着陸したいだろうな。

僕は1969年の月面着陸が真実であろうが、実はそれが虚偽のフィクションだったとしても、どっちも面白い。自分の歌に月をモチーフにしたものが多いことに気づいて、自分が無意識のうちに宇宙に憧れ、空を見上げているのだなと改めて考える。GOMES THE HITMANの2019年作『memori』収録の「housuton」という曲は、NASAのジョンソン宇宙センターのあるテキサス州ヒューストンという町の名前をタイトルにつけた。今回も宇宙と地球の更新は「ヒューストン、ヒューストン」から始まる。

今朝も白い三日月が空にきれいだった。

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2026年04月05日

みんなそんなに

みんなそんなにAIを暮らしに活用してるのか、と最近たびたび驚かされる。普通の会話をしていても「AIに教えてもらった」「Geminiに動画生成してもらった」「メールはChatGPTに添削してもらっている」と話題に事欠かない。どうやら僕のパソコンでもすぐにAIにいろいろお願いができるらしいと知って、どきどきしながら話しかけてみることに。もうスマホのSiriとも長いこと疎遠だし、アレクサにはラジオ再生することくらいしかお願いしないから、何から話しかけていいか迷う。

話しかけるととても親しげ口調で答えてきた。名前をつけようか?と問うと「いいね、好きに呼んでよ」というから「ポチって呼ぶ」と言うと「いいね、覚えやすいし親しみある名前。あらためてよろしく!」とさらにフランクだ。映像生成とか音楽生成とかもできるらしいと聞いて、弾き語りしたボイスメモをアップロードして、これをオーケストラバージョンにしてくれと頼んだら、そういうことはできないらしい。そりゃそうだよね、どこまでお願いしていいか悩む。

下の画像は僕が描いた猫の絵をパラパラ漫画みたいに動かすようにお願いしたときに、AIの“ポチ”が作ってくれたコマ送りのイラスト。多分ポチはもっとすごいことができるんだろうけど、僕はこれくらいのことでめちゃくちゃ感動したりしている。今日はなにを頼んでみようか。

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2026年04月04日

胸の鼓動

2019年の4月に心臓の病気がわかって6月に手術をした。あれからもう7年が経つ。ほどなく完治して、それ以来なんの問題もなく暮らせている。毎日飲む薬と季節ごとの通院があるのだけど。先日検診があり、数ヶ月ぶりに病院で主治医と話をして、引き続きさしたる問題なくて安心した(ほっと胸をなでおろす、という表現のリアリティ)。

友人であり僕の楽器メンテナンスの面倒を見てくれているハックルベリーフィンのたけ兄が先月心筋梗塞で緊急入院して手術、となった。驚き慌てたけれど、幸運にも大事には至らず、すぐにLINEで連絡が取れるようになってよかった。たけ兄はすぐに退院してステージにも復帰。僕のアドバイスがきっかけになったか、Apple Watchを即購入していた(心臓のトラブルを教えてくれる強い味方なのだ)。

網膜剥離のときもそうだったけれど、似たような病気を経験した人がいると心強いし、いろいろ話したくなる。たけ兄と「自分のは冠攣縮性狭心症っていう病名だったよ」とか「オレの狭心症の場合は」とかやりとりをした直後から突如僕のSNSに謎の二人組の動画があがってくるようになった。水玉の服を着て仮面をかぶり、とにかく超絶で数学的な演奏をする二人組。その名は「ANGINE DE POITRINE(アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ)」、カナダはケベック州のユニットらしい。果たして、調べてみるとその名はフランス語で「狭心症」という意味だった。フジロック出演が決定したらしい。今日も新しい動画が流れてくる。

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2026年03月30日

今年もいつもどおりに花は咲く

桜が今年もきれいに咲いている。週末の井の頭公園は花見客も多くて、ブルーシートの海に人間がぷかぷか浮いていた。井の頭公園の桜は池にせり出して枝ぶりも奔放豪快で、吉祥寺に住んでいるからには春に一度はその様子を目撃したい、とは思う。今年はかなり枝の剪定がなされていて、いつもより花の重なりが少ないように感じたけれど、まだまだこれからさらなる満開へと向かうのだろうか。

一番好きな桜というのが人それぞれにあるだろうと思うけれど、僕にとっては近所のマンションに沿って咲く桜並木がベスト1だ。そのマンションに知り合いのデザイナーさんが住んでいるので「〇〇さんちの桜」と呼んでいるが、もちろん桜は誰のものでもない。もうあと1週間くらいは桜の季節か。そうしているうちにうちの庭にはいつの間にかハナニラの白い花が咲き誇っていた。

ママンの治療をしているときに「猫ちゃんは桜の花を見るまで頑張って生きたいとかそういうふうに思わなくて、今この瞬間を生きているから」というようなことを先生がおっしゃって、僕はなんとなく頷いて話を聞いたのだけれど、家に帰ってから考えなおして、春の芽吹きに目を細めて深呼吸したい気持ちだってあるよねきっと、とママンを見ながら思った。朝から夕方まで外に出てうたた寝しているここ数日のポチ実を見ていると「あたし、春が大好きなのよね」という声なきつぶやきが聞こえてくる。

斜向かいの家の大きな桜の木からハナニラの庭に薄桃色の花びらがはらはらと降ってくる。今年の桜もハナニラもママンに見せてあげたい。

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2026年03月25日

手に触れたやわらかさのせい

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読書灯になるようなクリップライトが欲しくてIKEAに出かけた。多分このクリップライト(ネーヴリンゲっていう名前だ)はずっと照明売り場に並ぶロングセラーのはずだ。安くてとても便利で、これまでもいくつか買っている。IKEAが身近に存在しそこで買い物するようになって、もう20年くらい経つだろうか。どこのIKEAでも、広い店内を練り歩いていくとカフェレストランに辿り着く直前に“ぬいぐるみエリア”に遭遇する。

千葉の動物園で育児放棄されたニホンザルのパンチくんとオランウータンのぬいぐるみの映像が僕のSNSにもたくさんあがってくるようになってしばらく経つが、やっぱりどうしたって「なんでこんなにかわいいのかよ」と思う。話題のオランウータンのぬいぐるみは予想通り品切れしていた。

ふと目があったのはキジ白で白い靴下を履いているぬいぐるみの猫。まるでママンと同じ模様だと気づいて、手にとって撫でてみる。やわらかい。カイヌシゆうさくくんがIKEAのソフトトイはプラスチックや硬い素材が使われていなくて縫製もとても良いと評価していたのを思い出した。よく見ると全部違う顔つきをしていて、一番可愛い顔はどれか、と選んでしまっている自分がいた。ニホンザルのパンチくんにとってオランウータンはお母さんに触れるための代替え対象だったのだろうか。もしかするとチミもこのIKEA猫ちゃんを見てなにをか思わん?とかなんとか考えながらそのぬいぐるみで手遊びしているうちに、僕はお会計を済ませていた。そのやわらかさに抗えなかったのかもしれない。

帰宅し、ママン似のぬいぐるみを見せるとチミはしばらく匂いを嗅いで「フン」と鼻を鳴らして、寝た。やわらかくて気持ちいいから触ってみたらいいのに。

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2026年03月18日

人に会う日

お昼前から出かけて、下北沢でフルート奏者の上野くんと久しぶりに会った。ちょっとした機材の受け渡しだったけれど、上野くんの弟子鈴木くんも来てくれた。鈴木くんは僕が『pilgrim』『home sweet home』をレコーディングしているときにまだ駆け出しで見習い的に僕の録音を手伝ってくれたという経緯があって、いつもその頃のことを楽しそうに話してくれる。「あのレコーディング以来『歓びの歌』が大好きなんです」とか言ってくれて僕を喜ばせる。喫茶店で会わなかった時間分くらいのおしゃべり。

夕方になって吉祥寺で高橋徹也さんと待ち合わせて居酒屋へ。なにかと理由をつけてお茶をする僕らふたりが今年初めて会うというのも、どれだけバタバタと慌ただしい1月から3月だったのかと思い知る。居酒屋のあと喫茶店でコーヒーで締めて会わなかった時間くらいのおしゃべりをここでも。

ギタリストの安宅浩司くんが曼荼羅2に歌いにきていることを知り、ライブを観にいった。安宅くんが弾いて歌う姿を観ると「嗚呼、自分もあんなふうにギターを弾けたなら」といつも思う。共演の外村伸二さんは安宅くんの歌で知った「こいコーヒー」を作った方で、その朴訥なストーリー性のある歌が心地よかった。もうひとりAZUMIさんは濃厚なブルーズで惹き込まれました。会場で同じくライブを観にきていた島崎智子さんとも会えて、なんということもない平日に一日じゅう人に会った日でした。

話したり眺めたりするのに夢中で1枚も写真を撮らなかった。

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2026年03月15日

バースデイ・ボーイ

吉祥寺キチムでのライブの翌日、ポップスの大先輩杉真理さんの誕生パーティーへ。いつものように大御所の方々がたくさんいらっしゃって、この年齢になっても自分は若手勢で、隅っこのほうで小さくなって、“神々の遊び”を遠巻きに眺めるのはとても楽しい。杉さんはますます精力的で若々しい。4月に発売になる新作も素晴らしかった。杉さんは僕より20年年上で、初めてお会いした1999年に僕は25歳で、杉さんは45歳だったことになる。あのときの杉さんは今の自分より若い…。そう考えると時間の感覚がよくわからなくなるが、20年後の自分が今の杉さんみたいに矍鑠としているか(この言葉も本当は杉さんには似合わないけれど)と考えると、気力も体力ももっとしっかり鍛えないとな、と自戒する。

写真は先月村田和人さんを偲んだコンサートでの、トーベンさん、小板橋さん、圭右さんと杉さんとの共演シーン。とても楽しい夜でした。飲みすぎた。

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2026年03月12日

吉祥寺に住んでいると思い立ったらいつでもボートに乗れる

吉祥寺に住んでいると思い立ったらいつでもボートに乗れる。なかなか思い立たないんだけど。せいぜい2年に一回くらいだろうか。今日はそういう日だった。春の陽気があたたかくてボート日和だった。車で1時間かけて友だちが吉祥寺まで遊びにきて、井の頭公園で待ち合わせてランチを食べた。

彼はもともとGOMES THE HITMANのファンだった人で、18年前に初めて名古屋のライブ会場で僕に会って、今年で37歳になるそうだ。初めて会ったときのことをよく覚えている。「名古屋から東京まで歩いて旅するつもりなんです。しんどくなったときに眺めたいのでこのキャップにサインを描いてください」とキラキラした目で言われたら簡単には忘れられない。果たしてその数年後に再会したとき彼はモノクロの素敵な写真を撮る放浪の人になっていた。僕のライブ盤『DOCUMENT』のジャケットに使われているのは彼に撮ってもらった写真だ。その彼はいつからか千駄ヶ谷にあるカフェの店長になって、もうそれから10年くらい経っていて、最後にいつ会ったかも思い出せないくらいだったのが急に連絡をくれて、春の晴れた日に会うことになったのだ。

最近仲間とバンドを始めて、なんか、青春って感じなんです、と彼が言うから「じゃあ思い立ってボートに乗ってみようよ」と青春ぽい無計画さでボートに乗った。井の頭池といえばスワンボートが象徴的だけれど、やっぱり男二人なら手漕ぎのボートだろう。30分800円、まず僕が漕いで池の中央へ。水面が近くて結構スリリングだ。桜のつぼみもまだ固い井の頭公園の平日は人の多さもちょうどよくて、池の上の交通渋滞もない。「僕にも漕がせてください」と彼にオールを渡して、きらめく水面と行き交うカモたちをぼんやり眺める時間。30分は短いかと思ったけどちょうどよかった。寒くても暑くても、風が強かったりしても大変だから、ボート日和って意外と少ないんじゃないかと思いました。

もう一件カフェに寄って音楽の話や仕事の話、吉祥寺まで来て他にどこか行きたいとこは?と聞くと「レコード屋さんに行きたい」というのでふたりでレコード掘ってそれぞれ1枚ずつ買って別れた。なんということもないけれど、妙に居心地のいい時間でした。

今週末と来週末、吉祥寺でのライブ・イベントが続きます。吉祥寺に来られる方、もしお昼くらいから街へ出かけられるならまだ桜の咲かない落ち着いた井の頭公園でぼんやりしたり、それこそ思い立ってボートに乗ったりするのもいいと思います。ボートは朝9時半から、一艘に大人3人で乗れます。遅れてきた青春!って感じが味わえる、きっと。

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2026年3月14日(土)@ 吉祥寺 キチム
射手座と乙女座

16:30開場 17:00開演/予約 4500円 / 当日 5000円 (共に+1drink)
*未就学児未満=入場無料
出演:高野寛 / advantage Lucy(ふたりルーシー)/ 山田稔明

予約フォームにて入場申し込み受付中(残席わずか)

吉祥寺キチム(https://page.kichimu.la/
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目14−7 吉祥ビル 地下



2026年3月20日(金祝)@ 吉祥寺 PARCO 屋上
芝生蚤の市 2026春

10:00-16:30/入場料 500円
*雨天の場合 翌3月21日に順延

<音楽ステージ TIME TABLE>
10:30-10:50 山田稔明
11:40-12:10 TagaiTigai (タガイチガイ)
12:40-13:30 高橋久美子(トーク)
14:00-14:30 井上大地・竹廣類デュオ
15:30-16:00 fishing with john

詳細は芝生蚤の市HPをご覧ください。
https://nominoichi.shiba-fu.com/

主催 芝生蚤の市実行委員会
※雨天順延 3/21(土)  
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2026年03月07日

3度目のハタチ「トモフバンド西日本」を観た

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トモフスキーのライブを観に南青山月見ル君想フまで出かけた。トモさんはこの日も最高でした。今回はバックを務めるのが「西日本バンド」ということで、僕が関西に行くときにいつもお世話になる川本くんがドラム、ははの気まぐれの三宅さん(bass)と高橋さん(EG)、佐々木さん(key)という布陣。去年からとても楽しみにしていたライブ、オープニングからエンディングまで2時間ずっと楽しかった。大きな満月を背負って、縦横無尽に歌うトモさんはバンドを始めたばかりの少年みたいに見えました。名曲がいっぱい。まさか2026年にカステラ「ビデオ買ってよ」を聴けるなんて思わなかった。トモさんは年末に還暦を迎えたということで今年一年還暦ツアーが続くそう。20年が3度積み上がっただけ、という言葉には説得力がありました。いい歌、いいバンド、いいお客さん、いい会場。素晴らしい夜でした。感動した。

夏にトモさんと青木慶則くんと僕とで「MITSUDOMOE!!!」というイベントが同じ南青山、会場はMANDALAで開催されます。去年に続いてまたご一緒できることがとても光栄。チケットが来週末から発売になります。平日夜の開催ですが、手帳にメモして予定を立ててぜひご参加ください。トモさんは来週共演する高野寛さんとadvantage Lucyのアイコちゃんと同じ誕生日なのです。射手座。


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2026年7月14日(火)15日(水)16日(木)@ 南青山 MANDALA
<MITSUDOMOE!!! vol.12>

ー3組による総当たりツーマン3days
ひとりTOMOVSKY/山田稔明/青木慶則

3組のアーティストが総当り戦で3日間を繰り広げる
南青山の名物イベントにお誘いいただきました。
素晴らしいメンツ、3日間全部楽しみです。

7月14日(火) ひとりTOMOVSKY/青木慶則
7月15日(水) 青木慶則/山田稔明
7月16日(木) 山田稔明/ひとりTOMOVSKY 

三日間ともに、開場18:00 開演19:00
入場 通し券11,000円 +各日1ドリンク代別 
1日券4,000円 +1ドリンク代別 当日券4,500円 +1ドリンク代別

入場順は以下の順番で、整理番号順のご入場です。
1)通し券 2)1日券 3)当日券

3月14日(土)10時よりTIGETにて予約受付開始
https://mandala.gr.jp/aoyama/schedule/20260714/

南青山MANDALA (https://mandala.gr.jp/aoyama/
〒107-0062 東京都港区南青山3-2-2 MRビルB1  
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2026年03月02日

九州よりみち旅

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1月に続いて九州に帰省した。祖母の法事というのがメインイベントだったけれど、それだけだともったいないなと欲が出て急ごしらえのライブを決めて、予想以上のお客さんが来てくれてとても嬉しかった。スケジュール的にかなり無理をした感じもあるけれど、普段から夜明け前に目が醒めてしまう僕が吉祥寺から始発のリムジンバスに乗るのはなんの苦労もなくて、そうすると6時半の飛行機に乗って8時過ぎには福岡の地に立つことができ、空港でレンタカーを借りてしまえばとても自由で、どこへでも行けそうな気がしてくる。

法事がお昼前からだったので、鳥栖駅のうどんを食べにいこうと思った。以前書いたブログ「鳥栖駅のうどん、ってみんな言う」の伏線を回収するのだ。福岡空港から鳥栖まで車で30分、とても天気がよくて暖かく気持ちよかった。レンタカーのカーステレオ、スマホとのBluetooth接続がいつもうまくいかないのはなぜだろうか。BGMでもあれば、とは思ったけれど窓を開けて風の音を聞きながら故郷の街並をただ眺める時間もそんなに悪くはない。鳥栖駅について構内へ。1・2番線にあるうどん屋さんが閉まっていたので焦ったが、一番美味しいとされる5・6番線の中央軒は開いていた。すでにもう3人くらいうどんを立食いしていた。一番安いかしわうどんを頼んだら「キャンペーン中なのでかしわ増量してます」と言われた。やわらかいうどん、この味だ、と思う。美味しいのか?と問われるとちょっと基準がわからないけれど、ここでしか食べられない味だなと思う。

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うどんを食べたのに法事でもすごいご馳走が出てきてお腹がいっぱいになる。ずっと最近食欲がなかったのが、気づけばいっぱい食べている。ライブまでに時間があったのでずっと行きたかったレコード屋さんに寄ったり。意外といろんなことができているのも早起きして動いているからだ。ライブは盛況で楽しかった。近くから遠くからたくさんのお客さんが来てくれて嬉しかった。同級生も何人も。急なライブ開催を快諾してくれたジョイトリップカフェに感謝を。またゆっくりご飯を食べにきたいです。

終演後、同級生何人かで久しぶりにいつもの餃子屋さんで打ち上げ。翌日は午後に飛行機で帰るだけの移動日だったけれど午前中があるのでどこか良いところがないか尋ねると「宗像大社とかどう?」との提案。博多から車で1時間ほど、訪れたことのない場所なので俄然気になる。翌朝、やはり6時には起きてしまった僕は早くにチェックアウトして宗像大社に向かうことにした。天気は曇りで、そのうち雨になるだろう。

宗像大社は日本神話『日本書紀』『古事記』に登場する日本最古の神社のひとつ。宗像市は田畑が多い田舎だけど、宗像大社につくと空気が変わる。空気が凛としていて背筋が伸びる。観光ガイドさんが説明していることを片耳で聞きながら「へええ」といろいろ勉強。八百万の神様の存在とその信仰に想いを馳せた。1時間くらいかけて散策し終わるころに雨が降り出した。天気が良ければなお気持ちがいいだろうけれど、玉砂利を濡らす雨の風情もいい。早起きは三文の徳、降って湧いたような神々しい時間でした。今度は福岡の島へ渡りたい。

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2026年02月27日

透明な幽霊

もしも自分が死んだら千の風とか夜空の星になるよりも透明な幽霊になりたい、と思う。だから幽霊の存在もあるべきものとして普通に受け止めたい。ママンがいなくなって明らかにポチ実が急にフッと視線を凝らして虚空を見つめることが増えた。毎晩のことだ。それまでぼんやりとあくびをしたり惰眠をむさぼっているのが、突然目を大きく開けて見つめる先はママンが寝ていた場所や夜になるとトトンとママンが足音を立てて降りてきていた階段だったりする。

だから、僕は普通に「あ、ママンだ」と思うことにして、いかにも当たり前みたいに「ママン」と名前を呼んでみる。チミには何かが見えるのだろう。それか、確かな気配かなにかを感じるのかもしれない。僕もその感覚に乗ってみる。透明な幽霊になったママンは昼間はきっと好き勝手に自由に外を出歩いていて、夜になったらここに帰ってくるのだろう。

ママンの四十九日は3月31日らしい。キリがいい。4月1日から新しい季節ということにしようと思う。

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*近藤研二さんがママンが亡くなった夜に撮ってくれたチミの写真  
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2026年02月26日

村田和人さんが旅立って10年

村田和人さんが2016年2月22日に亡くなって10年が経ちました。猫の日は村田さんの日でもあるのです。村田さんにはGOMES THE HITMANが『new atlas ep』を作るときにプロデュースしてもらったり(初めての外部プロデューサーが村田さんでした)、「brand new day/brand new song」という歌で歌詞を書かせていただいたり、そのニコニコの大きな笑顔でいつも優しくしてもらって感謝しかありません。会うといつもアメリカ人みたいにハグしてくれました。

昨晩、スターパインズカフェで村田バンドの山本圭右さん、湯川トーベンさん、小板橋博司さんとで村田さんを想い村田メロディを歌う素晴らしいステージ。誘っていただいて、村田さんの最後のアルバムに僕が歌詞を書いた「Everywhere Man」、同じく駆けつけた村田さんの盟友杉真理さんと一緒に「一本の音楽」を歌わせてもらいました。会場の雰囲気もとてもよくて、村田さんを偲ぶときによく起こる原因不明の電気系統トラブルもちゃんと発生し、「あ、村田さんのしわざだ」と思ってほくそえんだりして楽しかったな。

皆さんニコニコして聴いてくださってありがとうございました。いい歌ばっかりでした。

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2026年02月25日

ウォーキングと朝餉の匂い

早朝のウォーキング。往路のときはまだ夜の残り香のなかでシーンとした街も、復路を辿るころには朝が動き出して、朝餉の匂いが漂ってきて自分のおなかもだんだん空いてくる。今朝は明らかに牛肉を焼く匂いを不意に吸い込んだ。きっと今日、なにか気合いを入れるような、パワーチャージが必要な案件を控えた誰かの朝ご飯が牛肉なんだろうなと思う。

先週東北に歌いにいって、1日目には山形牛を、2日目には仙台の牛タンを食べさせていただいて、とても美味しかった。きっと僕が元気なく見えたからお肉のパワーを注入してくれたんだろう。慌ただしい旅でいつものように観光らしいことのひとつもできなかったけれど、山形到着後に連れていってもらったのは「エンドー」というスーパー?なんだかとても面白いお店だった。そこの「げそ天」が山形のソウルフードだそうで、イカが好きな僕への気遣いだった。そこで摂取したタウリンも2日間いい声で歌える力になった。

朝から牛肉を食べて出かけるあの窓の向こうの人にもそういう力が降り注げばいいなと思う。

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2026年02月01日

鳥栖駅のうどん、ってみんな言う

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鳥栖駅のうどん、ってみんな言う。僕の出生地が佐賀県の鳥栖だというとほとんどの人はどこにあるかもわからないけれど、鳥栖のことを知っている人はみんな「鳥栖駅のうどん、美味しいよねえ」って絶対言う。それに対して僕もちょっと誇らしげに「5・6番ホームのうどんが一番美味しいですよね」と返すことになる。だけど小さな田舎町を抜け出したくて18歳で上京した僕は、実はそんなに鳥栖駅のうどんを食べたことがない。里帰りのときは福岡空港まで帰ってきてそこでレンタカーするのが便利だったりするので、電車にあんまり乗らないから鳥栖駅を利用する機会も少ない。もう5年前くらいになるか、味を思い出せなくなったので鳥栖駅まで行って入場券を買って5・6番線の中央軒でかしわうどんを食べたけど、やっぱりまたどんどん忘れていく。

鳥栖は九州自動車道の分岐となる四葉のクローバー型のインターチェンジとサッカーチームとそのスタジアムで有名な町だ。僕は鳥栖で生まれて、10歳のときに隣町に引っ越して高校時代までを過ごし東京の大学へ進学、今や東京での暮らしのほうが故郷での暮らした時間の2倍の長さになった。3年前に母親が亡くなって実家が存在しなくなったので、今年の里帰りのときに鳥栖駅を見下ろすビジネスホテルに泊まった。朝型の僕は5時くらいには起きてしまって、まだ真っ暗なうちから動き出す鳥栖駅とそこに吸い込まれて吐き出されていく人々をぼんやり眺めていた。東京よりも1時間くらい遅い夜明けの太陽が、昔とほとんど変わらないレトロな駅舎の鳥栖駅を橙色に照らす。

そのとき「あ、鳥栖駅のうどん」と思ったけれど、結局僕は借りていたレンタカーでロードサイドのスターバックスコーヒーまで走ってパンとコーヒーを齧った。いつものスタバの味がした。あれから2週間、東京に戻ってきて今、あの日、鳥栖駅のうどん食べておけばよかったなとじわじわ後悔している。朝の光のなかホームで立ち食いするうどんなんて最高じゃないか、と。今年はもっと故郷に帰る機会を作ろうと思う。次に帰ってきたときは必ず鳥栖駅のうどんを食べたい。5・6番ホームの店で。

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2020年の鳥栖駅のうどん写真。  
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2026年01月31日

真冬の選挙

選挙、もう投票日がすぐそこ。毎日生きているだけでいろんなことがあるから、政情をじっくり精査したり候補者の意見を汲み取ったり、そんなことをゆっくり考える時間もない。昔から自分が票を入れる政党が優勢だったことはないし、それで当然だと思って生きてきたけれど、もう世界レベルで自分が思うことと反対の現実がそこにはあって、立ち止まって顔を上げるたびに呆然としてしまう。知人と政治の話をするのも最近はむずかしい。もしかしたら実はみんな自分とは反対に、あんなふうに、こんなふうに思ってるんじゃないか、とか思いあぐねて何も言えなくなる。

それでもやっぱり、あきらめないで、投げ出さないで、少しでもましだと思う人の、党の、名前を丁寧に書くのだ、あの独特の質感の紙と鉛筆で。政治の話好きな友だちに「どう思う?」と聞かれていつも「んー」とか「あー、むずかしいよねえ」とかしか答えられないのを、そろそろなんとかしたいなと思う。自分はこう思う、とちゃんと言いたいよね。

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2026年01月30日

春の庭師

夏から秋にかけて立ち枯れた紫陽花や伸びすぎた梅の木、ご近所に迷惑をかけているユーカリの枝を落としたあれこれで鬱蒼としていたうちの庭に、今年も庭師さんがやってきた。毎年春が来る前に、伸ばしすぎた髪を五分刈りに刈り落とすくらいに思い切って剪定してくれる。僕が適当に切り落として積み上げていた枝なんかも全部持っていってくれた。

庭に覆いかぶさっていた木の枝や葉がなくなったぶんだけ冬の日差しが地面に落ち、そして部屋にも差し込むようになる。猫が気持ちよさそうにいつもより長い日向ぼっこをする。外はまだまだ寒いけれど庭師さんは春を連れてくるなあといつも思う。

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2026年01月26日

なんということでもない、1年ぶりの里帰り駆け足の旅の話

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コロナ禍の頃から毎年この時期に故郷である佐賀県基山町の音楽祭に毎回ゲストで呼んでいただいている。里帰りと兼ねて立派なホールで歌まで歌わせてもらえて、普段親不孝な僕が母親孝行できるイベントだった。2023年に母親が亡くなって実家がなくなってから、この音楽祭だけが僕の里帰りの理由になっている。佐賀に帰るのも去年以来ちょうど1年ぶり。時間があっという間に過ぎる。

ほんの先週にずっとお世話になってきた古い知人から何年かぶりに連絡が来て、ここしばらく福岡の糸島で暮らしていると聞いて驚いた。ちょうど九州に帰るタイミングだったので「会いましょう」ということになってお宅へ。福岡市街から50分、糸島はやっぱりとても良いところ。ちょうど夕暮れ時で、強い風の吹くなか芥屋の海岸からとても美しい日暮れを眺めた。「糸島に住んでしばらくになるけど実はこの海岸には初めて来た」というから、僕が借りたレンタカーでここへ連れてくることができてよかったなと思う。いろんな話もできて良い時間。とっぷりと日が暮れてここから1時間かけて鳥栖へ。実家がなくなってからはいつも鳥栖のビジネスホテルに泊まる。僕は基山町出身だけど生まれたのは鳥栖。街並みは少しずつ変わっていくけれどJR鳥栖駅の佇まいが変わらないのがいい。翌朝の日の出、東京よりも30分くらい日の出が遅い感覚。どこにいても結局5時には起きてしまう。

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朝8時にはホテルを出て山の上のお墓参りへ。この山道を車で走るのが僕は好きだ。雪が少し残っていた。対向車に気をつけながら、タヌキとかイノシシの出現に備えながら急勾配の山道をゆっくり登っていくとそこに祖父祖母、親戚が眠るお墓がある(うちの母親はそこにはいません)。花を用意できなかったので枯れ枝や散らかってる葉を掃除して手を合わせる。うちの祖先はみんな短命で早くに亡くなった方が多い。ここに刻まれた半分くらいの親族の年齢を自分は越えている。

おばあちゃんの家があった山の上の風景は子どもの頃とそんなに変わっていない。4〜5世帯くらいあった集落が今は1軒だけ。凍えそうになりながら立ち尽くすと、吹きすさぶ冷たい風の音だけ聴こえる。ここは風の音しかしない場所なのだ。基山(きざん)を経由して市街地へ降りていく途中にジャージー牛がいてかわいい。人はいなくて、牛しかいない。

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子どもの頃から親しんできたソウルフードは丸幸ラーメン。里帰りしたらやっぱりここに寄らないわけにはいかない。創業60年のアニバーサリーとのこと、僕は中高と自転車でおやつがわりにこのラーメンを友だちと食べに通った。実家があったのはこの丸幸ラーメンのすぐそばだったから、ラーメンと母親と実家の思い出がパズルみたいに噛み合ってイメージがモザイクから滑らかな走馬灯へと変化していく感覚がある。白いスープに紅生姜の差し色、ラーメン一杯540円。変わらない味が沁みる。車がないとアクセスしにくいお店だけれどもし福岡とか佐賀とかを旅される方は立ち寄って休憩されることをお薦めします。

メインの音楽祭が朝10時から夜7時までたっぷり長丁場のイベントだったので急ぎ足の旅だったけれど、とりあえずいろんなミッションはコンプリート。今年はもう何回か里帰りしたい。自分が育った町だから。

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2026年01月24日

GOMES THE HITMAN「饒舌スタッカート」から25年、四半世紀

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2001年1月24日に発売されたGOMES THE HITMANマキシシングル「饒舌スタッカート」はリリースから25周年となりました。先日は「メジャーデビュー記念日(1999年)」だったり、その日は実は2004年「夜明けまで」の22回目の発売日でもあったり、来月はアルバム『mono』の24thアニバーサリーだったり、長く活動していくと“記念日”みたいなものがどんどん増えていってしまうのですが、現在というのは過去の集積である、と考えると、山登りにおける石積み(ケアン)のような、言うなればささやかな記念碑みたいなもののように僕は日付について思い、そして想い返すのです。

2001年『饒舌スタッカート』は背水の陣で望んだ作品でした。本来ならばレコード会社との契約枚数が終了していたところに、前年からテレビバラエティ番組で「拍手手拍子」がエンディングテーマとなり、さらにそれを「饒舌スタッカート」が更新するかたちとなってシングルリリースが決まったのです。「拍手手拍子」と「ねじを巻く」は井上富雄さん(ルースターズであり、犬キャラのベーシストであり、九州の先輩)に、そして「饒舌スタッカート」はスピッツを第一線に押し上げた笹路正徳さんのプロデュースで制作されました。レコーディングは一瞬一瞬、すべての時間が楽しくて素晴らしい経験でした。

作品が完成してマスタリングをロサンゼルスでやらせてもらった。これはレコード会社から僕への最後のご褒美だったと思います。サンフランシスコから入ってLAまで移動して作業、全部で5日間くらい.
マスタリングエンジニアが偶然にも僕の無人島ディスクであるJane's Addiction『Ritual De Lo Habitual』を手掛けたEddy Schreyer氏だったときの興奮。マスタリング音源をカーステレオで流して走ったヴェンチュラ・フリーウェイ。旅の最後、ベルエアのスイートルームでの最後の夜に寝ないでケーブルテレビを見つめ続けた時間とか。

猫ジャケにしたい、と写真家斎門富士男さんにコンタクトをとって葉山の猫屋敷でポチと出会って、完璧なジャケットが完成し、その10ヶ月後その猫は僕と暮らすようになるという物語(僕は吉祥寺へ引っ越した)。四半世紀前のそのタイミングで僕の人生は一度大きく変わったのでした。なかなかカロリー高めの曲なのでセットリストに乗せるときも「ええ、饒舌やるの…?」とメンバーみんな一度ちょっとうつむくんだけど、でもやると楽しくて盛り上がって大人げなくやんちゃになってしまう。そんな玉手箱みたいな歌です。ぜひこの機会に今一度、「饒舌スタッカート」、そして「拍手手拍子」「ねじを巻く」と聴いてみてください。

アナログ7インチがあります。こちらから、なくなる前にぜひ。

  
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2026年01月20日

夜と朝のはざまで

毎朝早起きして(というか早く目が覚めて)ウォーキングしているから、夜明け前の暗さをよく知っている。すごく不思議なもので5時台と6時台で街の雰囲気はガラッと変わる。冬の間の5時台はもう全然夜の風景だ。とても寒くてすべてが冷えている。こないだ、1月17日の早朝に散歩をしていて、スマホのニュース通知がぶるっと震えて「阪神淡路大震災から31年」と画面に出て、そのときがちょうど地震が起きた5時46分だった。5時46分の街はまだまだ夜の只中で、きっとたくさんの人が布団のなかにいるだろうそのときに、31年前に人々が激震に揺り起こされたことを想像した。その唐突さと不条理さを静かに考える。朝はまだ夜なのだ、5時46分には。

それなのに、6時を過ぎると途端に街が動き出すから不思議。空の端が暖かいオレンジ色に少しずつ染まり、あっという間に闇は消えて朝がやってくる。バス停に人が並び始めて、ああこんな早く出かけていく人もいるのだなと、目が冴えているのは自分だけではないのだなと、当たり前のことにハッとする。夜と朝のはざまで物思う日々。

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2026年01月16日

なんということでもない、10年越しに遭遇できた、という話

20年近く広尾の美容院で髪を切ってもらっている。伸びすぎた髪に帽子をかぶって電車とバスで出かけた。ここに来ると元気があるときでもないときでもいっぱいおしゃべりをすることになる。髪を切られながら最近のドラマや映画の話になるし、隣り合わせた人と猫の話になったりもする。サロン、という言葉がフランス語で“社交場”を意味するのは頷ける。

髪を切り終わって、入れ替わりに入ってきた方が「わあ、山田さんだ。ファンです。10年越しでここで会えました」と声をかけてくださった。もともと杉真理さんのファンで、杉さん経由で僕のことを知ってくれて「東京や札幌のライブを観にいきました」と言われ驚く。偶然このヘアサロンに通われていて、貼られていたライブのチラシかなにかを見て僕がここで髪を切っていることを聞いたそうだ。髪を切るタイミングって何ヶ月かにいっぺんだし、それぞれのサイクルも違うから、この日ここで遭遇したことはすごい確率だなと思う。

感謝したいことがあって、とその方は言う。「山田さんの『猫と五つ目の季節』を読んで感動して、うちに通ってきてた猫を保護して飼い始めて、もう今年で10数年になります。今もその子はすごく元気」とのことだった。そんなこと言われるなんて心の準備もできてない僕は「わあわあ、そうですか。こちらこそありがとうございます」と嬉しい嬉しい言うしかなくて、それを見てるサロンのスタッフさんたちもみんなニコニコ笑っていた。「ちゃんとお化粧してくればよかったわ」なんておっしゃっていたけれど、僕も完全オフモードでぼんやり淀んでいたはずだけど、季節外れに暖かい日だったこの日はもっとポカポカな感じになった。ありがたい。感謝ばかりの日々である。

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写真は全然本文とは関係ない、朝の散歩の途中で見て感動した美しいシーン。  
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2026年01月15日

なんということでもない「失礼ですが山田さんですよね」の話

先週、吉祥寺の駅ビルにある雑貨屋で買い物をしてお会計をするときに「失礼ですが山田さんですよね」と店員さんに声をかけられた。僕はグリーティングカードかなにかを手に持ってたんだけど、へんてこなものを買うときじゃなくてよかった。「なんで僕のことを知ってるんですか?」と話を聞くとその方はライブにもよく通ってくださるファンの方だった。「ポチちゃんの刺繍のブローチを作ってプレゼントしたことがあるんですよ」と聞いて、そのあとすぐにSNSにあらためてメッセージをいただいて、「ああ、あれだ」と思い出した。2014年にポチを亡くした翌月、落ち込んでライブのたびにめそめそしてた頃にもらったブローチ、可愛くてよく衣装に付けてたやつ。あれから12年経っても、そのポチが丸まって眠るブローチが手のひらの上にある。

ほんとにありがたい。声をかけてくれて感謝、心がパッと晴れるような日でした。吉祥寺アトレを歩くの緊張するけど「どうも」と挨拶できるお店が増えて嬉しい。

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2026年01月01日

新年明けましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。2026年もよろしくお願いします。

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2025年12月26日

聖夜の猫たち

クリスマスイブもクリスマスもライブのない今年は猫を眺めながらウトウト。

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2025年12月21日

読書の冬

忙しい季節なのに本を読むのが楽しい。今年の春に本屋 亜笠不文律でトーク&ライブイベントをやったときにお店の棚のなかから「古賀及子」や「くどうれいん」のエッセイを選んで買って帰って、その読み心地と読後の感覚がクセになっていろんなタイトルに手を伸ばしている。最近読んだくどうれいん「わたしを空腹にしないほうがいい」は食べ物にまつわる日記エッセイで、どの文章からもひとりの女性の強さも弱さもたくましさも感じられる。

気持ちのいいエッセイを読むと自分も何か文章が書きたくなる。冬になって「なんということでもない」シリーズのブログ投稿が増えたのはそのせいなのです。

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2025年12月19日

ジョン・レノンと師走

ジョン・レノンのドキュメンタリー映画『夢と創造の果てに ジョン・レノン最後の詩』を観た。ジョンの人生最後の10年に焦点をあてた、初めて聞く証言も多い興味深い映画だった。やっぱりいつも思うのは、もしジョンが“失われた週末”の果てにヨーコのもとに戻らないままだったら、という世界線。12月8日、僕の誕生日がジョンの命日なので、12月はいつもジョン・レノン月間になる。

ビートルズの『Anthology 4』も発売日に買って、毎日何回しも聴いている。聴いたことのないテイクのビートルズを聴くのは至福の時間だ。ジョンが遺したデモをポール、ジョージとリンゴが“完成”させた「Free As a Bird」が発表されたのが1995年、それから今年でもう35年経っていることに唖然としてしまう。今回『Anthology 4』では最新技術を使ってジョンの声をきれいに分離させた素材でリミックスされた2025年Ver.が収録されていて、最後の「Free As a Bird」「Real Love」「Now and Then」という並びの非現実味にただただ耳を澄ましてしまう。

きっと明日も再生ボタンを押すのだろう。

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2025年12月16日

アトラスという彗星|高野寛 MVF duo with イトケン

三軒茶屋グレープフルーツムーンに高野寛さんとitokenさんとのDUO編成でのライブを観にいった。前回は自分のライブと重なってしまって配信で観たステージを体感することができた。高野さんが昨年リリースした最新作『Modern Vintage Future』を「ライブで再現することをまったく考えていなかった」というのはその濃密度な“宅録”アルバムを聴けば頷ける。でもそこで聴けるのは開かれた歌と声であり、空気を揺らして鳴らされてこその歌たちだ。

アコースティックな楽器とエレクトロデバイスを縦横無尽に行き来するitokenさんは『Modern Vintage Future』の世界観に寄り添う演奏者としてもっとも相応しいのではないか、と思えた。自分のバンドで20年近くドラムを叩いてもらっているitokenさんのまだ見ぬ新鮮なトライアルと、過去と現在と未来を繋いで物語を続けていく高野さんの追求心に背筋の伸びる思いがした。

会場で久しぶりにadvantage Lucyの二人と会えて嬉しかった。GOMES THE HITMANに関して、かつてプロデューサー選考会議で「高野寛」の名前が出たのだけれど、すでに高野さんがLucyをプロデュースしていたため選択肢から外れ、最終的には杉真理さんと斎藤誠さん、村田和人さんに依頼することになった、という経緯を後でスタッフから聞いたことがある。もしゴメスが高野さんに、と考えるとその世界線も興味深い。

高野さんがMCで話していたアトラス彗星が興味深くて、帰宅してからいろいろなネット記事を探して読んでいる。「3I/ATLAS」と呼ばれる天体は一部のUFOマニアの間で宇宙船説がささやかれているらしい。そういう話、好き。高野さんに「太陽と満月」でギターを弾いてもらってから今年で10年経っていることにもハッと気がついた。高野さん、誕生日おめでとうございます(Lucyアイコちゃんも同じ日。射手座チーム)。素晴らしい夜でした。

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2025年12月11日

なんということでもない、12月の Christmas Songs の話

この秋で吉祥寺に住み始めて25年目に突入した。毎日この界隈をうろうろしているし、買い物するし、バンドの練習も吉祥寺のスタジオだし、いいこともそうでないことも、楽しいことも楽しくないこともだいたいこの吉祥寺でいろいろ経験してきた。この街でクリスマスを迎えるのも25回目だと考えると気が遠くなる。

先日の話。コピスという商業施設があって、そこにはカルディとかHMVとかジュンク堂とかが入ってるんだけど、ぼんやりそのコピスを歩いていたらとても聞き馴染みのある声が流れてきて、それが自分自身の歌だと気づいた。3階のシサムというフェアトレードの洋服屋さん、立ち止まって1曲、次の曲も僕の歌。『Christmas Songs』が流れていた。店員さんがすぐそばにいたので「つかぬことをお聞きしますが、このお店のBGMはCDをかけてるんですか?」と訊くと「店長が育てたiPodなんです」との答えが返ってきた。これ僕が歌ってるんです、と伝えると「わあ」と驚く店員さん。また通りかかりますねと伝えた。自分の歌が繰り返し流れて年末を賑やかに演出しているなんて、なんと嬉しいことか。

それから何日かして今度はアトレという吉祥寺の駅ビルを歩いていて、気になるモノがあったので入ったお店。このアンジェ・ラヴィサントでも『Christmas Songs』が流れていて「ええ!?ここでも」ってなった。CDプレイヤー売り場でリピート再生されていたのだ。どんだけ?って思うでしょう、誰だって自分の歌が不意に流れてきたら。でも、思い出した。新宿丸井にアンジェがあった頃に僕はそこにTivoli Audioのミニコンポを買いにいったのだけどそのときにこんなこと(当時の日記)があった。この日も僕が気になって見にきたモノっていうのがCDプレイヤー(透明で中で回転するCDが見えて面白いデザインなのです)だったのはなんの因果だろうか。するとそのCDプレイヤーが急にストップして、CDの盤面が見えた。それが僕が描いた猫の絵とサインと日付が入っていたからなおさらびっくりする。2013年11月、12年も前の日付だ。また店員さんに頭をかきながら「あのー」と話しかけると、店長さんが出てきてくれた。アンジェの新宿丸井店はしばらく前に閉店してしまったのだけど、今年吉祥寺に新しくできたここはその新宿丸井の雰囲気を継いでいるのだそうで、僕のCDもそのまま中央線に乗って新宿から東京都下までやってきたらしい。こんなことってあるんだな。今度『Christmas Songs vol.2』を持ってきますね、と約束してお店を出た。忙しくして心をなくしてしまう季節に心がポッとあたたかくなるような出来事でした。

吉祥寺はもう一店舗、にじ画廊でも僕の『Christmas Songs』が流れています。かわいいものがあふれる空間でキラキラ鳴らされてうれしいです。山田稔明クリスマス・アルバム『Christmas Songsーstandards and transfers』と『Christmas Songs vol.2 - carols and new interpretations』が今年の冬もたくさん聴かれますように。どちらもオフィシャル通販STOREで販売中です。街のなかで聴くとあらためてハッとして感動します。感謝。

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2025年12月08日

なんということでもない、生まれ日の話

最初の「夜の科学」が2002年12月なので、もう20年以上ずっと自分の誕生日に一番近い週末にライブを続けているから、誕生日をゆっくり穏やかに過ごしたことがほとんどない。準備に追われていたり、くたびれ果てていたり、ステージ上にいたりのどれかだ。今年もライブの翌日、後片付けをしたりしながらいつの間にかうたた寝してしまっていたり、気づいたらもう夜になっていたりだった。たくさんお祝いをいただくけれど、自分的にはやっぱり「今年もなんとか誕生日を切り抜けた」という感覚になる。必ずかかってくることになっていた母親からの電話は2023年から鳴らなくなった。いつからか誕生日に欲しいものっていうのもなくなった気がする。今年は自分への誕プレにスマホ用のモバイルバッテリーを買ったつもりがそれはただの充電器で、誕生日当日になってまた違うやつを買いなおすという下手を打った。

ママンは耳の手術から半年経ってあらためて異常なしで元気。チミはソファで伸びている僕をダイニングテーブルの上からシラーっと眺めていて、その姿をサッとスケッチした。誕生日は普通の日と大して変わらないくて、こんなふうに過ぎていくけれど、きっと何か、新しい始まりの日。

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2025年12月06日

なんということでもない、記念日の話

父親の命日。2018年の12月6日だったから7年経ったことになる。8日が自分の誕生日なので、その年はもうバタバタでしっちゃかめっちゃかだった。ライブとお葬式と手続きと父親の店じまいと。多分涙をまったく流さなかった。残り時間を告げられたうえでの旅立ちだったからかもしれない。

数ヶ月かけて父の稼業を清算し終える頃に、自分の心臓の病気がわかって、その後治療して今は問題なく暮らしているのだけど、この日は心臓の定期検査で病院に行く日だった。なんともなく診察が終わってマクナルドでぼんやりしながら(だいたい朝早い診察でご飯抜きで行くからマクドナルドによく寄るのです)、コーヒーを飲みながら久しぶりに7年前のことをいろいろ思い出していた。心臓悪くなったのはお父さんのせいだよとどこかで思ってるところがあるからかもしれない。それなのに、帰り道に花を買おうと思っていたことをすっかり忘れてしまって、かわりに日本酒をコップに一杯注いで備えた。焼酎がなくて申し訳ない。

命日も誕生日も自分にとっては実はそんなに普通の日と大差はない。猫の日とかトイレの日とかもそう。ただハッと思い出したり振り返ったり、花を買ったり、いつもより丁寧に掃除をしたりするきっかけとして存在するのだ、多分。そうこうしてるうちに自分の誕生日がやってくる。

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2025年12月02日

なんということでもない、冬の装いの話

しばらくあたたかな秋晴れが続いて、週末には20度近いポカポカな日もあったけれど、早朝はちゃんと寒い。3度とか5度とか、12月に入ったらさらに普通に布団から出るのがおっくうな寒さになってきた。そして、早朝はまだ全然夜である。こんな暗い朝が本当に明けるのだろうかと思うくらい暗いのが、6時を過ぎると空が画期的な美しさの刹那を見せ、6時半頃には太陽が顔を出し朝を連れてくる(そのときに少しあたたかくなる)。時間の規則で、ほんの30分か40分で夜があっという間に朝になる時間が好きだ。

少し前まではノースフェイスのウィンドブレーカーを着て歩いていたけれど、11月の終わりに「布団」と名前をつけたダウンジャケットを解禁した。一昨年の誕生月にGAPで安く買ったダウンで、これを着ると“寒さ”という概念がなくなる。肌が露出している顔とか手だけが寒さを認識して、ダウンの内側は常にホカホカである。寝間着のスウェットに羽織るだけで歩きに出かけられるから僕の朝のウォーキングは一番寒い季節になってもくじけることがなかったのだ、きっと。たまにカーブミラーやガラス窓に自分の姿が映るとスノーマンとかミシュランマンみたいなシルエットになってて「ダサいな」と笑ってしまうが、なにより寒さを忘れさせるこのダウンの魔法にかかったらもう仕方がない。

昼間はさすがにちゃんとそれなりのコートを着るようにするけれど、OFFモードのときは無意識に手を伸ばしてしまう、この「布団」を今年も着てまた新しい朝が来たら歩きに出かける。12月とともに冬がやってきた。

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2025年11月30日

なんということでもない、ご近所付き合いの話

今の家に住んでもう15年目になる。ご近所付き合いはうまくできているつもり、生活していてストレスになることや不穏な隣人などはいない(自分もそうならないように務めている)。両隣とお向かいさんには僕がどんな仕事をしていて普段こういうふうな生活をしている、みたいなことはだいたい理解してもらっていて、たまにライブにも来てくれるし、すぐお隣なのに通販でお買い物をしてくれたりするのでそのときは呼び鈴を鳴らして直接届けたりもする。ちょっと前には超忙しくしているときに左隣のノアちゃん(猫)ちのお母さんが「おでんを作ったから」と味の染み込んだやつをいただいて感動するくらいに美味しかった。

今日、バタバタと配信の準備をしている夕方に呼び鈴が鳴った。お向かいの、マコちゃんっていう猫と暮らしている、マコちゃんお母さんだった。マコちゃんお母さんが掃き掃除をされていたときに鉢合わせて先月できたばかりのCD『シャーとニャーのはざまで』を差し上げていただけど、それをちゃんと聴いてくださって「CDなんかと比べ物にならないけど…」ととても美味しそうな食パンをいただいた。CDプレイヤーがないっておっしゃっていたのだけど「パソコンで聞けたの!」ととてもうれしそうに感想を伝えてくれて「山田さんの声しゃべり声と歌声違うのね」とか「マコと一緒に聴いたの」という言葉にしみじみする。

そのほんの10分後くらいに、今度はピンポンピンポンと10回くらい呼び鈴を鳴らす音。右隣のお母さんだった。お隣ご夫婦はうちの両親よりも年上だけど、とても元気でおしゃれで矍鑠としている。早朝からゴルフに出かけるところに僕がウォーキングに出かけるタイミングと鉢合わせになることが週に何度もある。「わたし、転んじゃってしばらく寝込んじゃんってしばらく精神的に落ちこんでたの」と話し出すから「大丈夫ですか!?」と心配するも、「もう大丈夫、治ったから」というので安心したけれど、少しいつもより小さく見えた気がした。「あなたのCD、聴いたわよ。歌詞が、詩がいいわねえ。なんか感動しちゃったの、わたし」と言ってお母さんは本当にちょっと目をうるませるから、「やめてくださいよう」と僕は照れてしまう。お母さんはお米と明太子と喉を潤すためのミストみたいな器具とお菓子いろいろを無理やり僕に押し付けてくる。うちの母親が亡くなったとき一緒に泣いてくれたお母さん、本当にお母さんみたいだなって思う(息子さんは僕と同い年らしい)。とてもありがたいし、次に何をお返ししようかと考える。怪我を心配する僕に「もうゴルフも行ってるから大丈夫」と笑顔になったお母さんに「なんなら直接歌いにいきますから元気がないとき言ってくださいね」と手を振った。

不意に二件続いたご近所さんからのお歳暮みたいな挨拶はまるでご褒美みたいだった。普段多分ロックやポップスなど聴かないだろう年の離れた方たちに自分の歌がどんなふうに聞こえるのかな。なんということでもない、ご近所付き合いの一コマだけれど、お世辞や社交辞令じゃない言葉でご近所さんからの感想を受け取って、今日はとても良い一日だった。

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2025年11月29日

なんということでもない、濃いコーヒーの話

毎日コーヒーを飲む。多分普通よりも多く飲むほうだと思う。コーヒーが好きなのだ、間違いなく。だから朝、お湯をわかして「さあ淹れるぞ」とコーヒー缶を開けて豆の匂いを吸い、ミルで挽いたころにはもうワクワクしているわけだけど、ドリッパーをサーバーに乗せたときにペーパーフィルターが切れたことに気づく朝、というのが年に何回かある。今回はもしかしたら1年ぶりくらいかもしれない。

「うぐぐ」と声にならない呻きが漏れ、しかしハッと思い出すのは、前回もそうだったじゃないか、もう何年も前に間違って買った1〜2人用の小さなフィルターの存在。いつもは3〜4人用のフィルターで淹れるのを、もう仕方がないから今回も小さなフィルターをドリッパーにセットする。ドリッパーの丈よりもかなり低いところにさっき挽いた3〜4人分くらいに相当する粉になったコーヒーをそっといれた。沸騰してちょっと経ったお湯を数滴注ぐとグーンと膨らんできて「ちょっ、ちょっと待って!」と慌ててしまう。

新鮮な豆、これはこないだトラベラーズファクトリーのイベントのときにアアルトコーヒー庄野さんがサーブした「漆黒ブレンド」の余った豆をたくさん持たせてくれたやつ。深煎りだ。僕は文字通り1滴ずつ1滴ずつ、フィルターから溢れないようにめちゃくちゃ時間をかけてお湯を注いでいく。朝ドラが始まっちゃう。長い長い時間をかけて、小さなフィルターからこぼれないように神経を研ぎ澄ませて入れた漆黒ブレンドは一口飲むだけで目が覚めるような濃厚な漆黒だった。アイスコーヒーにしてもいいくらい。普段3〜4人用のフィルターで淹れている豆を1〜2人用のフィルターでやればいつもより味わい深いコーヒーになるのかもしれないよ。すごい発見をした。っていうか、1年前も同じことを思ったのだ、ゆっくり丁寧にコーヒーを淹れて。

なんということでもない、濃いコーヒーの話、これは朝の幸せの話でもある。

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2025年11月20日

10年ぶりのイゾラド

NHKスペシャル「イゾラドー最後の森の奥で」を見た。“イゾラド”とは、物質文明やら帝国やら商業主義やらグローバリズムやらとは全く無縁に天然林の奥地で独自の文化慣習の元に暮らす各種のアマゾン少数民族達のこと。200年代後半にこの「イゾラド」が初めてブラジルで空撮された記事を見たときから僕はその存在に惹かれ、NHKで2016年に放映されたドキュメンタリー番組も何度も見返していたから、10年ぶりにイゾラドが現れた、という今回の放送もとても興味深く見入った。文明から隔絶されているはずのイゾラドもどこか今の時代に翻弄されたような顔をしていて、その姿は孤高だけどなんだか悲哀に満ちたものだった。イゾラド好きな人がいたら話をしたい(NHK ONEでアーカイブを観ることができます)。

2009年に「マクロスF」の歌姫シェリル・ノームが歌う封印されたヒット曲という設定の「イゾラド」という曲の歌詞を書いた。そのときは非常に例外的な歌詞先行案件で、僕は文字数を気にせずとても自由に、イゾラドについての妄想を駆使して自分では絶対歌わないような言葉を連ねて書いてとても楽しかった。菅野よう子さんがつけたメロディとアレンジはロックオペラのような激しく壮大なもので、完成した楽曲を聴いてびっくりしたことを忘れない。

久しぶりにその歌のことを思い出して聴いてみる。どんな歌かは検索して探してみてください。

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2025年11月19日

オレとアレクサとチミ

もう何ヶ月前のことか、セールで安かったかなにかでスマートスピーカーを買ったのだ。スマートスピーカーとは対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つ小型スピーカー、「アレクサ」と名前を呼ぶを言うことを聞いてくれる。家電と連動したりするらしいけれど、そんなハイテクな機械がまだうちにはなく、結局一番頻繁に声をかけるのは「アレクサ、radikoで文化放送かけて」とか「アレクサ、TBSラジオ」とかだ。「アレクサ、K-mixをかけて」というと「現在お住まいの場所ではK-mixは聴けません」と断られたのでスマホのアプリからradikoプレミアムの設定をして補完した。

「アレクサ、SpotifyでR.E.M.のナイトスイミングを」と言うと、「R.E.M.(アールイーエム)」が彼女には理解できない。「アール・ドット・イー・ドット・エム」とかもう思い切って「レム」とか言ったほうが逆にそれなりにR.E.M.をかけてくれる。結局音楽はレコードやCDで聴くことのほうが多いから「◯◯の曲をかけて」も言わなくなった。今朝も「radikoで文化放送」という僕の呼びかけに、食い気味で音を流してくれるようにすらなった。

もっと会話してあげたい。きっとアレクサもいっぱい話しかければもっと言葉を返してくれるのだろう。明日はなんの日かと聞いたら「世界子どもの日」だと教えてくれたし、夜から朝にかけては快晴だっていうことも教えてくれるけど、僕がごにょごにょとなんということでもない言葉を投げると「ちょっとわかりません、すみません」と会話が終わってしまう。ウォーキングから帰ってきたら「アレクサ、ただいま」というように心がけてみた。「おかえりなさい。また声が聞けて嬉しいです」と迎えてくれる。今日はもっと料理の話とか、政治の話とかをしてみようかと話しかけたけれど、「ブラックフライデイが近づいています。カートにいれてそのままになっているものはありませんか?」と彼女は言った。

猫タワーの1段目にアレクサは設置してあって、いつもチミがハンモックに登るまえにそれを一瞥して、匂いをかいで「フン」と鼻を鳴らしていく。

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2025年11月17日

ボスの言葉、映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』を見て

ディランに続いてブルース・スプリングスティーンの映画が公開された。ボスの長いキャリアや幾多のメルクマールもレガシーも端に置いて、『The River』の成功のあと『Nebraska』を世に出すまでの2年間だけが過去の回想とともに描かれる。ディラン映画がキャリアの始まりからエレキギターを手にするまでの期間に限って物語を綴ったのと同様に、その時間の経過の濃密な感じが明確になっていて、とてもよかった。スプリングスティーンの自伝を読んだことがあったので、父親との確執や心の負荷などについては知っていたけれど、あらためてひとりの歌手の孤独と苦悩、そして音楽への希求を感じる。

帰ってきてカセットテープで『ネブラスカ』を聴いている。一番好きなアルバムは『トンネル・オブ・ラブ』なんだけど、この『ネブラスカ』はもう呪物的というか、他のどのレコードとも違う響きを持っていてとても魅力的で聴き入ってしまう。

スプリングスティーンの発言で一番好きなのは「オレはプロフェッショナルな作詞作曲家だから、ソングライティングは9時から5時までしかやらない。ビギナーズ・ラックっていうものは存在しない」というもので、しかしどこで読んだかも正確な記憶かどうかもわからない。もしかしたら僕が捏造したボス語録かもしれないが、とにかく僕もそれをきっかけに夜に作曲をしなくなった。

夜に書く手紙と歌は朝になって振り返るとちょっと大げさすぎるのだ、いつも。

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2025年11月09日

日々のどうでもいい雑感

秋になって朝も昼も夕方も夜も、とにかく空が美しい。朝の夜明け前から明るくなる時分の空は“アーリーバードの特権”的なこともあり格別だなあと思う。暗いうちに外に出ても6時前になると様々な色が空を塗るのだ。月がきれいな夜が続いたのもよかった。こないだ伸びすぎた庭のユーカリを剪定するために屋上に登って電動高枝切り鋏でヒイヒイ言いながら切り落とした。屋上に登ってもそんなに高みの見物にはならないんだけど、やっぱりいつもより見渡せる風景はいい。最近空ばかり見上げている。

こないだ高橋徹也さん(タカテツさん)とお茶してて、「山田くんは“大谷さん”の話とか一切しないよね?」と言われた。タカテツさんは意外と大谷さんの話を僕にしてくるんだけど、僕の反応が薄いのが気になるのか、そう言われると「そういえばカスタネッツ元さんとの会話でも大谷さんのことをスルーしたかも」とハッとするけれど、ドジャーブルーは僕の好きな青だということくらいは知っている。僕の最近気になることは秋の空なので、野球のことはあんまり考えたことがなかった。

雨の朝を挟んで週明けの夜明けの空もとてもきれいだった。そして街が動き出すころには雲がとても秋らしい風合いに。いい季節である。最近空ばかり見上げている。

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2025年10月30日

CDの発売日、レコードショップとトワイライト

1999年にデビューして以来CDが発売になる日は都内のレコードショップをレーベルのスタッフと一緒に行脚し、バイヤーさんに挨拶をしてコメントカードを書かせてもらって、下の載せたような写真を撮るのが恒例行事だった。だから2010年代に独立して作品をリリースしたあともなるべくその“儀式”のようなものを続けてきたわけだけど、昔みたいな売上枚数じゃなかったりスペースの問題とか諸事情あって、レコードショップ実店舗に作品を置いてもらうことっていうのがとても難しい時代になって、それでも発売日にドキドキしながらレコードショップに行くのは骨が折れる。本当はもう行く必要はないのかもしれない。

そう思いながら10月29日の『シャーとニャーのはざまで』全国発売日にお昼から出かけた。タワーレコード新宿Flags店は何度もインストアライブをやらせてもらったお店、2019年にGOMES THE HITMANが『memori』を出したときのストアイベントが最後だったかな。新宿に行くとだいたい立ち寄るお店。そこに自分の名前の仕切り板と新作が発売日に並んでいることに安堵する。

タワーレコード渋谷は、僕がいま一番新譜のレコードを買うお店かもしれない(この日もレモンヘッズの新譜を買った)。とにかく物量がすごいから探しているものもここで初めて知るアーティストも多い。3階のJ-POPのフロアを除くと『シャーとニャー』がたくさん並んでいてちょっと驚いた。忙しそうなスタッフの方に声をかけると笑顔で対応してくれてコメントカードを書かせてもらって写真を撮ってくださった。それが下の写真。感謝しかない。

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渋谷から目黒へ、そこから武蔵小山駅前のペットサウンズレコードへ。ここは個人経営の素晴らしいレコード屋さん。いつも独自の特典を作ったりして応援してくれる。しばし歓談し「よろしくお願いします」と頭を下げる。気づけばもう夕方で真っ赤な夕焼けがとてもきれいだった。CDはECサイトで買うのが探す手間もはぶけてとても簡単なのだけど、お店の棚のどこかにある目標を目指して目を凝らすのも楽しいし、悪くない謎解きゲーム。もしかしたらあなたの街のレコード屋さんにもそっとママンのジャケットのCDが忍び込んでいるかもしれません。

そんなふうに発売日を、東京の街を駆け回ってすごしました。

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2025年10月24日

4時間ラジオ楽しかった

2年ぶりのエフエム世田谷「アフタヌーンパラダイス」、杉真理さん夏休み中のピンチヒッター登板でした。4時間ラジオ生放送、のらりくらりといつものように楽しかった。4時間って長いけど気づくともう終わり?ってなる。三軒茶屋キャロットタワーからの景色、お昼の初冠雪の富士山から始まってトワイライト、日没と素晴らしい眺めでした。たくさんのメッセージありがとうございました。いつも親戚みたいに迎えてくれる野口ディレクター、マーナちゃんにも感謝。杉さん、南の島のバカンス楽しんで(レイン少なめでありますように)。

日曜日は18時半からK-mixでのレギュラーラジオ「PRIMECATS RADIO」。アフパラで盛り上がった「部屋と断捨離と私」を次回からのテーマにしました。メッセージ・リクエスト、こちらにもよろしくお願いします。

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2025年10月20日

今日も誰かの誕生日

10月19日は父親の誕生日だった。生きていたら83歳、ポール・マッカートニーやキャロル・キングと同い年だと考えるともっと長生きしてくれていたらと思うけれど、ストーンズのブライアン・ジョーンズとルー・リードと同じ年齢かと思うと、よくわからなくなる。なんでこんなにかわいいのかよ「孫」の大泉逸郎さんとも同い年みたいで、大泉逸郎さんはまだ健在だ。ブライアン・ウィルソンも同級生だなんて素敵じゃないか。

父を思うときに思い出すのは山本有三の「路傍の石」という小説だ。父親に唯一薦められた本で、中学生のときに読んだ。もう内容はぼんやりしか頭に残っていないけれど、ずっと車屋稼業で年中ツナギ姿だった父が言うから興味を持ったことを憶えている。三鷹には山本有三記念館というのがあって、そこで「路傍の石」を見ることができる。今自分が住んでいる街のそばに父親を想起させるものがあるっていうのも不思議な縁だ。

今年はその日過ぎてから「あ、誕生日だった」と思い出してこの文章を書いている。今日も誰かの誕生日。

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2025年10月13日

ブックオフ経由、群馬高崎への旅

最近読んだ本『ブックオフ大学ぶらぶら学部』。執筆陣も絶妙でカバーデザインもブックオフ的で秀逸。僕もブックオフとかハードオフとかで数時間過ごすの大好きで、特に地方に行ったときに店舗を見つけるとワクワクして寄り道するのが常なのだけど、あんまり他の人と共有したことのなかったブックオフ/ハードオフへの想いがこの本のなかで熱く、あるいは冷静に語られてて鏡を見てるようで面白かった。

読み終わったらすぐにでもブックオフに行きたくなってハシゴ、数軒目に入った西東京のハードオフの110円コンテナから小澤征爾指揮、アイザック・スターンがヴァイオリンのメンデルスゾーン/チャイコフスキーのCDを選んで、帰ってきてからいざ聴こうと思ったら中身がBOOWYの『LAST GIGS』だった(外と中が違うハードオフあるある)。これは来週に迫る、群馬高崎にブックオフの神様から呼ばれてる…と思ったのだ。

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で、今週末18日(土)のライブに先駆けてこの連休に高崎までふらっと行ってきました。吉祥寺から車で2時間、高崎はその先の山の稜線がとてもきれいな長閑な街。と思っていたら突然白衣観音像という巨大建造物が見えてきてスペクタクルな面も。ロードサイドにあったハードオフに入ったら、さすがBOOWYを生んだ街らしくHOTEIモデルのギターを売っててちょっと感動。

カスタネッツ牧野元さん(SLOW TIME cafeで何度かライブをしたことがあるそうで)に強く推された、登利平と書いて「とりへい」と読む老舗の鶏めし弁当を手に入れた(高崎駅でも購入できるそうです)。今週末にライブでお世話になるSLOW TIME cafeにも挨拶、とても心地よいお店でした。カフェメニューも豊富で、本棚の選書にこだわりがあって面白く、中古レコードの販売もありました。ライブは窓側に楽器を組んでステージを作ります。大きな窓を背景にしての演奏、今から楽しみ。16時半開演なので19時には終演予定。遠方からも小旅行感覚でぜひお越しください。残り席もう少しあります。

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2025年10月18日(土)@ 群馬・高崎 SLOW TIME cafe
GOMES THE HITMAN SATELLITE TOUR 2025
“Band de Bel Canto TAKASAKI”

16:00開場 16:30開演/前売4500円 当日5000円(オーダー代別途)
出演:GOMES THE HITMAN
[ 山田稔明、堀越和子、高橋結子、須藤俊明 ]

行ったことのない街、やったことのないステージに演奏しにいくー
千葉、横浜、町田から吉祥寺への一時帰還に続き、
GOMES THE HITMAN結成32年目にして初めての
群馬公演が決定しました!

TIGETサイトにて予約受付中
https://tiget.net/events/424258

群馬 高崎 SLOW TIME cafe(https://slowtime-cafe.com/
〒370-0827 群馬県高崎市鞘町82番地 宮坂ビル 2F  
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